書きものログ

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企画関連 ……とか

㈲東條企画 @kaharakikaku

「あいつのことなんざ全然知らん。血液型も知らねーし生年月日ってーか年齢もあれが本名なのかも知らね。あっ、甘いもんが好きなのはこないだちょっとわかった、そんくらい。あとはあのクソッタレの化け物どもを殺したいくらい嫌ってることくらいだ。そんだけでいいだろ、一緒に戦う理由とか」

2014-07-16 23:35:28
㈲東條企画 @kaharakikaku

昔、の、いわゆる馬鹿げた前世とかいう、そんな記憶があることが、どうしようもなく苦痛であるときがある。自分ではない自分の経験に食い潰されて、感情すら塗り替えられる、そんな。

2015-10-18 00:29:14
㈲東條企画 @kaharakikaku

好きだった。どうしようもない感情を抱いていた、その記憶は知識としてはある。知識として。名前を呼ぶたびに、目蓋の裏でちらつくような残像を見る、彼を呼んだつもりで、彼のものでない名前が唇から滑り落ちる、それがどれほどの恐怖か、果たして、言えない。言える、ものか。

2015-10-18 00:33:34
㈲東條企画 @kaharakikaku

違う、と。否定して、否定できるだけの根拠がどこにもないこと。この感情が自分のものであると確かな拠り所を見失うから、だから。彼でない彼だけの名を、ただ、狂ったように、繰り返して、みっともなくすがることしか出来なくなる。

2015-10-18 00:37:54
㈲東條企画 @kaharakikaku

甘いだけの感情に溺れて肥えるより、地の果てまでも執着しそうな憎悪の瞳に殺されるのがよほどいい。ぞくぞくと背筋を駆け昇る快感に笑いながら、睦言をささやくみたいに喉元に歯を立てる。

2015-04-21 01:10:31
㈲東條企画 @kaharakikaku

@seri_ym56 鉄錆味の沈黙を飲み下し、怨嗟の沼を踏み砕き、鼓動を巡る罪科の赤色。逃げる気ならば疾うに失せ、赦されるつもりなど毛頭ないと嘯く生者の戯言を、延びる影がわらう。

2014-04-18 22:42:58
㈲東條企画 @kaharakikaku

首筋に触れた指先は冷たかった。目をあければ伸びた腕の先によく知る人がいる。彼の泣き出しそうな顔をもう見なくてもよくなるのなら、このまま死んだっていいのかもしれないと思いながら目を閉じて息を詰めて、胸の上に落ちてきた愛しい重さと熱を受け止めた。(長い眠りの入口で)

2015-08-04 01:07:29
㈲東條企画 @kaharakikaku

「俺はね、」部屋の隅で呆けていたような少女が唐突に言う。底の見えない瞳の紫、悪魔の美貌。俺はね、と、もう一度繰り返して。「希望も絶望も人の内にあるかぎりは愛すべきものだと思うんだ」 ……なんだこの下書き。覚えがない。

2015-01-01 06:58:23
㈲東條企画 @kaharakikaku

はじめて目にするような好戦的な表情で、短い吐息には嘲笑がまじる。なのにしくりと板についていた。鋭い熱を燃やす瞳も、獰猛な笑みも。なんだ。と思う。知らなかっただけ。最初からここにいたんじゃないか。吼えたくなるような歓喜をひとり呑み込む。(同じところまで堕ちてきてほしいと願っていた)

2015-08-04 01:03:34

カードワース

㈲東條企画 @kaharakikaku

闇夜から死臭を纏う傀儡が襲う。混血者の瞳は見通して、武骨な刃と月下の円舞を二差、三差。指先が虚空に陣を刻み、唇が空虚に呪を謳い、世界の因果は彼に頭を垂れて従った。一呼吸のうちに十を越えていたはずの傀儡は等しく崩れ、ただ沈黙を差し出すだけのがらくたに変ずる。

2015-10-22 23:36:59

ダブルクロス

誰かの覚醒

㈲東條企画 @kaharakikaku

闇を固めたような真っ黒な剣が、見下ろした自分の胸から生えていた。あらゆる認識も感情も置き去りにして呆けた頭の片隅で、ああ死んだな、と底抜けに場違いで間抜けな感想だけを抱いたまま仰向けに倒れてようやく、感覚が意識を渾身の力でぶん殴った。

2015-09-22 21:56:02
㈲東條企画 @kaharakikaku

呼吸さえ許さない灼熱の激痛が胸を焼いて、命が急速に失われる冷酷に身体が犯される。耳は理解することもできないままで、自分を見下ろす幾人かの会話を拾っていた。濃密な死に頸を締め付けられながら、唐突に自分を満たす激情に気づく。形も不明瞭なそれはたぶん、憤怒とかいうものだ。

2015-09-22 23:20:33

アンライトの

㈲東條企画 @kaharakikaku

「俺自身はなんにもできねーっすよ、いやほんとに」真っ黒な頭髪をがしがしとかき回しながら男はぼやく。誰にも影響しない、地に延びるだけの無力な影。それこそ彼のコードネームの由来であり、影だからこそ、彼は主であるものの意思に忠実に動くのだ。おそろしいほどに。

2015-09-20 00:56:36
㈲東條企画 @kaharakikaku

鉄錆の臭気が鼻についた。フローリングの黒い染みはいまだ一部乾ききっていない。ろうのように白く投げ出された手足に点々と散る赤い血の痕に、ひどく喉が渇くような錯覚がして、どくりと心臓が大きく脈を打って、後に無力な影を名乗り始める男は、とても静かに自身の異能と狂気の発芽を自覚した。

2015-06-06 22:36:22
㈲東條企画 @kaharakikaku

最小数の犠牲ではなく最大数の救済でもなく、ただ彼の結果が正義であるだけ。なぜなら彼は【無力な影】だから。周囲の人間がより多く正義を目指すなら彼の為すものは正義になる。

2015-06-08 17:36:49

ミサキのはなし

㈲東條企画 @kaharakikaku

飛び込むみたいに闇に踏み込み落ちて、目を閉じれば。耳に、囁きにも満たないかすかさで届く声がある。誰か。その誰かが僕である必要はないけれど、僕以外である必要もないのなら。目を開けば枯れた空と大地と、それからきっと誰かを求めた誰かが見えて。はじめまして。そう言って僕は笑う。

2015-01-15 22:55:35
㈲東條企画 @kaharakikaku

ぱちりと革表紙の手帳を閉じて、ミサキは思案する。そこに記されていた誰かにまったく覚えがない。物資にいささか乏しいこの世界において、合理主義を好む自分が戯れに紙面を浪費するとも思えない。つまり自分の筆跡で記されている事柄はほぼ全てにおいて事実であり、それが記憶にないのはすなわち。

2015-01-17 22:12:00
㈲東條企画 @kaharakikaku

痛みこそ生存の証明だと誰かが言っていたような気がする。誰が。いつどこで何をしてどのように出会った人が。3秒考えて思い出せなかったので諦める。どうせ有益ではない。そんな言葉を吐く相手に何をするか想像がついたし、今でもそうする気がしたものだから。

2015-04-03 18:43:23
㈲東條企画 @kaharakikaku

たとえば海に流れた笹の船が源泉に沈むことがかなわないみたいに、黄泉路をたどった人はもう生者になれないみたいに、昨日の先に今日があるみたいに。

2015-04-12 00:06:41