篠原章氏による、翁長沖縄県知事の13日辺野古埋立承認取消しの解説。

15年10月13日に沖縄県の翁長知事は正式に「辺野古埋立承認」の取消しを宣言し、マガ9の鈴木耕さんなどには決断を評価する声が高いですが、「沖縄の不都合な真実」でしられる篠原章さんが解説され今後をうらなっておられるのでまとめました。
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鈴木 耕 @kou_1970

ついに…。→翁長沖縄知事、辺野古取り消しを13日発表=政府、即時対抗措置へ(時事通信) - Yahoo!ニュース headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151011-…

2015-10-13 10:23:29
鈴木 耕 @kou_1970

とりあえず、海上作業はいったん中止しなければならないが、その後の政府の対応は…。→辺野古:翁長知事、埋め立て承認取り消し文書を13日付で送付へ | 沖縄タイムス+プラス okinawatimes.co.jp/article.php?id… @theokinawatimesさんから

2015-10-13 10:40:15

篠原章 SHINOHARA Akira
批評.COM主宰・評論家。1956年山梨県生まれで東京都在住。麻布高校・成城大学卒業後、成城大学大学院博士課程後期修了(経済学博士)。財界系シンクタンク、千葉商科大学助教授、大東文化大学教授(駒澤大学大学院客員教授も兼任)を経て現職。音楽文化、沖縄、社会経済一般などをフィールドとした評論・批評を執筆。

http://hi-hyou.com/profile

篠原 章 @akiran0723

辺野古埋め立て承認が翁長現知事によって取り消され、いよいよ法的手続きや司法の場で「雌雄を決する」段階がやってきました。が、実はこの「雌雄を決する」というのもあくまでもかたちだけのことではないのか、と僕は疑っています。これもまた茶番劇の一幕なのではないか、ということです。

2015-10-13 13:36:22
篠原 章 @akiran0723

この問題に関しては、行政手続法、行政不服審査法、公有水面埋立法などの法律が複雑に入り組んでくるので、正直迂闊なことはいえないのですが、翁長知事の承認取り消しに対して、国(沖縄防衛局)は、早速、行政不服審査法に基づき、国土交通大臣に審判を仰ぐという手を打つことに決めました。

2015-10-13 13:36:40
篠原 章 @akiran0723

この春、埋め立て事業に伴う辺野古海底の「岩礁破砕」が問題になった時、水産資源保護法に違反する疑いがあるとして、県は国による埋め立て作業の停止を指示しました。国はこれを行政処分と受けとめ、行政不服審判法に基づき、水産資源保護法の上級監督官庁である農水省に審査を求めました

2015-10-13 13:37:09
篠原 章 @akiran0723

水産資源保護法の監督は、国が自治体に委託した法廷受託事務との認識が背景にあります)。約一週間後、農水大臣は執行停止(埋め立て作業停止の停止=埋め立ての継続)を指示した上で、国の申し立てについて審査を行っています。

2015-10-13 13:37:46
篠原 章 @akiran0723

農水大臣には、県の指示を事実上無効にする権限があり、工事を続行させながら、審査手続きが進められているのです。国によるこの対抗措置には、県だけでなくマスコミも識者もアッと驚きました。「そういう手があったか」というわけです。

2015-10-13 13:38:30
篠原 章 @akiran0723

国は今回も同じ手を使おうとしています。ただし、今回審査を行うのは、農水省ではなく、公有水面埋立法を管轄する国土交通省。国からの審査請求に基づき、近日中に埋め立て作業の停止という県の指示は国土交通大臣によって覆されることなります。「工事停止措置の停止」ですね。

2015-10-13 13:39:03
篠原 章 @akiran0723

もちろん、国土省による審査は行われることになりますが、先の農水省大臣による審査ともども、最終的な審査結果が出るのは数か月先です。その間辺野古の埋め立て工事は「粛々と」進められることになります。

