ある男子高校生の日記

12/18未明から12/20夕刻前まで紛れた、ある男子高校生の日記と、その前後の出来事です。
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12/15

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12/15 彼女が帰りがけ購入したという品々は予想通りのものだった。何せ街全体がその季節の到来を歌っているような今日この頃だ。この国で、イヴは誰のための日と言われているのだったか。既にその先の準備に明け暮れながらふと、イベントひとつで何が変わるはずもないと思っていた自分に気づく。

2015-12-15 22:00:23

12/16

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(「クリスマスイブに予定のある人いる?」)

2015-12-16 16:00:10
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12/16 SOS団クリスマスパーティの開催が決定される。世界の安定のため、などというのは今や、続く言葉への前置きだといえた。それが彼女の変化であり、僕の変化であり、きっと彼の変化でもあった。初心者である僕らは、それを大いに楽しむための準備を始めた。

2015-12-16 23:00:13

12/17

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12/17 クリスマスまであと一週間。手配の申し出に彼女は昨日、ここでやるのだと答えた。必要な物はここに揃っていると。彼女がかばんいっぱいに詰め込んできた飾りは、僕らの手で素朴ながらも華やかに部室を彩った。窓の外、いつかの角度から見ればそこには祝福の鏡文字が読めることだろう。

2015-12-17 22:00:21

12/18

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(たとえば真冬の夜明け前、誰かの夢が無意識のまま、長い長い坂の果てに楽園を叶えたとして。それすらもおそらく変化の証だった。同じ星に願いを掛けた日から、約五ヶ月と五百余年。きっと届いただろうから)

2015-12-18 04:15:07

via レムニスケートの片方/光陽園学院 (以下灰色)

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十二月十八日。 吐く息が凍りそうなほど冷え込む朝だった。窓から見上げた空は昨日と同じ,世界を遮蔽するような灰色。今日も彼女は不機嫌そうな顔をして,僕の後ろの席に座っている。

2015-12-18 10:00:18

via レムニスケートの片方/SOS団 (以下緑)

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(今朝はどうも変な夢を見た気がする。明け方に目覚めた記憶が微かに残っていた。強制的に浮上する意識に一瞬、閉鎖空間かと考え、すぐにそうではないと直感した。世界が異様に静かになったような気がして――気づいたときには朝だった。眠気覚ましに出た中庭からは、反転した『X'mas』が見える)

2015-12-18 10:00:29

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昼休み,ふと誰かに呼ばれたような気がして立ち止まる。きっと気のせいだった。こんなことが何度もあるはずがない。

2015-12-18 12:00:21
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(会議が終わり、新たな企画が決定した。僕らは連れ立って、いつもの部室から階段へ向かい――僕はきっと、この瞬間のことを一生後悔する)

2015-12-18 14:00:25
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ホームルームが終わるやいなや長い髪を翻した,その背を追いかける。廊下で校庭で通学路で,並び歩く生徒たちは皆,一週間後に迫ったそれの話で笑いさざめく。夏休みも,ハロウィンも,文化祭だってそうだった。行事を積極的かつ前向きに楽しむ彼らを,彼女は興味のないそぶりで追い抜いていく。

2015-12-18 16:00:12
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(彼の入院手続きが済む。手配は容易だった。不測の事態に備えて、以前から周到に手を回していた場所だ。しかし、まさかこんなタイミングで使うことになろうとは。僕らはついさっきまで、当然訪れるべき朗らかな、この五人で過ごす未来の話をしていたのに)

2015-12-18 18:00:33
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花屋の店先に並ぶポインセチア,駅前のささやかなツリー,商店街に流れるクリスマスソング。それらを睨視する彼女の瞳は,いつもの憤りと退屈を混ぜたような色とは違う何かを抱えている気がした。帰り道、発する言葉の数は僕のほうがずっと多いというのに,またしても僕は,その一言が言えずにいた。

2015-12-18 20:00:10
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(と、そこまで打ち込んだ指先が、勝手にデリートキーへと動くのを、僕は働かない頭で追いかけた。事実を、伝えるだけだ。ここに僕が何を書こうと、書かまいと、変わるものなど何もない)

2015-12-18 22:10:12

12/19

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十二月十九日。近隣の学校で風邪が流行っていると注意喚起のプリントが配られる。そこには坂の上の高校の名もあった。

2015-12-19 08:00:12
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(昨夜解散したときの様子が気になり連絡を取ってみれば、彼女は今も病室に留まっているとのことだ。「目を覚ましたら、すぐにそっちに引っ張っていくから」昨日の早退料金を全員へ払わせてやるのだと、語るその声は力なく揺れていた)

2015-12-19 10:00:25
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