ヴァルキリードライヴのシャルロットが雑魚ピンクとか言われてちょっと可哀想かなと思ったので、あの爪が砕かれるシーンを格好よくしてみようと思って文字に書き起こしたやっぱり時雨霞さんに全部持ってかれた。
2015-11-06 00:53:03相対距離を瞬きの間にゼロへ切り刻むシャルロットの突進。 妖しく煌めくアームの鉤爪。 これとまともに打ち合うの危険─── 受ければ裂かれる。魅零の直感が、そう告げていた。 経験上、こうした直感が誤っていたことは無い。
2015-11-06 00:58:41交錯。 ぱきん、と。 シャルロットの鉤爪が砕けていた。 翻る鉤爪の先端─── その斬れ味が最も効果を発揮する箇所より下の、爪の根元。 魅零の操る剣技が、その箇所を精密機械じみた動作で刈り取っていた。
2015-11-06 00:59:39「引き裂けないものはない、私のアームが……!」 信じられない、とシャルロットが戦慄く。 それは、元より短気であった彼女を容易く激昂させた。 「───馬鹿なッ!」 シャルロットが吼える。 そして、疾った。 先の交錯は何かの間違いなのだと言うように。
2015-11-06 01:00:17常に上位へあらねばならぬという彼女の矜持が、破れかぶれの吶喊を敢行させていた。 魅零はそれに対し、無慈悲に大剣を翻す。 眼を鋭く細め、再び一閃を放とうとし─── ぞくり、と。 背筋を疾り抜けた悪寒に、その動作を中断させていた。 側面から迫る猛禽の鉤爪を魅零は幻視する。
2015-11-06 01:00:46魅零が咄嗟に掲げた左手の防御に、猛禽の鉤爪が突き刺さった。 凄まじいく鋭い衝撃に身体が弾かれる。 衝撃に眩む魅零の視界に、短いく切り揃えられた黒髪が揺れる。 時雨霞の、飛び膝蹴りであった。
2015-11-06 01:01:14戦慄。 地煙を上げながら後退し、体勢を立て直そうと顔を上げた魅零が見たのは疾風の如く左右に転旋する時雨の姿。 そして、時雨の姿が消えた。
2015-11-06 01:01:47ぞくり。 反射的に顎を防御する。 瞬間、颶風がそれを叩いていた。 死角へ潜り込んだ時雨が放った、下方からの変形後ろ蹴り。 それが槍のように伸びて、魅零の防御ごと顎を打ち抜いていた。
2015-11-06 01:02:09みり、という肉が軋む音。 瞬間的に膨張した時雨の筋肉に、ストッキングが耐久限界を越えて破れていた。 鍛え上げられた大腿四頭筋が惚れ惚れとするような美しい凹凸を作っていた。 衝撃。 魅零の身体が宙高く打ち上げられる。 そして受け身も取れず地へ叩きつけられた。 魅零の顔が苦痛に歪む。
2015-11-06 01:02:35───勝負あり。 それを告げるように、処女のドライヴが解けて崩れ落ちる。 それに溜飲が降りたのか、落ち着いた様子のシャルロットが前に出て微笑した。 「流石はヴェルターのコマンデュール───“ゼロアーム”の異名を持つ、時雨霞……」
2015-11-06 01:02:56時雨の眼鏡が反射光に煌めく。 かちり、とブリッジを中指で押し上げて眼鏡をかけ直し、魅零たちを見据える。 「大人しく、投降しなさい」 決然と告げるその声が戦の余韻を切り裂くように、静寂へ響き渡っていた。
2015-11-06 01:03:16“蒼鷹変”
時雨霞の過去にスポットを当てたスピンオフ作品で「ヴァルキリードライヴマーメイド“蒼鷹変”(著:夢枕獏)」とか出ないもんでしょうか。
2015-11-06 19:07:00「ヴァルキリードライヴマーメイド“蒼鷹変”」 序章 鷹の紋章 二章 人魚の鷹匠 三章 鷹狩の女皇 四章 猛禽の宴 五章 猛禽旋舞 終章 無手の蒼鷹 という具合に章題までは考えたので後は宜しくお願いします。
2015-11-06 19:28:29帰りの新幹線ではえらく酔って非常に気分が優れなかったので、『チンピラの顎を爪先で蹴り上げて下顎を上顎にめり込ませ、天に伸び上がった右脚を翻してそのまま踵を戦斧の如く叩き落とし頭蓋を陥没させる時雨霞さん』をイメージし続けて強い意志を保っていた。
2015-11-08 21:40:41上海で金品の護送任務を請け負っていた用心棒“時雨霞”がチンピラの集団に捕まってしまう。男の一人がその護送車の移動ルートを教えろと言いながら倉庫の柱に拘束された時雨霞へ腹パンするが、鍛え上げられた腹筋は無情にもチンピラの拳を砕いていた─── みたいな話をさっきから考えていた。
2015-11-09 11:52:54埠頭沿いの倉庫群。 その一つの中で、時雨は男に囲まれていた。 背中側に回された手には手錠が掛けられており、それが鉄柱を介している。 時雨は、拘束されていた。
2015-11-09 13:49:51「護送車の移動ルートを話してもらおうか」 男の一人が言う。 「素直に話せば、後はお前も楽しませてやるぜ───」 下卑た笑みを浮かべて男が言う。 にやにやと、他の男達も粘ついた視線で時雨の肢体を舐め回す。 しかし、時雨はそれを意にも介さずに倉庫の中を見回していた。
2015-11-09 13:51:02「これで、全員ですか?思ったよりも少ないですね」 「けっ」 時雨の言葉が強がりに聞こえたのだろう。 拘束されながらも表情を変えない時雨を見ながら、男達がサディスティックに笑った。 「恐かったら叫んでもいいんだぜ?助けは来ねえだろうがな」 愉悦を双眸に浮かべて男が言う。
2015-11-09 13:52:22「えぎっ!?」 ペき、という乾いた音。 男の手首が砕けた音である。 鍛え上げられた時雨の腹筋は、拳を容易く弾いていた。 時雨が嘲るように眼を細める。 鍛えられた腹筋を素手の拳で叩くのは、素人にとって岩を叩く事に等しい。 時雨にとって、男の拳はマッサージのようなものであった。
2015-11-09 13:54:17「てめえっ」 時雨を囲む男達が激昂する。 その内の一人が顔に拳を突き出してきた。 それを見て時雨が嘆息する。 ゆらり、と。 慌てずに、自由の効く頭を動かした。
2015-11-09 13:57:12