【へし燭】奪われた記憶の行方を追え―燭台切光忠編

投票機能を利用したノベルゲーム風の小話。へし燭のへし切長谷部が攫われてしまい、それを助けに行く燭台切光忠が選択した一つの結末。
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暁 湊🍙原稿モード @akatsuki9071

ある日、戦場でへし切長谷部が忽然と姿を消す事件が起きた。じわりじわりとその数は増えて行き、ついに100を越えた。その魔の手は、本丸待機を命じられていたへし切長谷部にも伸びる。引き離された長谷部と光忠。本丸総出で長谷部の居所を調べ、何とか位置を特定することはできた。

2015-11-02 00:27:19
暁 湊🍙原稿モード @akatsuki9071

@akatsuki9071 長谷部奪還の為に隊が組まれたが、そのどれにも光忠の名は記されていなかった。何故と詰め寄る光忠に、審神者は告げる。「敵はお前だよ、燭台切」長谷部をさらったのは、燭台切光忠だった。へし切長谷部に愛されたいと願い、それが叶わなかった別の本丸の燭台切光忠だった

2015-11-02 00:29:48
暁 湊🍙原稿モード @akatsuki9071

@akatsuki9071 敵は、へし切長谷部の中にある「燭台切光忠を愛した記憶」を欲しがった。故に、燭台切光忠と結ばれた個体が選ばれた。そして、その記憶を抜き取り、自分の物にしようとしているのだと、審神者は告げる。抜かれた記憶は、おそらくは元に戻らないと石切丸が言葉を重ねる。

2015-11-02 00:31:33
暁 湊🍙原稿モード @akatsuki9071

@akatsuki9071 「それでも、お前は行くか?お前の知っている長谷部は、もういないかもしれないよ」審神者の問いに、光忠はゆっくりと目を閉じる。深呼吸を一つ。そしてゆるりと目を開けて―――

2015-11-02 00:34:42

▶迎えに行くよ。僕の、長谷部くんを(戦う)85%
 帰って来るよ。僕の、長谷部くんは(待つ) 15%

暁 湊🍙原稿モード @akatsuki9071

@akatsuki9071 「迎えに行くよ」そう告げる光忠の目に迷いは無かった。審神者も仕方がないなと思いながら、それ以上何も言わなかった。再度編成された部隊には、光忠が組み込まれた。前線に向かう、第一部隊に。「謹んで、拝命します」深々と頭を下げた光忠の脳裏に彼の人の姿が浮かぶ。

2015-11-02 20:23:28
暁 湊🍙原稿モード @akatsuki9071

@akatsuki9071 一緒にいる期間が長すぎて、言葉まで移ってしまったらしい。緩んだ頬を引き締めて、光忠は隊を率いて戦場へ向かう。審神者が間違いないと道を繋げた場所は、朽ち果てた本丸だった。禍々しい気配に、思わず顔を顰める。頬を撫でるじめっとした風が不快だった。

2015-11-02 20:26:02
暁 湊🍙原稿モード @akatsuki9071

@akatsuki9071 「いるね」黒い霧の向こうを青江が睨む。光忠には何も見えないが、後ろに控える石切丸にも何か感じているらしい。警戒を怠らず、ゆっくりと敷地内へ足を踏み入れる。その時、光忠の耳が音を拾う。それは―――【分岐】

2015-11-02 20:28:43

▶誰かの声だった 60%
 鈴の音だった 40%

暁 湊🍙原稿モード @akatsuki9071

@akatsuki9071 「……?」誰かの声だった。小さくて何を話しているかはわからないが、何かを話しているようだ。「声が、聞こえる」そう口にすると、石切丸が方向を聞いてくる。耳を澄ませると、その声は今にも朽ち果てそうな母屋、からではなくそれよりさらに奥から聞こえる。

2015-11-03 14:13:45
暁 湊🍙原稿モード @akatsuki9071

@akatsuki9071 それを告げると、審神者は母屋から鈴の音がすると言った。何が起こるかわからないが、長谷部の身を考えるとあまり探索に時間をかけるわけにはいかない。青江は審神者と共に母屋へ。敷地の奥へは石切丸が同行することになった。互いの無事を願いながら、隊は二つに分かれた

2015-11-03 14:15:34
暁 湊🍙原稿モード @akatsuki9071

@akatsuki9071 枯れ果てた池、荒れ果てた畑を通り過ぎたところにあったのは、離れだった。そこだけは、まるで今建てたばかりのように綺麗だった。話し声はその中から聞こえる。ここまで近づけば、声の主はわかった。「長谷部くんの声だ」どうりで光忠の耳がもれなく拾うわけだ。

