光輝燦然の仮面とその後

霧雨の鎮守府＠SS＆脳内設定アカウント @kirisame_zaha

～光輝燦然の仮面とその後～

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1. 「すまない…か……フッ…謝られる筋合いなんて無いさ…俺は俺の欲望でここにいる……」 「すまない」としか言えなかった俺に対し仮面ガンナーと名乗る男はそう言った。これ以上返す言葉が出てこなかった 仮面ガンナーが手にしているは八卦炉、山一つ薙ぎ払える火力を持つと言われる

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2. だが相手は深海棲艦だ。摩訶不思議なこの八卦炉は役立たずなのはすでに搭載銃槍から明らかだ。だが彼の持つ「再構築」の力と融合した場合は……？ 状況はともかく仮面ガンナーは軽巡棲鬼にそれを放つつもりだ……おそらく最大出力、通称「マスタースパーク」を

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3. 「榛名さんたちの回収が完了しました。全速力で離脱します」 大鳳からの通信が入ったところで「よほろ」は再び動き出す 続けて仮面ガンナーからの通信……そう、それが彼からの最後の通信であった 「俺は…仮面ガンナー……ザハ提督よ…お前もせいぜい…自分の欲望を護ることだな……」

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4. 軽巡棲鬼が仮面ガンナーの不穏な動きを見て斬りかかるように見えた……がどの直後に眩い閃光が軽巡棲鬼を、そして仮面ガンナーもろとも包み込むのが甲板上に残っていた俺からもはっきりと見えた 海を割るかと思うほどのその光は直視できず、目を下に逸らす

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5. 下を向いている間、俺は何を考えていたのだろうか。この仮面ガンナーという男もハンター、しかもG級クラスである出自。提督籍を持ちながら艦娘を「サルベージ」するという特殊な経歴。そしてそれらの情報は大本営に伝えられていないどころか抹消されていたこと

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6. そして仮面ガンナーが言ってた「世界の壁」。そして先の戦艦棲姫との一件。この世界には知らないところで動いていることが多すぎる。 閃光が消えたと同時に仮面ガンナーのいたほうへ視線を向ける。 だがあの禍々しい軽巡棲鬼も、そして仮面ガンナーの姿も無かった

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7. 通信機に呼びかけてみたが当然反応は無い。 もしかして軽巡棲鬼と刺し違えたか……先ほどとはうって変わり航跡のみが残る静かな海が残酷な現実を映し出していた 艦娘の轟沈はもちろん形は何であれ提督を失うことだって避けたい。だが……あの時はあれしか手段はなかった

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8. だが彼は例えるなら艤装を纏ったハンターだ。もしかしたら……の話だがハンターの体力ならひょっこり生きているかもしれない。そう思うとまたいつか会える、そんな予感もした。 まだ大規模作戦前だ、ここで余計なものを背負い込んでどうする。

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9. まだ大規模作戦前だ。今回の大規模作戦も知るべきことが多く参加を志願した。それとともに先ほどの仮面ガンナーの言葉を思い出す 「自分の欲望を護る……か。少なからず、戦艦棲姫のあの話の真意をみなくては」 ふとそう口に出したところで、無線機への大鳳からの呼び出しに気づき船内に戻った

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10. 榛名、利根、青葉の3人は、幸いなことに肉体も艤装も大きくダメージは受けておらず、数時間の入渠で戦線復帰できるだろうということ、周辺に艦娘および深海棲艦の反応は今のところ無いとの事であった その報告を受けつつ瑠奈花提督より言われた「深海棲艦との和平」について考えていた

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11. 現状深海棲艦は制海権を取り戻すべく殲滅すべき対象である。これは周知の事実である。そして戦艦棲姫のあの時の話が本当ならば現在の深海棲艦はより強大な軍となっているが、それとは別に出奔した一団もいるようだ。

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12. だが仮面ガンナーの言っていた「世界の壁を壊しかねない存在」 もしかしたら深海棲艦の目的はただ海を制圧、人類を駆逐するだけではなく…… 深海棲艦も一枚岩ではないことがようやくわかったばかりである。おそらく俺が知る深海棲艦は氷山の一角なのかもしれない

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13. ではなぜ大本営は大規模作戦まで発動して駆逐することのみを掲げるのか。深海棲艦は恐れるべき対象だ。この世界で生まれ育った者にはその「恐れ」から自分解き放ちたい目的で志願してくる者もいると聞く。だが……恐れは怒りに、怒りは憎しみに、憎しみは苦痛へつながる。

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14. 今の戦いは苦痛しか生まない。失う人だって出るだろう。現に先ほど大事な人を一人……だが艦娘は戦うことが本望。平和な世界の先に艦娘はどうなってしまうのか。いや、それは「その時」が来たら考えよう。 そんなことを深く考えているうちに損傷がほとんど無かった青葉が戻ったようであった

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15. ただいま戻りましたという報告の後 「それにしても仮面ガンナー、不思議な方でしたね。」 どうやら仮面ガンナーについて興味津々のようだったがその口調はいささか寂しそうだった。おそらく彼女なりに彼から調べたいことは多々あったのだろう

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16. 「ああ…確かに、最後までよくわからない男だった…だが。」 青葉も今は作戦に備えて退くこと、そして見えることをやっていくことをした。だから提督である俺が迷ってどうする。 「先に進もう、待っている人がいる……」

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17. いや、その前にやることがあった。 「しかし、この船もダメージを受けてるし少し修理しなくてはな」 榛名が出撃カタパルトに突っ込んだのを思い出して苦笑いしつつ青葉に返した 「そうですね……本部に指示を仰いでみます。あくまでも深海棲艦と戦闘の際ということで」

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18. 大鳳がその辺を手配してくれるようだ。 結果一応艦娘の出撃は一人なら可能なこと、船の航行には問題ないとのことなのでそのまま該当海域……ソロモン海へ向かってくれとのことであった。 「この先、何も失わない……というわけにはいかないんだろうな」

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19. 「犠牲のない戦いはありませんよ。司令官」 珍しく青葉がまともなことを言ってくる 「ふむ」 青葉が部屋から出つつ背を向けて続ける 「その犠牲を少しでも減らすのが……艦娘です」

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20. 「頼むよ……」 帽子を深く被り静かにそう返した しかしその願いとは裏腹に、ソロモン海でザハ提督を待っていたのは犠牲と憎悪と……そしてあの過去であった

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～光輝燦然の仮面とその後～ 完 E４編　過去を超える一歩 へ続く togetter.com/li/874233

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仮面ガンナー編の最後が諸事情により仮面ガンナーに任せてしまったので霧雨Sideでかつザハ提督視点で補足加えつつ完結(｀・ω・´)

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光輝燦然：こうきさんぜん 強く鮮やかに光り輝くこと。 輝いて消えた仮面ガンナーと再び相まみえることはあるのだろうか