無用死合―第一幕―

アンケート機能を使った分岐型ss試作
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さうす @sa__za_n_

@toukenTL 「今から二人にはどちらかが折れるまで死合をしてもらう」頭に響く審神者の唐突な宣言の直後、本丸にいたはずの御手杵と同田貫正国は金網で囲まれた広い檻の中にいた。互いに戦装束で得物を持っている。周りは仮面を被った観衆が二振を見下ろしていた。 #無用死合

2015-10-30 22:18:23
さうす @sa__za_n_

@toukenTL 「どうするよ、御手杵。悪趣味だが……」正国は、困惑した表情ながら、既に彼の刀の鯉口を切っている。彼は決めたのだ。御手杵は迷った。逃げるにも、金網は硬そうであるし、見える出口は一つ。機械兵の門番がいる。#無用死合

2015-10-30 22:21:55
さうす @sa__za_n_

@toukenTL 「こうするしかねえなあ!」御手杵は不敵に笑いながら槍を構えた。穂先と鋒が触れる。正国は安堵したように笑った。振り返れば、御手杵の死角には銃を持った機械兵。断ればおられていたのだろう。唾を飲み御手杵は――#無用死合

2015-10-31 00:43:35
さうす @sa__za_n_

@toukenTL 構わずに槍を突き出した。ごちゃごちゃと考えている暇はない。折るか、折られるか。その高揚感に酔い、御手杵は同田貫に突きかかった。幾合打ち合う硬質な音が心地いい。同田貫が振るう刃を御手杵は―― #無用死合

2015-10-31 00:55:13
さうす @sa__za_n_

@toukenTL 身を退いて避ける。槍は間合いの感覚が命綱だ。懐に入って来られては殺りにくい。ふ、と息を吐いて同田貫を見据える。爛々と光る金の瞳が殺気を纏う。御手杵は槍を構え直してハッとした。そこにあるのは―― #無用死合

2015-10-31 01:11:10
さうす @sa__za_n_

@toukenTL 同田貫正国の微かな隙だった。正国が何を見ているのか御手杵にはわからない。だがその一瞬の隙を見逃す程御手杵は衰えてはいなかった。反射的に繰り出した槍穂が空を割く風切り音。咄嗟に刃で防がんとする正国に―― #無用死合

2015-10-31 01:30:17
さうす @sa__za_n_

@toukenTL 御手杵は同田貫の刃ごと押し貫こうと槍を繰り出す。同田貫の身幅の広い刃の鎬に槍の鋒が当たる。鋼の噛み合う重い音に同田貫は口元をにやりと歪めた。ぎちぎちと拮抗する穂先と刃。このまま貫けば、折れるだろう―― #無用死合

2015-10-31 23:24:48
さうす @sa__za_n_

@toukenTL 御手杵は更に力を込めた。ああ愉しい。殺してもいい戦いのなんと楽しいことか。同田貫は黄金色の目を見開いて、御手杵の力強さに驚いたようだった。「御手杵っ」「俺の勝ちだなあ」正国は最期に笑みを浮かべた。#無用死合

2015-11-01 00:22:57
さうす @sa__za_n_

@toukenTL 御手杵はその笑みに呆然と立ち竦む。カンカンと鳴り響く鐘の音に、音の来た方を見る。音がする――歓声だ。仮面を着けた人間たちが醜い歓声を上げている。ただ一人泣き崩れている人は主だろうか。機械兵が御手杵を取り囲んだ。動けぬまま、御手杵は引きずられる。 #無用死合

2015-11-01 01:16:26
さうす @sa__za_n_

@toukenTL がしゃん、と閉められたのは座敷牢のような部屋だった。御手杵の槍は離されている。御手杵は自失のまま惚けたように狭く天井を見上げていた。――強くなったな。そう声無き声で笑った正国の顔が瞼の裏から離れない。いつまでそうしていただろう。 #無用死合

2015-11-01 01:20:08
さうす @sa__za_n_

@toukenTL 次に座敷牢を引き出され御手杵の槍を掴んだとき。御手杵の目の前に居たのは見慣れた太刀だった。御手杵はそれを壊した。折った。砕いた。その度に座敷牢は豪華になった。もう初めに壊した刀も解らない。次の相手は――#無用死合

2015-11-01 01:24:57

以下感想

さうす @sa__za_n_

@toukenTL ―無用死合第一幕・完― 二人で脱出及び二人共生存ルートを予定していたのだが、まさかの1番後味悪いルートに。途中でクトゥルフ実況見てた所為かな。主に気がついたり、同田貫の刃を避けたりしたら、保護ルートか折れたふりルートだったのだが……面白かったー!

2015-11-01 01:29:49

以上!