- sugar_diadem
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ギルガが作り上げた万色は、人が触れても弾けてしまう、シャボン玉。 喜んでくださる様子に笑みを深める。 「人の子のオモチャで、シャボン玉と申します。優しく咥えて吹いてくださったので、綺麗に出来ました。流石ギルガ様ですね。」
2015-09-05 20:21:35「わぁあああああああ!!!」 床を蹴る。 天井を蹴る。 柱を蹴る。 壁を蹴る。 縦横無尽に跳ね回るギルガが、宙を舞うオーロラ……シャボン玉とニエが呼んだそれの、最後の一つが弾けた、次の瞬間。 ──バヂュ!!! 「うわぁあああああ!!!」 ギルガ、亜空間よりフェードアウト。
2015-09-05 21:29:24………。 ──ドパッ!! 「ねえねえ、もう外まっくらだよー!」 重たい水音を伴い、壁を突き破るようにして『始まりの地』へと戻ってきたギルガの、第一声。 夜の訪れを、皆へと告げる。
2015-09-05 21:29:27淡い虹色の球を目で追いながら、リッカの問いに頷いてみせる。「ああ、かまわないんじゃないか?」 あくまでさらりと返すが、それは彼女が譲る気がないことを理解してのことだ。 フォルカはジュリアの方に向き直って「ぼくとしてはむしろ、彼女の方が気になるね」 ひょいと立ち、歩み寄る。
2015-09-05 21:31:02「もう日は沈んだ。確かめたいこと全てを確かめるには最初から時間が足りないんだ。現象が目に見えて理解できるものくらいは優先してもいいだろう?」 優先する、というのは彼女の瞳の事だ。結晶体、網膜、視神経、その他何かに原因があるかもしれない。
2015-09-05 21:34:19あぁ、凄い状態になった。 なんて、ギルガの姿を見送った。 なんとなく申し訳ない気分。 力の制限の出来ない子供がテンション上げるとこうなるのか。 次回は、気をつけようと、思う。 とりあえず、他のみんなの方へと深々と頭を下げる。 こうなるとは思ってなかったとはいえ、ごめんなさい。
2015-09-05 21:44:43「あぁ、では、お部屋のほうに失礼させていただきます。皆様、ごきげんよう。おやすみなさい。」 夜なら、リッカを迎える準備をしなくては。 スカートの裾を取れば、軽く広げて頭を下げる。 テーブルの下にしまっておいた鞄を手に取り、返事をまってから、個室へと。
2015-09-05 21:44:54「そうかい? 大丈夫なら、良いのだけれど」 ゆるやかに首を傾げながら──ふと、フォルカが彼女の傍に歩み寄るのに気付き。 「フォルカ、それは──」 余りに端的に過ぎるのではないかと。 上げかけた声を、一度噤んだ。 内容がどうあれ。本人が応えるまでは、その選択を邪魔すべきではないと。
2015-09-05 21:45:32そもそもが、声を上げかけたことすら、あるまじきことだ。 『母上』の愛を体現する。それが東の魔王の至上命題。 其の全てには、無論、自らと同様の存在である『魔王』たちとて、含まれる。彼らとて『母上』の無二の子らなのだから。
2015-09-05 21:46:31”愛すべき存在”であるフォルカのその言葉を、受け入れなければいけない。 けれどそれは、”愛すべき存在”であるジュリアの傷を抉る結果に繋がることも理解していて。 矛盾している。いつもそこで、阻まれる。 大いなる『母』の御心に、届く事ができない。
2015-09-05 21:48:15「──……」 恥じ入るように。或いは気を取り直すように。ゆるく首を振る。 「……そういうことなら。スシラ、今日はきみの所に、お邪魔する事になりそうだけれど」 構わないかな、と。 首を傾いだ時にはいつもの、穏やかな表情。
2015-09-05 21:49:00「お気に召したようで何よりだよ」 フォルカの視線の先、ふわふわと過ぎゆく無数の虹の向こう。その先にあるのは自らの連れてきた、シャボンを無限に色濃くした瞳を持つ娘。 「しかしまったくあんたらしい観点だね、フォルカ。もし何か結果が出たのなら、そのうちアタシにも聞かせておくれ」
2015-09-05 21:50:15ラヴィが声を上げかけたその言葉選びを何一つ咎めることもなく、ただ一つ僅かに眉を蹙めたのは。 「アンタがそんなに馬鹿だとは思わないけどね。もし壊すような真似をしたなら、分かっているね?」 ジュリアは未だ誰のものにもなっていない。強いて言うならば、連れてきた西のものだ。
2015-09-05 21:50:34それが損なわれる可能性にだけ、一言のみ口を出して。 それから部屋へ退いていくニエの一礼を見送れば。 「……さ、あんたたちも。色々あったし自覚はないかもしれないが、たぶん疲れてることだろう。 適当に切り上げて、部屋へ戻るといい」 そう各々の供物へと。
2015-09-05 21:50:51アップルパイの最後の一口を食べた所で、近づいてくる小さな北の魔王。 「……えっ」その言葉に、嫌な不安がよぎる。「それは、一体……どういう…」 『万色の光』が揺れる。
2015-09-05 21:50:43所詮、自分は供物の身。それも最初に一度「やらかして」しまっている。これ以上口答えをすれば次はどうなるか。殺されてしまうのか? 自分を認めてくれようとしている東の魔王と色々話したい。その前に、死ぬ訳にはいかなかった。 「……わかり、ました。」震える唇は、北の魔王に従う旨を示す。
2015-09-05 21:53:37ジュリアの表情には満足気に「よかった!」と。 申し訳無さそうな言葉には変わらぬ笑顔でこくんと頷いて。 「そうですね、そちらの話とか、ジュリアさんの好きなものの話、気になります!」 大きな声に振り返り、シャボン玉に夢中のギルガを見れば、その笑みは少し寂しそうなものになる。
2015-09-05 21:57:46――そっか、シャボン玉、はじめてなんだ。 魔王が少年の姿だからか、スシラのその目は、楽しい遊びを知らぬ子供を見るもののように。 そして東の魔王の声に気づけば、慌てて頷く。 「はい、それでは、部屋でお待ちしております!」
2015-09-05 21:58:46きょとん、と、周りを満たすその空気の変化を、感じこそすれ、理解のできぬギルガは、首を傾げる。 「量産って、いっぱい作るってこと?できたらいいね!きっと綺麗だ!」 先程、亜空間を満たした無数のシャボン玉を思い浮かべ、無邪気に笑って言う。
2015-09-05 21:59:29そして自分はグリースへと、 「さあ、早くボクらもキミの部屋に行こうよ!」 そう急かせば、彼女の前の扉が、ギイ、と音を立てて開く。 一度だけ、皆を振り返り。 「おやすみ、また明日!」
2015-09-05 21:59:31