2015-11-03 14:18:08
暁 湊🍙原稿モード @akatsuki9071

@akatsuki9071 急ぎたくなるのを堪えながら慎重に近づく。部屋に入る扉は、渡り廊下の先にしかない。土足で乗り上げると、ぎしりと音を立てた。無作法には目を瞑り、光忠は扉に手をかける。「光忠、なのだろう、あれは」ぴたりと手が止まる。中で長谷部が誰かと話をしているようだ。

2015-11-03 14:22:53
暁 湊🍙原稿モード @akatsuki9071

@akatsuki9071 光忠、と彼が呼ぶのはおそらくは自分のことだ。一体何の話をしているのか、気になってしまう。扉は、おそらくすんなり開くのだろう。怪しい気配はないと石切丸も言っている。光忠はそのまま―――【分岐】

2015-11-03 14:26:46

 扉を開ける 46%
▶話を立ち聞きする 54%

暁 湊🍙原稿モード @akatsuki9071

@akatsuki9071 長谷部の話を聞くことにした。もちろん、危険が迫ればすぐにでも扉を開けられるように、手は添えたままだ。中に誰かいるのなら、状況を理解しないまま突入するのは得策ではない。そう言い聞かせて、光忠は中から聞こえる声に集中する。

2015-11-04 20:07:55
暁 湊🍙原稿モード @akatsuki9071

@akatsuki9071 「あれ、か。随分な言い草だな」「もう、俺が知っている光忠ではないからな。恐らく光忠も、俺をもう、覚えてはいないだろ」聞こえる声音は一つ。けれど、独り言にしては声の調子が違う。一つは光忠の知っているもの。もう一つは、知らないものだ。

2015-11-04 20:11:42
暁 湊🍙原稿モード @akatsuki9071

@akatsuki9071 「姿の無い俺より、目に見えるへし切長谷部を求めている。俺の声はもう、届かんさ」その言葉にはっとする。長谷部が話しているのは、燭台切を愛したへし切長谷部だ。一連の騒ぎの元凶が求めた刀。こんなに近くにいるのに、あれは気づいていないと言う。

2015-11-04 20:18:33
暁 湊🍙原稿モード @akatsuki9071

@akatsuki9071 それは、なんと切ないことか。こんなに求めてやまない存在が、近くにあると言うのに。哀れに思わなくもないが、光忠の愛する長谷部を渡してやる道理はない。会話が途切れた瞬間を見計らって、光忠は扉を開ける。すんなりと開いた扉の向こうに、長谷部がいた。

2015-11-04 20:22:36
暁 湊🍙原稿モード @akatsuki9071

@akatsuki9071 「長谷部くん!」「……光忠、か?」緩慢な動作でこちらをみた長谷部に近寄り、身体を検分する。防具は無いが、怪我もない。顔色が悪いことが気にかかるが、意識もはっきりしているようだから一先ず問題はないだろう。「迎えに来たよ、さぁ、帰ろう」

2015-11-04 20:24:31
暁 湊🍙原稿モード @akatsuki9071

@akatsuki9071 光忠の言葉を認識しているはずの長谷部は、しかし立ち上がろうとしない。まさか立ち上がれないのかと光忠が手を伸ばすが、長谷部の身体は酷く重く、持ち上げることは叶わなかった。普段では考えられないことに動揺する光忠を、どこかぼんやりと長谷部は見ていた。

2015-11-04 20:26:07
暁 湊🍙原稿モード @akatsuki9071

@akatsuki9071 肩に乗せられた手に、長谷部が触れる。その冷たさに、光忠は息を飲む。そんな光忠を見上げながら、長谷部は口を開く。「すまない、俺は―――」【分岐】

2015-11-04 20:28:05

 まだ、帰れない 38%
▶もう、帰れない 62%
(ここだけ長谷部の行動選択でした)

暁 湊🍙原稿モード @akatsuki9071

@akatsuki9071 「俺は、もうお前の元へは帰れない」それは、小さな声だったけれど、やけに大きく光忠には聞こえた。部屋が、静かだからだろうか。「何を、言って…」動揺から長谷部の肩を掴む手に力がこもる。それでも、長谷部はぼんやりとした視線を光忠に向ける。

2015-11-06 02:20:45
暁 湊🍙原稿モード @akatsuki9071

@akatsuki9071 「他のやつと同じだ。俺は、もう、お前のことをほとんど覚えていない」悲しげに、長谷部は告げる。光忠が好きだ、という事実だけは覚えているのだという。そして、ここにいる燭台切が自分の好きな光忠ではないということもわかるという。

2015-11-06 02:43:51
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