泣き虫羽黒と優しい妙高

突発みょぐろ ※百合
2
ゆめみるゆとり@C103一日目東ル40a @_Spoiled_Boy_

私は姉たちに憧れていた。それは私が末っ子だからというのもあるのかもしれないけれど、それ以上に私自身が自分に対して劣等感を感じていたからかもしれない。私は気が小さいし、得意なこともなかったからずっと四姉妹の落ちこぼれだった。でも、姉たちはそんな私を見捨てることなく面倒を見てくれた。

2015-10-04 14:27:45
ゆめみるゆとり@C103一日目東ル40a @_Spoiled_Boy_

那智姉さんは戦いの達人だったから、弱い私に戦い方を教えてくれた。海上での動き方、砲の使い方、他の艦娘さんとの連携の取り方、色々なことを教えてくれた。足柄姉さんはお洒落に詳しかった。何も知らない私にお化粧のやり方や、普段着るお洋服の選び方も教えてくれて、外へと連れ出してくれた。

2015-10-04 14:32:08
ゆめみるゆとり@C103一日目東ル40a @_Spoiled_Boy_

姉さんたちはみんな私の事を気遣ってくれて、優しくしてくれたけれど、妙高姉さんは特に優しくしてくれた。私が何か困っていることがあれば必ず助けてくれたし、泣いているときは落ち着くまで傍にいてくれたりした。だから私は小さいころから妙高姉さんにべったりで、今でもなるべく一緒にいたりする。

2015-10-04 14:36:40
ゆめみるゆとり@C103一日目東ル40a @_Spoiled_Boy_

でも最近、私はこう思うようになった。ずっと一緒にいたら妙高姉さんの迷惑になるんじゃないかと。小さいころから当然のように一緒にいたからそのまま今まで来てしまったけれど、妙高姉さんにだってプライベートはあるし、いつか別れの時だってやってくるはず。

2015-10-04 14:40:01
ゆめみるゆとり@C103一日目東ル40a @_Spoiled_Boy_

そうやって考えだしたら怖くなって、とめどなく涙があふれてしまって。そんな時に妙高姉さんは部屋に戻ってきたりして。「どうしたの?」と優しく私に問いかけてくれる。でもその問いに私は答えられない。答えたらまた妙高姉さんを縛ってしまうと思ったから。だから何も言わずにただ泣いた。

2015-10-04 14:44:34
ゆめみるゆとり@C103一日目東ル40a @_Spoiled_Boy_

黙って泣いてるだけなのに妙高姉さんは私の考えてることを全部わかってるかのように「言えないことなのね」って言って背中を優しく撫でてくれる。その優しさが嬉しいのに、私の胸はつらくなって余計に涙があふれる。妙高姉さんを困らせてしまうのが嫌で泣いてたのに、泣いてるせいで困らせてる。

2015-10-04 14:49:33
ゆめみるゆとり@C103一日目東ル40a @_Spoiled_Boy_

「いっぱい泣きなさい。私がそばにいるから。」そう言って妙高姉さんは私の事を背中から優しく抱きしめてくれる。「ごめんなさい…ごめんなさい…」「何を謝ることがあるんです?」「羽黒は…姉さんに迷惑かけてばかりで…」「迷惑だなんて言わないの。私は一度も迷惑だなんて感じたことはないわ」

2015-10-04 14:58:53
ゆめみるゆとり@C103一日目東ル40a @_Spoiled_Boy_

「でもっ…!」「でも?」「羽黒はいつも失敗ばかりで…」「羽黒、あなた気にしすぎよ。」「そんなこと…」「大切な妹の失敗くらいで迷惑だなんて思わないわ。少なくとも私はね。」妙高姉さんは私の事をより強く抱きしめてくれる。「だから、泣かないで。」「姉さん…ぐ」

2015-10-04 15:07:52
ゆめみるゆとり@C103一日目東ル40a @_Spoiled_Boy_

そのまま私はしばらく泣き続けていた。でも、その間ずっと妙高姉さんは私の事を抱きしめていてくれた。背中から伝わる妙高姉さんの体温が温かくて、優しくて、嬉しくて。「ぐすっ…ごめんなさい姉さん…ありがとう…」「落ち着いたみたいね。もう平気?」「はい、大丈夫です」

2015-10-04 15:13:30
ゆめみるゆとり@C103一日目東ル40a @_Spoiled_Boy_

「どうして泣いていたの?」妙高姉さんは私に聞いてきた。しかし、改めて泣いていた理由を言うとなると、今度は恥ずかしくなってしまって赤面してしまう。「あ、無理にとは言わないから。そのうち言えそうな時に教えて?」でも、ここで言わなかったら私は多分永久に言えないままだと思った。だから、

2015-10-04 15:17:09
ゆめみるゆとり@C103一日目東ル40a @_Spoiled_Boy_

「羽黒、妙高姉さんとずっと一緒に居たいです」口をついて出た言葉はこれだった。考えていたこと、思っていたこと、色々言いたかったことがあったのに、最初に出た言葉はこれだった。どうしてこれが最初に出てきてしまったのだと、言ってからひどく後悔した。恥ずかしくて妙高姉さんの顔が見れない。

2015-10-04 15:26:40
ゆめみるゆとり@C103一日目東ル40a @_Spoiled_Boy_

「羽黒、顔を上げて?」そう言われて私は恥ずかしさを押し殺して妙高姉さんの方へと顔を上げると、目の前に妙高姉さんの顔があって、私の頬に柔らかい感触があって。すっと妙高姉さんが顔を引く。「もちろん。私も羽黒とずっと一緒がいい。ふふっ」優しく笑って妙高姉さんはそう言った。

2015-10-04 15:33:58
ゆめみるゆとり@C103一日目東ル40a @_Spoiled_Boy_

「あの…えと…!」どう反応していいのか頭の回転が追い付かない。頭が沸騰しそう。「私は羽黒のこと大好きよ。羽黒はどう?私の事どう思う?」「は、はぐ、羽黒も!す、すすす…」「ふふっ、無理しないで羽黒。言えるようになってからでいいから。それまで私、ずっと待ってるから」

2015-10-04 15:47:34
ゆめみるゆとり@C103一日目東ル40a @_Spoiled_Boy_

妙高姉さんは優しい。でも今はこの優しさに甘えちゃいけない。私もちゃんと妙高姉さんに伝えなきゃいけない。だから勇気を振り絞って。「あの…その…!は、羽黒も、姉さんのこと…大好きですっ!」

2015-10-04 15:58:01
ゆめみるゆとり@C103一日目東ル40a @_Spoiled_Boy_

妙高姉さんは少し驚いたようだったが、すぐにいつもの優しい笑顔に戻って、「ありがとう羽黒。私とっても嬉しいわ」と喜んでくれた。そして、また妙高姉さんが私の顔に近づいてきて、優しく頬に唇を触れた。「これからよろしくね、羽黒」「は、はい…!」

2015-10-04 16:04:06