【時の針】

あさ海 @beagles_onexo

【 時の針 】 #EXOで妄想 ルハン 世界の時を司る人 一人きりで世界中の時間を管理している 一定の方向に流れるように 飛んだり、逆に進んだりしないように 大人には大人の時間を 子供には子供の時間を pic.twitter.com/4RlnzjrHYi

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あさ海 @beagles_onexo

@beagles_onexo 楽しい時間は風のように過ぎ 辛い時間は夜を溶かしたように濃密に感じても 時間は全ての人に平等に訪れて去っていく 毎日大きな木の机に座って作業をする 365日休みはない でも一日に10分だけ休憩がある その間地上を見下ろす事が許されている

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@beagles_onexo 空の上から人々が生活しているようすを観察できる 彼の唯一の楽しみ ルハンが地上を見下ろす事ができる10分は、彼がいる国は夜の時間 ミンソクは毎晩ベッドに入る前に夜の空色のカーテンを開け、窓から月を見上げて両手を組み、お祈りをする

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@beagles_onexo こっちを向いているから人形のように整った顔がよく見える 目を閉じて小さく唇を動かし 何か一言、二言呟いた後、カーテンを閉めてベッドに入る ふかふかの布団に潜って横を向いて、背中を丸めて目を閉じる 動かなくなったミンソクの寝顔を少しの間眺める

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@beagles_onexo 彼の事は偶然見つけた 空から地上を見下ろしている時に 彼一人だけが違って見えた 何がどう違うのかは分からない キレイな姿をしているけど、ここにいる天使達はみんなキレイだ めずらしくはない

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@beagles_onexo 帰ったら神様の仕事を何でも手伝うという条件で 半年の間、地上に遊びに行くことを許可してもらった 誰にも内緒だけど、彼に会うために 地上に降りたルハンは彼の隣に引っ越してきた同級生として暮す事にした この半年の間に惹かれる理由を探してみようと思った

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@beagles_onexo ミンソクは引っ越してきたルハンにとても親切だった 何か困った事があっても、声をかける前に向こうから声をかけてくれるほど気遣ってくれたし 会ったばかりだとは思えないくらい気が合って、急速に距離は縮まり 常に一緒に行動するようになった

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@beagles_onexo とても優しくて素敵だし、一緒にいると楽しい 彼といると毎日笑っていられる だけど、どうして彼にだけこんなに惹かれるのか分からない 空にいる時はどんな人かなんて知らなかったし

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@beagles_onexo いつもの学校帰り 辺りはもう薄暗く、駅の改札を出るとすぐに街灯がついた 陽が落ちるのと同時に空気が冷たく尖りだし、どこからかおいしそうな煮物の匂いがする 家の前まで来て、少し名残惜しい気持ちでばいばいって手を振って、門の中に入って

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@beagles_onexo 掛け金をかけて顔を上げたら、まだそこにミンソクがいた 僕の方を見て突っ立ったまま 「どうしたの？」 黒い門扉の上に両手を乗せて、外へ体を乗り出した 『ねぇ、ルハン』 「なに？」 『僕、ルハンの事知ってたんだ。ずっと前から』

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@beagles_onexo 「…どういう事？」 『誰かに似てると思ってたけど、やっと思い出した。何度も見る夢があるんだ。そこに出てくる人がルハンにそっくり』 ミンソクはゆっくりこっちに歩いてきた 影になっていた顔が門灯に照らされて、優しく微笑んでいるのが分かった

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@beagles_onexo 門の内側は少し段差があって、急に背が伸びたみたいにミンソクが下に見える 「うそ、ほんと？」 『うん』 「どんな夢なの？」 『言ってもいい？』 「うん」 『…びっくりしない？』 「うん」 『僕とルハンはね…恋人同士なんだよ』 「えっ…」

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@beagles_onexo 『それでね、こんなふうに…』 僕を見上げるミンソクがもっと近づいて、門越しに唇と唇が触れた その瞬間、体の中に電流のような衝撃が走って 同時に頭の中で弾けた映像 僕とミンソクは恋人同士だった

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@beagles_onexo 一緒にいるのがとても楽しくて、片時もそばを離れなかった 眠る時もすぐそばに 目が覚めても一番に目に入るのはミンソクの顔 だけど、僕らは兄弟だった 仲のいい兄弟以上の関係が神様に見つかってしまい、引き離され

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@beagles_onexo 別れ際にお互い「絶対に忘れない、探しに行く」と約束したけれど 罰として記憶を消され、僕は神様の下働きを ミンソクは地上に堕とされた ミンソクも僕と同時に記憶が戻ったみたいだ 瞬きも忘れて、鏡を見るようにお互い顔を見合わせている

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@beagles_onexo 『…ルハン』 「ミンソク」 もっと近づこうとお互いの指先が触れた時、真っ白な光に包まれて眩しくて目を閉じた 次に目を開けた時は元の世界に戻っていた 目の前に神様が立っている ミンソクはどこにもいない

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@beagles_onexo 「思い出してしまったんだね…」 「神様！ミンソクは？」 「もう一度記憶を消しておいた。もう会えないよ。約束だからね、100年時の管理をしてもらう」 「…」

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@beagles_onexo 毎日大きな机の前に座り続ける 365日、休むことなく働かなければならない 一日に10分だけ許された休憩時間に地上を見下ろす 彼は今日も元気に暮らしてるかな 泣いてないかな？落ち込んでないかな？怪我をしてないかな？

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@beagles_onexo 幸せに暮らして欲しい 毎日笑っていて欲しい 僕が幸せをあげる事はできないけど お祈りする事しかできないけど… 彼は毎晩ベッドに入る前にお祈りをする いつもと同じ祈りの言葉

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@beagles_onexo “あなたの愛の御手にすべてを委ね、イエス様の御名によって祈ります。アーメン…” いつもならここで終わりなのに、もう一度彼の唇が動いた 『神様……何か大事な事を忘れてる気がするんです…誰だか分からない。思い出せない。大切な人がいたはずなのに…』

あさ海 @beagles_onexo

@beagles_onexo ミンソクは全てを忘れたわけではなかった 微かに僕の記憶が残ってる 『ルハン…どうしたの？泣いてるの？』 「あ、カイ…」 『なんとなく事情は知ってるよ』 「僕の事、全部は忘れてないみたいなんだ…微かに覚えてる」

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@beagles_onexo 『100年の辛抱だよ。ちょっと長いけど、その間僕がそばにいるから』 「100年経ったらミンソクは死んでしまう」 『100年経ったら彼も転生するでしょう？』 「転生したって会えなきゃ意味ない」

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@beagles_onexo 『…知らないの？100年時の管理をした子は転生を優遇してもらえるんだよ？』 「…それ、ほんと？」 『うん。もちろんこのまま天使でいてもいいけどね』 「ミンソクのところに行けるの？」 『そうだよ…ああ、だから神様はルハンにこの仕事をさせたのかもね』

あさ海 @beagles_onexo

@beagles_onexo 待っていて、ミンソク 僕が生まれ変わるまで 今は思い出さなくていい 100年経ったらきっと探しに行く 今日もルハンは地上を見下ろす 空を見上げてお祈りをするミンソクを見つめて 必ず迎えに行くと約束する fin.