Sunよ、安らかに眠れ

丸山不二夫先生によるSunの栄枯盛衰。 http://togetter.com/li/90125 の勝手に加筆修正版。
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Fujio Maruyama @maruyama097

資金があれば技術が手に入るのなら、IT企業は、自前で技術を開発するより、ベンチャーなり新しい技術の担い手を買収すればいい。そういう路線をとっているIT企業も、すでに存在すると思う。Sunに対するOracleの成功も、そうした類の「成功」なのかもしれない。

2011-01-18 08:30:37
Fujio Maruyama @maruyama097

技術も、土地や工場や従業員と同じように、買収可能だというのは、疑いようのないことに思える。ただ、「SunのJava」は、買収によって「OracleのJava」になったといわれると、問題は、それほど単純でもないことが分かる。オープンソースは、買収できるのだろうか?

2011-01-18 08:48:44
Fujio Maruyama @maruyama097

僕は、Sunが苦しんだネットバブルの崩壊の時期に、Googleが登場し大成功を収め、リーマンショック後の世界的不況の中で、FacebookやTwitterという企業が成功しつつあることに注目している。

2011-01-18 08:52:04
Fujio Maruyama @maruyama097

IT産業は、一路不況に向かっているわけではないし、不況下の買収によって技術の集積・独占化が進むというわけでもないのだと思う。ITビジネスをめぐる環境は、この10年の間に大きく変化した。

2011-01-18 08:57:25
Fujio Maruyama @maruyama097

今だからはっきり分かることだがEnterprise10Kをフラグシップ・マシンとして、エンタープライズに向けてシステムを売り込むというSunのビジネス・スタイルは、維持しがたいものだったのだと思う。でも、それは、生き残った他の「勝者」たちにとっても同じではないか?

2011-01-18 09:09:55
Fujio Maruyama @maruyama097

クラウド化やクラウド・デバイスを中心としたコンシューマ化の流れは、巨大なものだと思う。そうした流れに対応できないIT企業は、いずれ、行き詰まるだろう。

2011-01-18 09:28:01
Fujio Maruyama @maruyama097

もう少し、具体的に、Sunの問題を振り返ってみよう。 まず、ハードウェアの問題から。個人的には、SunのMassive Parallelや省電力への取り組みには注目してきた。Rockプロセッサでの、Transactional Memoryのサポート、投機的実行にも期待していた。

2011-01-18 09:35:46
Fujio Maruyama @maruyama097

Sunは、自前のSparcチップにこだわった。x86サーバーの取り組みは遅れた。価格・性能比で、Sparcがx86に遅れをとったのも事実だと思う。せいぜい数十万個の生産と、数千万・数億個の生産では、スケールメリットも開発予算も違うのは明らかだ。勝負は最初からついていた?

2011-01-18 10:10:15
Fujio Maruyama @maruyama097

Rockは死んだが、Oracleの買収により、T3 RainbowFall は生き残った。IBMのPower7も魅力的なチップに見える。CPUのイノベーションは、今後、どのように進むのだろうか?基本的には、Intel対ARMの競争が主軸で、ダークホースがGPU系の技術。

2011-01-18 10:47:24
Fujio Maruyama @maruyama097

SunがIntelのx86によって打ち負かされたのなら、今でも、そして今後も、Intelの優位は動かないようにも見える。「インテルはアームを打ち破る」 http://bit.ly/fvB7aK このレポートは、今年のCESでのIntelの戦術的失敗も指摘しているのは興味深い。

2011-01-18 11:00:06
Fujio Maruyama @maruyama097

Sunは、x86のみに破れたわけではない。x86とLinuxの組み合わせに破れたのだと思う。Wintelの成功のみに目を奪われがちだが、Intelは系統的にLinuxを支援していた。このIntelの深慮遠謀は、結果的には成功した。

2011-01-18 11:06:20
Fujio Maruyama @maruyama097

今、Intelは、iOSやAndroidに対抗すべく(というよりはARMと対抗すべく)、Nokiaと組んでMeeGoというLinuxベースのプロジェクトを推進している。この試みが、成功するかは分からない。一方、Google TVには、Intelは、atomチップを提供している。

