空想の街 2015年ハンツピィ「#仕立屋」

ちょびっとだけ参加した記録。
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今回参加を見合わせるつもりだったんですが公式さんからのアナウンスがあまりにもうち向けだったんで、少々拾っておきたくて仕立屋動かした結果、最後はユメウツツで書いています。もうホント文章ぐだぐだです。それはいつもです。ありがとうございます。
気づいてくださった方々に気づいてはいたんですけどご挨拶もできずに申し訳なく。ユメウツツでした。でも嬉しかったです。ありがとうございます。

七歩 @naholograph

忙しかった。宴の準備に追われ、片付けに追われているうちにすっかり宴は終わったみたい。昼過ぎ、在庫の花柄の布という布が突然香りだし、店中のにおいが大変なことになって目が覚めた。この街では本当に色々なことが起こる。#空想の街 #仕立屋

2015-10-26 19:30:17
空想の街公式アカウント @humptyhumtpy

ただ今、花柄から花の香りがするという事態が起きています!柄に使われている花によって香りは異なるみたいです。2時間ほどで収まるそうですが、食事中の方は花柄の食器などは避けた方がいいかも。(堂坂みかこ) #空想の街

2015-10-26 15:00:32
七歩 @naholograph

ぼんやりしてお茶なんか飲んでいた。そういえばヒイロたちは帰ったのだろうか。宴の仕度を色々頼まれていたから来てはいるのだろうけれど、忙しすぎて会えていない。一緒に東の国のおいしいお酒を呑みたかった。なんて思っていたちょうどその時。#空想の街 #仕立屋

2015-10-26 19:31:55
七歩 @naholograph

「ちょっと仕立屋あの子達知らない?」突然扉が開いたかと思えばヒイロだ。別の街へ旅立ったと思っていたのに。「あの子たち?」「あのうさ耳」ああ、あの子たち。そう言えばここ数日見かけていない。「宴にも来なかったしどうしたのかしら」#空想の街 #仕立屋

2015-10-26 20:04:48
七歩 @naholograph

「宴にも?」ということは宴の準備を届けに行ってもらった2,3日前が最後か。「あんたに頼んだ仕立ての品を届けてもらった日、あの子たち忘れ物してったの。宴で会ったときに返そうと思っていたのにこなかったのよね」ヒイロからクルクル丸まった2枚の紙らしきものを預かる。#空想の街 #仕立屋

2015-10-26 20:18:29
七歩 @naholograph

「まかせてごめん。また次のハンツピィで」名残惜しそうなヒイロに心配しないでと手を振る。彼女が他のメイドたちと共に次の街へと旅立たねばならない時間であることは知っていた。彼女にはすべきことをして欲しい。幼馴染みとして、ままならぬ恋をする同志としてそれが私の望み。#空想の街 #仕立屋

2015-10-26 20:24:47
七歩 @naholograph

旅こそがその恋を守るものなら揺るぎなく続けて欲しいのだ。 馬の嘶き、馬車が走り出す音、ああもう行ったなと思う。忙しくて今年はヒイロともヒイロの仲間のメイドたちともまるで会えないハンツピィだったけれど、生きているなら必ず会えるとあまり気にしていなかった。けれど。#空想の街 #仕立屋

2015-10-26 20:51:07
七歩 @naholograph

生きていれば。それは生きていればの話だ。#空想の街 #仕立屋

2015-10-26 20:52:02
七歩 @naholograph

自問してまさかと打ち消す。そんなはずはない。あの子たちが来ない日なんて他にいくらででもあった。だけどあの子たちの忘れ物に気づいた時にヒイロは呼んだはずだ。あの地獄耳でそれが聞こえないだなんて。それにか何かありそうな予兆なんてなかった。#空想の街 #仕立屋

2015-10-26 21:12:13
七歩 @naholograph

だけどあの人の命も、ある日突然あっけなく摘み取られたわ。#空想の街 #仕立屋

2015-10-26 21:16:56
七歩 @naholograph

ブーツのヒモを大急ぎで結び直して扉を開けるとカランカランとけたたましく響く。いつものクセで見上げる時計塔の時間などみていない。石畳を歩く。足音が少しずつはやまることに気づかないふりをする。走らない。走ったりしたらまるで何かが起こったと信じているみたいじゃない。#空想の街 #仕立屋

2015-10-26 21:19:10
七歩 @naholograph

そう言えば自分からあの子たちの家に向かったことなんかほとんどない。いつも気がついたら鬱陶しいくらい側にいて、本気で鬱陶しいと思ってた。悲しいとか寂しいとか思うより前にあの子たちは側にいた。もしかして聞こえていたのかと思う。だとしたらそれはどんな音なのだろう。#空想の街 #仕立屋