2015-10-13 13:40:01
篠原 章 @akiran0723

審査結果は、おそらく国にとって有利なものとなるでしょうから、その結果を受けて沖縄県は裁判所に埋め立ての是非の判断を仰ぐことになります。が、裁判所が結論を出すにはさらに1年かそれ以上の時間を要し、その間にも埋め立て作業は「粛々と」進められる可能性が高いと思われます。

2015-10-13 13:40:26
篠原 章 @akiran0723

訴訟を起こした場合も、沖縄県にとって不利な材料ばかりが目立つことになります。それはたとえば、以下の点です。(1)埋め立て承認に瑕疵があると勧告した第三者委員会の位置づけが曖昧であり、法的正当性を得られない可能性があること

2015-10-13 13:41:13
篠原 章 @akiran0723

(2)「瑕疵」の根拠とされた沖縄防衛局による環境アセスメントが形式的な要件を満たしているため、これを違法性の高い瑕疵と裁判所が判断する可能性が少ないこと

2015-10-13 13:41:41
篠原 章 @akiran0723

(3)沖縄県が行政手続法に基づいた「聴聞」の機会を国に与えてしまったため、国は法的に民間企業と同じく「県による行政指導を受ける立場」を獲得したことになり、「国の被った不利益」が裁判によって保障される可能性が高いこと

2015-10-13 13:41:52
篠原 章 @akiran0723

特に(3)の点が争点になります。知事の交替で承認が取り消され、それにより国が不利益を被ったと判断されれば、裁判所は知事の措置を違法と認めるでしょう。知事の交替で行政の一貫性が損なわれるとすれば、承認=許認可を受ける方は何を信じていいのかわからない。法治国として許されないことです。

2015-10-13 13:45:11
篠原 章 @akiran0723

以上の点を勘案すると、裁判が通例通り進められた場合、沖縄県側が敗訴する可能性はきわめて高いと思います。結果としてどうなるのか。審判があろうが、裁判があろうが、埋め立て工事は粛々と進められ、気がついたときには滑走路は完成してしまうわけです。

2015-10-13 13:45:26
篠原 章 @akiran0723

しかも、行政制度上の、あるいは司法制度上の最終的な結論(農水省・国土交通省の審判と裁判所による判断)も、国にとって有利なものになるでしょうから、翁長知事の一連の「辺野古反対」行動は水泡に帰することになります。知事の行動は、事実上「反対のための反対」の域を出ることはないでしょう。

2015-10-13 13:45:46
篠原 章 @akiran0723

辺野古移設は着実に進みます。翁長知事は、それと知りつつ意識的に「負け戦」を続けているのです。割を食うのは誰かは明らかです。何よりも翁長知事を信じて「移設阻止」ができると信じてきた県民と活動家、そして一連の「騒動」ともいえる事態に翻弄されつづける一般県民、一般国民です。

2015-10-13 13:46:14
篠原 章 @akiran0723

政府に対する義理も、共産党に対する義理も果たすことができる翁長知事は無傷で生き残るかもしれませんが、周囲はとんでもなく深い傷を負うことになります。騒動のあいだじゅう使い続けられる莫大な税金のことも考えると、なんともやりきれない気持ちになります。そ

2015-10-13 13:46:39
篠原 章 @akiran0723

そしてさらに決定的なことをいえば、普天間基地の危険性はその間もまったく除去されないということです。普天間周辺の住民は、翁長知事と行政に裏切られ続けるわけです。もちろん政府も加害者のそしりを免れませんが、「被害者面をした加害者」である翁長知事は許されるのでしょうか。

2015-10-13 13:54:56
篠原 章 @akiran0723

国が損害賠償を沖縄県に求めることもありえます。ただ、今回は、翁長=政府間で事前に話がついている可能性も否定できないのです。訴訟はと工事が並行して進められ、翁長知事は「反対」の立場を守りながら、国の辺野古移設を事実上許す。国もその筋書きを受け入れているのではないかと。

2015-10-13 14:07:17