2016年3月15日の、デビュー10周年にむけて。 連続ツイート企画 【いきものがたり】 不定期更新です。 (前回までのツイートは水野のアカウントの「いいね」からご覧頂けます。)
2015-12-02 21:10:54『第6回』 今日の1枚。 2003年、初めてのワンマンライブのチラシ。 pic.twitter.com/P7Leyz4buF
2015-12-02 21:12:47(104) ライブハウスで一度もライブをしたことがないのに、いきなりワンマンライブをする。サンダースネーク厚木の店長もびっくりドン引きの無謀チャレンジ。がしかし、本人たちには、その自信に根拠がないわけじゃなかった。
2015-12-02 21:14:48(105) 高校時代の路上ライブを応援してくれていたお客さんたちが、まだ自分たちのことを気にかけてくれていた。「また、いきものやらないの?」と、何度もいろんなひとが声をかけてくれて、そのひとたちが、戻ってきてくれるんじゃないかという気持ちがあった。
2015-12-02 21:17:04(106) それに当時は学生で、友人たちにも声をかけるつもりだった。「対バン」というシステムさえ知らなかった当時の僕らに「友達にはチケットは売らない」というような、バンドマンの清廉なプライドのようなものがまだあるわけもなく、来てくれるなら友達でも、家族でも、みんな来て欲しかった。
2015-12-02 21:19:34(107) 4月には、路上ライブを再開。路上ライブでチラシを配り、そこで心をつかんだお客さんたちに、ライブハウスに足を運んでもらう。簡易的なホームページをつくり、ライブで配布する歌詞入りのパンフレットもつくった。細かい作業ばかりだったけれども、素直に楽しんでいた。
2015-12-02 21:22:07(108) 実は、活動休止をしているあいだも、水野と山下はそれぞれに曲だけはつくっていた。音大で壁にぶつかって「歌いたくない」と言っていた吉岡が、いつやる気になってもいいように、ワンマンライブができるだけの楽曲を用意してあったのだ。
2015-12-02 21:24:41(109) のちにシングル曲となった「花は桜 君は美し」や「ノスタルジア」も、その頃につくった楽曲だ。格好をつけてうんと良く言えば、自分たちの音楽の骨格のようなものを、知らず知らずのうちに、この頃につくっていたと言えるのかもしれない。
2015-12-02 21:26:56(110) たまっていたオリジナル曲を、ライブでサポートメンバーをしてくれる高校時代の友人たちと、練習スタジオで合わせていく。楽曲のアレンジなんてしたことがない。手探りもいいところで、もうとにかく手当たり次第、思いついたことをみんなでやってみる。それがすごく楽しかった。
2015-12-02 21:29:13(111) お金もなかったのでサンダースネークに併設されている練習スタジオを深夜割引で借りて、朝までよく練習した。楽しかったけれど、負担も大きかったと思う。本当に根気強く、練習に付き合ってくれたサポートメンバーの友人たちには感謝しかない。彼らは当時、就職活動もしていたというのに。
2015-12-02 21:32:11(112) あるとき、活動をするうえで少し理不尽なことがあった。今から考えれば小さなことだったかもしれない。でも、まだ僕らも覚悟が足りない頃で戸惑っていた。そんなとき、ベースを弾いてくれた友人のK君が、スタジオの近所のラーメン屋で、笑顔で僕らに言ってくれた。
2015-12-02 21:34:55(113) 「まぁさ、"正しいことをするには偉くなれ"ってワクさんも言ってたじゃん?」当時、大ヒットしていた映画の「踊る!大捜査線」で、いかりや長介さん演じるベテラン刑事が呟いた名台詞だ。「俺らさ、いきものはきっと大きなところにいけると思うんだ。がんばってよ。」
2015-12-02 21:37:07(114) 映画のセリフを持ってきて冗談のようにかけてくれた言葉だったけれど、それから今まで、なにかどうしようもない理不尽にぶつかったときは、3人の合言葉として、K君が笑顔で言った「正しいことをするには、偉くなれ」を思い出した、必ず、苦笑いしながらでも、3人で言い合った。
2015-12-02 21:39:44(115) 自分たちの活動にとって”正しいこと”は、その時代ごとに違うのかもしれない。変わっていったことも、もちろんあるだろう。だけど逃げずにやってこれたと、今、少なくとも心のどこかで思えているのは、その言葉のおかげのような気もしている。
2015-12-02 21:42:31(116) 2003年6月2日。サンダースネーク厚木の楽屋に、いきものがかりの3人と、その3人を助けようと、世の中でいちばん初めに手を差し伸べてくれたサポートメンバーたちが、ライブの始まりを待っていた。
2015-12-02 21:45:31(117) サンダースネークはハードロックスタイルのライブハウスだ。他のライブハウスにはない大きな売りがある。なんとステージ上に緞帳代わりの電動シャッターがあり、ステージがガレージのようになっているのだ。ライブが始まるとシャッターが音を立てて上に開き、その奥から出演者が登場する。
2015-12-02 21:47:46(118) 客席からは、なかなかに壮観な光景になるのだけれど、演奏する側からすると、ステージ上に待機しているときは、目の前が無機質なシャッターで、その向こうにいるお客さんの様子を伺い見ることが出来ない。とてもドキドキするのだ。ましてや、はじめてのワンマンライブだ。
2015-12-02 21:50:15(119) 1曲目に選んだのは「花は桜 君は美し」。頭サビ。今では自分たちの定番のスタイルだ。もう6月で、すこし季節はずれな曲だったのかもしれない。遅すぎる春だった。僕らにとっては、ほんとうに、待ち遠しい、春だった。
2015-12-02 21:52:46(120) 目の前の電動シャッターが動き出す。ついに幕が開く。「花は桜 君は美し」のイントロを弾き始めた。少し手が震えた。吉岡が歌い出す。頭サビを歌いきったときシャッターが開いた先に300人の顔があった。笑っていた。 一生忘れられない光景だ。 僕らの人生が、始まった瞬間だった。
2015-12-02 21:56:44