2015-10-26 21:27:10
七歩 @naholograph

これだけ考えて心で呼びかけても答えない。声に出して呼ばないのは名前を知らないからではなくて確かめるようなことしたくないから。呼ばないんじゃない。呼べないのだ。石畳を越えて辿り着いた小さな家の前で一息つく。ノックをする。#空想の街 #仕立屋

2015-10-26 21:49:13
七歩 @naholograph

返事がない。扉を開けてみる。開いてる。真っ暗な部屋はシンと静まりかえっている。入口で灯りをつけた。今には誰もいない。扉はもうひとつある。そちらを開けてみる。薄明かりの中人影が見えた。#空想の街 #仕立屋

2015-10-26 21:54:46
七歩 @naholograph

乱れた室内。床の上に転がった二人。うさ耳補聴器はあっちにこっちに転がっている。 もしかしてこれは。これは。 ・・・・・・寝ている? #空想の街 #仕立屋

2015-10-26 22:09:18
七歩 @naholograph

今まで張り詰めていた気持ちの糸がプチッと切れる。完全に眠っている。床に寝ているのはベットから落ちたからだろう。だけどそれだけじゃ説明がつかない。2日も3日も家から出ずに眠るだなんて。とりあえず私は姉妹をベットに戻すことにした。抱き上げて気づく。熱い。#空想の街 #仕立屋

2015-10-26 22:14:08
七歩 @naholograph

「「仕立屋!!」」さすがに目が覚めたらしいがいつもの騒がしさはない。二人をそれぞれベッドに寝かせてうさ耳補聴器をベッドから離れた棚に置いた。「おお耳!」「我々の!」「「愛しき耳が!!」」戯けてみたところで息も絶え絶え。いつもの元気はない。#空想の街 #仕立屋

2015-10-26 22:23:30
七歩 @naholograph

「「だって聞こえないよ・・・・・・」」しょんぼりする二人に耳は要らないと言う。細かい音までわからなくともおおよその意味くらい伝わっているはずだ。二人共に毛布を肩までかけてあげた。「我々ずっと寝てたし」「だからもう大丈夫だし」「「ゲホゲホ」」#仕立屋 #空想の街

2015-10-26 22:35:36
七歩 @naholograph

「仕立屋ぁ」「仕立屋ァ」耳なんかつけていないのにしょんぼり垂れるのが見えるようだけれど、つけるわけにはいかない。だってあの耳はとてもよく聞こえるから。なんでも聞こえてしまうから。聞かれたくないことなんかもきっと、例えば私が心底心配した音だとか。#仕立屋 #空想の街

2015-10-26 22:40:16
七歩 @naholograph

声を聞きたくてうずうずしているのは伝わってくる。安心させてあげたいのもやまやまだけれど今は私を優先させる。その代わりにと私は二人それぞれの頭にキスをした。「「!!!!!」」目をまんまるにしてそれから毛布に隠れる二人。しばらくトントンしていると寝息が聞こえた。#仕立屋 #空想の街

2015-10-26 22:45:27
七歩 @naholograph

ま、あとは寝てりゃ治ると思う。#仕立屋 #空想の街

2015-10-26 22:47:08
七歩 @naholograph

すっかり夜も更けた石畳の道をとぼとぼ引き返す。あの子たちの目が覚めるまでにはちゃんとしようと思いながらふと思い出した。そういえばあの子たちがヒイロのところに忘れていったものってなんだったんだろう。二つの紙はまだくるくるに閉じられたまま手元にある。#仕立屋 #空想の街

2015-10-26 22:58:21
七歩 @naholograph

店に帰るとまだ片付いていない仕事道具の向こうから、ドールハウスの住人花魁ねえさんが顔を出した。姉妹をことのほか気にいっている彼女は心底心配しているようで、風邪だったと教えると祈るような仕草をした。優しい人だなと思いながら、私は気になっていた紙を開く。#仕立屋 #空想の街

2015-10-26 23:23:59
七歩 @naholograph

そこには地図が。よく見ると「流星がよく見える」とか「尻尾獣冬眠穴」とか「一面花畑!」だとか。それはこの街の地図だ。たくさんたくさん書き込まれた紙をみて花魁姐さんはほうとため息をもらす。「産地じゃ」つまり布をつくるのに必要な場所が記されているとねえさんは言う。#仕立屋 #空想の街

2015-10-26 23:32:37