『空も飛べぬ人間に情を移すとは若者が陥りやすい過ちの一つだ。普通、人の姿を取るのはただの興味本位であり、遊戯でしかない。そうでなければそやつは落ちぶれたのだ。竜の誇りを忘れたのだ。』
2011-01-07 09:59:57『人間など我々の家畜であることをあの者どもに思い出させようではないか。我々こそ支配者なのだ。頭数が多いから偉いなどということはない、だがそれでも人と寄り添うことをあの者どもが選ぶというのならば、私は彼らを殺す。』
2011-01-07 10:02:36『彼らは罪を犯しているのだ、生命の輪廻に目をそむけ、己の都合のいいように解釈しか為さない「無知」という罪を。人間であれば時々我々が人里に降りて、その力を思い知らせればいいが、同族となれば話は別だ。脳味噌が萎縮した者に未来を託すことなど出来ないのだよ。』
2011-01-07 10:06:06『人間が創りだした秩序などというものは砂の城にすぎない。風が吹けば城壁は削られていくし、波が押し寄せれば脆く崩れ去る。それでも人間は城の存在に安心し、頼りきり、城壁の中の偽物の平和に生きることを望むのだ』
2011-01-09 19:17:46『我々がただ身体ばかり大きいとでも思っていたのか?我々は生まれたその時から自らの足で立ち、飛ぶのだ。産婆に取り上げられねば声も上げられぬお前らとはそもそも魂の入れ物の出来が違うのだよ!』
2011-01-14 19:42:21その愛は遠目に見れば真っ直ぐに見える。だが目を凝らせばそれはひどく捻れたものだと分かる。多くの者はそれを非難するだろうが、しかし彼女は他人が何と言おうとお構いなしだ。彼女にとって、愛に貴賎は無い。
2011-01-18 16:56:05彼女はただ、人間に施しを与えようという。それが高貴な生まれである者の使命だからだと。しかし彼女は人間と交わろうとはしない。己の地位を守るために、種族の地位を守るために。
2011-01-18 17:06:57彼女が人の姿を取る時、あたかも生まれながらそうであるように振舞う。仲間は非難するが、彼女は人間に近づきたいからこうするのだと言う。竜であることを忘れなければ彼らのことは理解は出来ないだろうと。彼女は束の間、偽りの生を楽しむ。
2011-01-20 17:17:44イレ・ヴィルメは彼女を非難する竜のひとりだ。エレンは事の深刻さが理解出来ておらず遊び呆けているのだと、ヴィルメは述べる。だが、雲のように揺蕩うエレンはなによりも束縛を嫌う。そんな彼女にとって、生きることは遊戯と何ら変わらないのかもしれない。もはや戦争も彼女にとっては唯のゲームだ。
2011-01-20 17:23:17ある日、エレンが人間の街で帽子を買ってきたことがあった。 私は、竜の貴方には角があるのに何故、と聞いたことがある。 彼女は笑顔で、このほうが人間らしいからよ、と答えた。
2011-01-20 21:56:13角が無いから帽子を被らなきゃいけないのよ。 それか油で固めたり、帽子を被って立派に見せなきゃならないんだもの。 彼らは角を買わなければならないなんて、とっても面倒なものね ―彼女は被っていた帽子を脱ぎ、手にとって眺めながらそう述べた。
2011-01-20 21:56:52それなら尚更帽子を被るのは可笑しいことじゃないか、と 私は言ったがそんな私の発言を聞いて彼女はくすりと笑って私にこう返した。 でも、取り替えがきくのは楽しいわね、と。
2011-01-20 21:57:23彼女は竜なのか人間なのか、時折分からなくなることがある。彼女は竜の魂を持つ人間なのではないか、とさえ思うこともあるがだが人間であればこのような皮肉は言わないだろう。彼女はあくまで人間を演じているのだ。
2011-01-20 22:22:41境界を無くし種族を越えて手に手を取り合うなどということは、お伽話であり現実でこのようなことが起これば忽ちに社会を成す骨格は崩れ去るであろう。権力の存在は遵守しなければならない事項のひとつ、竜が人の上に君臨するべき理由。
2011-01-21 19:01:45境界の壁を崩す蛮勇には相応の報いを与えられるべきである。上に立つ我々は、その愚かで儚い夢に鎮魂歌を捧げ、葬送行進をしなければならない。彼らの来世にまで我々の歌声と軍靴の音を残さなければならない。
2011-01-21 19:06:41