幼児化だいちさんのはなし

へしこ @hecico_

20代後半の一緒に暮らしている大旭で、休日前夜に晩酌しつつふと冗談混じりに「ガキのころは楽だったなあ」と漏らした大地さんが、翌朝目を醒ましたら意識はそのままに身体(※全裸)が5歳児になっていて、隣で寝ていた旭さん(※全裸)を甲高い絶叫で叩き起こし、

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@_HeciQ 寝起きはさすがに旭さんもびっくりするんだけど意外にも彼のほうが順応するのが早く、取り急ぎにと袖をとおしたTシャツがワンピース状態になっている大地さんに「このままだと俺が犯罪者みたいだから服買ってくる、待っててな」と頭をぽんぽん撫でて、

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@_HeciQ 中身は20代のままだから子供扱いにむっとした大地さんが「お前は俺のこと俺って信じるのかよ」と唇を尖らせると、「わかるよ、だって大地は大地だもん」丸いおでこもくりっとした目も、ぜんぶ俺の好きな大地そのものだ、といとおしそうに頬を撫でてくるものだから大地さんはすっかり

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@_HeciQ 参ってしまって、顔を真っ赤に染めながら「……気をつけて行ってこい」とそっぽ向いて、おう、と上機嫌に車の鍵を鳴らしながら玄関へと向かい、1時間もせずに戻ってきた旭さんの見立てた子供服はシンプルながら品がよく、しゃがんで大地さんのポロシャツの白い襟を直しながら

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@_HeciQ 「サイズぴったりだ、よかった」と呑気に笑った旭さんはご丁寧にグレーのコットンのハンチング帽と紺色のキャンバススニーカーまで買ってきて、「これで出かけるつもりかよ」と大地さんが呆れると、自らもこざっぱりと支度をした旭さんはにっこり笑って

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@_HeciQ だって今日もともとデートの予定だったろ」と大地さんの手を優しく引いて、朝ごはんまだだし昼兼で外に食べにいこう、と言うものだから、大地さんはすっかり忘れていた空腹を思い出して盛大にお腹を鳴らし、また赤面するのであった

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@_HeciQ 軽食をとったあと水族館まで車を走らせて(いつも座っている助手席に腰を下ろしたら、床に足が着かなくて大地さんが内心ショックを受けたのは彼の自尊心のためにここだけの秘密にしておく)、薄暗さと混雑と今の外見をいいことに手を繋いだまま館内をうろつき、

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@_HeciQ 「端から見たら完全に親子だな」「かもな」と小声で苦笑しあいつつも、青い水槽に揺らめく魚の銀色の腹を眺めるのにそれなりに夢中になって、外に出てまだ強い陽射しに炙られながら並んでソフトクリームをなめつつ、旭さんの緩くまとめられた髪の毛が潮風に遊ばれるのを眺めながら、

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@_HeciQ 大地さんが重い口を開いて、「あのさ、旭」「なに」とほつれた前髪を耳にかけながら振り返る旭さんのまなざしはとても優しく、「……このまま戻らなかったらどうする」じわりと熱くなる目許を隠してくれるハンチング帽のひさしに感謝しながら返事を待つ大地さんの耳には、

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@_HeciQ カフェパラソルがばたばた煽られる音がいやに大きく聞こえ、それでも穏やかな言葉ははっきりと届いた、「俺、大地とずっといるよ」かがんで合わされた視線がまっすぐと大地さんを捉え、その力強さに大地さんは思わず息を呑む、しかし次の瞬間に旭さんは眉を下げ、

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@_HeciQ 「あ、でも大地に他に好きな子ができたら……痛ッ」数年ぶりのゴヅムは小さく柔らかい拳だから決して痛くはないはずなのに、大袈裟にのけぞる旭さんの大きな身体を、幼い両腕をいっぱいに伸ばして大地さんは抱き締めて、「お前以外を好きになるかよ、ばか」

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@_HeciQ 旭さんはごめんと呟いて、肩口に埋められた小さな頭を抱き止めながら、「俺も」と微笑むのであった

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@_HeciQ 帰り道にふたりが気に入っているラーメン屋でラーメンを食べて(ちなみに大地さんは一杯食べきれなかったことに少なからずショックを受けていた)、一緒に風呂に入って、適当なテレビ番組を見ていたら、座椅子の要領で旭さんの膝を占拠していた大地さんが船を漕ぎはじめて、

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@_HeciQ 旭さんはぶかぶかなTシャツ姿の大地さんを抱き上げると寝室に向かい、ベッドにそっと大地さんを横たえると自分も寝転がって、「おやすみ、大地」と柔らかく小さな唇に口づけて、目を閉じた

へしこ @hecico_

@_HeciQ 朝大地さんが目を醒ますと、自分の身体、節のはっきりした指先も、筋の張ったふくらはぎも、すべてがすっかり元通りで、嬉しさのあまり身体を跳ね起こして隣を見たら、そこには栗色の柔らかそうな髪を伸ばした5歳くらいの男の子がすやすや寝ていたとさ　というおはなし

へしこ @hecico_

@_HeciQ 「風邪みたいに、ひとにうつしたら治るのかな？」「んな馬鹿な」

へしこ @hecico_

@_HeciQ 朝の生理現象で大地さんの大地さんが元気なのを見て、口でシようか？といつもの調子で聞いてきてあまつさえ小さな手のひらを伸ばしてくる旭さん(見た目5歳) と、絵面が完全に犯罪だろうが！と慌ててお手洗いに立てこもる大地さん