2011-01-18 11:12:50
Fujio Maruyama @maruyama097

マイクロソフトは、今年のCESで、ARMベースのWindowsを開発することを発表した。去年、ARMのライセンスをマイクロソフトが買ったとき、僕は、こうした展開を予想していなかった。せいぜい、Windows PhoneにARMを使う準備だろうと思っていた。

2011-01-18 11:20:16
Fujio Maruyama @maruyama097

MSのARMベースのWindows開発の動きは、IntelのAtomベースのAndroid開発の動きに対応するものだ。MSのこうした動きに、表向き反応しなかったIntelに対して、Linux 陣営は次のように反応した。http://bit.ly/e4JFTr これも面白い。

2011-01-19 07:16:45
Fujio Maruyama @maruyama097

System on a Chipという言葉を、僕が初めて知ったのは、先日紹介したBill Joyの論文の中であった。しかし、Sunは、SoC(System on a Chip)を志向したのだろうか? 

2011-01-19 07:26:28
Fujio Maruyama @maruyama097

IntelのSandy BridgeやCE4200、ARMベースのApple A4やS5PC110A01を例に挙げるまでもなく、SoC化は、現在のCPU進化の重要な傾向である。ただ、SunのCPUには、こうした進化の方向は閉ざされていた。

2011-01-19 07:33:08
Fujio Maruyama @maruyama097

理由は簡単で、サーバー上のCPU全てが、グラフィックやビデオのcodecの機能を持つ必要はないからだ。逆説的だが、一般の多数のユーザーが使うCPUの方が、エンタープライズのハイエンドのサーバーのCPUより、高機能である必要があるのだ。

2011-01-19 07:41:34
Fujio Maruyama @maruyama097

その上、一般向けのCPUの方が、圧倒的に、個数は大きい。数億個のオーダーで生産される可能性がある。これは、次の世代のCPUを開発する資金調達にとっては、非常に有利な条件になる。

2011-01-19 07:47:07
Fujio Maruyama @maruyama097

Sunの本拠地であった、エンタープライズでのサーバー・システムにとっても、大きなパラダイム・シフトが進行していた。クラウドの登場である。大規模分散システムでのScale-outアーキテクチャーの登場は、Sunを代表とするScale-up型のシステムへのオルタナティブであった。

2011-01-19 09:23:54
Fujio Maruyama @maruyama097

クラウドのScale-out型のアーキテクチャーにとっては、CPUは、多数のコアの集積が可能なように、出来るだけコモディティ化した低価格であること、電力消費を抑えるために低消費電力型であることが重要である。そうした要件を満たすのなら、ARMでもAomでも、構わないように思う。

2011-01-19 09:36:05
Fujio Maruyama @maruyama097

これまでは、クラウドでは、既に市場に存在しているコモディティ化したCPUが使われてきたが、コンシューマ向けのCPUのSoC化・高機能化が進行すれば、それとは違った特質を持つ、クラウドやサーバー専用のチップが、大量に生産されるようになるのかもしれない。

2011-01-19 09:40:39
Fujio Maruyama @maruyama097

大規模なクラウド型のサービス提供者の多くは、Scale-outアーキテクチャーを採用するようになる。それは、90年代後半のネット・バブルの時期に、大規模なサービス・プロバイダが、こぞってScale-upのマシンを買い求めたのとは対照的である。

2011-01-19 09:46:29
Fujio Maruyama @maruyama097

Sunの主力製品であったScale-up型のサーバーは市場を失いつつあった。確かに、急成長しつつあったGoogleが、SunのStarFireを大量に購入するようなことがあれば、Sunは生き延びたかもしれない。でも、クラウドを知る人には自明だが、そういうことはあり得なかった。

2011-01-19 09:52:07
Fujio Maruyama @maruyama097

クラウドのScale-out型のデータセンターにおいては、MSのAzureを唯一の例外として、全てIntel+Linuxのシステムであることに注意しよう。あるいは、Sparc+Open SolarisでのScale-outは、可能だったかもしれないのだが。そう考えても詮無きこと。

2011-01-19 10:04:05