ちんた
@tinta_kun
@krfk_f @macica_ ドアが独りでに開いた。いや、独りでに開いたのではない。向こう側から開けられたのだ。目の前のには少し日に焼けた肌の、それでいて小奇麗とは言い難い、見たことのない男が立っていた。
2015-09-16 20:57:05
ましかば
@macica_
@tintan_kun @krfk_f 男の目はどこか焦点があっていない。クスリか。ルバートは後ろに数歩下がり男と距離を取った。「目が覚めたか」男の後ろから先ほど電話をかけていた声の主が姿を見せた。以前社交界で会った貿易会社の経営者だが、彼とは一言二言交わした程度だ。
2015-09-16 21:09:34
キリフキ
@krfk_f
@macica_ @tintan_kun ルバートが記憶を掘り起こしている間にも、彼はこちらの具合を心配する素振りを見せる。目を細め、実に友好的な声音で呼び掛けてくるが、その裏に底知れない悪意が込められていることは容易に見てとれる。
2015-09-16 21:34:31
ちんた
@tinta_kun
@krfk_f @macica_ 身構えて相手がどのように出てくるのか待つ。ルバートはあることに気づいた。経営者は右手に鞄…いや、頑丈そうなトランクケースを抱えている。鍵まで掛けられていて中身はよほど大事なものに違いない。
2015-09-16 22:58:52
ましかば
@macica_
@tintan_kun @krfk_f 恐らく金でも入っているのだろう。今までもそうだった。この男に限らず金と引き換えに自分を求めてくる男は少なくなかった。昔の自分なら相手を選ばず応じただろう。しかし今はそれなりに収入もある。腹の出た経営者とシャブ中男の相手などするなどあり得ない
2015-09-16 23:05:48
キリフキ
@krfk_f
@macica_ @tintan_kun 掛けなさいと促された先には埃を被った寝台。従うわけもなく、部屋に侵入した二人を睨めつける。溜め息のあと後ろ手に扉を閉めた男は微笑ひとつ、「私は自分の意見を他人に押付ける我儘をしない誠実な男でね」ケースを開く。「君に選ばせてあげよう」中身は
2015-09-16 23:24:09