渋谷家の人々 空っぽのリビング

あさこ。Lv.MAX @yoko_7d8u_asako

① 土曜日の昼前。 起きても妙ちゃんがおらん。 亮は･･･部活か。 ･･･空っぽなリビングに、 俺だけぽつん。 ｢なんか。嫌な感じ。｣ 胸がざわつく。 チラつくのはあの女が 出ていったイメージ。 慌てて玄関に行くと 妙ちゃんの靴はあって安心した。 #渋谷家の人々

あさこ。Lv.MAX @yoko_7d8u_asako

② 家にいるのは分かったから。 消去法で寝室に向かった。 ｢妙ちゃん？おんの？｣ ゆっくり中に入ると、 妙ちゃんは、 ベッドで苦しそうに寝ていた。 ｢妙ちゃん！？どないしたん！？｣ オデコを触るとすごい熱。 ｢熱っ！？え！？妙ちゃん！｣ 俺は慌てた。 #渋谷家の人々

あさこ。Lv.MAX @yoko_7d8u_asako

③ 《すばる･･･大丈夫･･･ 寝てたら治るから･･･》 絶え絶えの声やけど、 妙ちゃんは笑ってて。 でも、こんな妙ちゃん見た事ない。 妙ちゃんはいつも元気で、 俺や亮をビシバシしてくれて。 怒ると怖いけど いつだって優しく見守ってくれる人。 #渋谷家の人々

あさこ。Lv.MAX @yoko_7d8u_asako

④ 俺は不安になって。 また、大切な人が 居なくなるんちゃうかと。 ｢妙ちゃん･･･ 俺を置いてかんでよ？ 俺は妙ちゃんと一緒やよ？ だから･･･なぁ･･･｣ うっかり泣いてしまったら。 そこへ亮がやってきた。 『何事！？ ･･･果歩ちゃん呼んでくる！』 #渋谷家の人々

あさこ。Lv.MAX @yoko_7d8u_asako

⑤ 亮が果歩を呼びに行ってる間、 俺は何か出来ないかとキョロキョロして。 ｢とりあえずあれや！ 元気玉的なんを･･･｣ と謎の念を送り始めた。 ｢治れ妙ちゃん！治れ！｣ すると、いきなり頭を叩かれる。 振り返るとそこには果歩がいた。 ［あほ！どいて！］ #渋谷家の人々

あさこ。Lv.MAX @yoko_7d8u_asako

⑥ ［どう見ても風邪やん！ 念で治るわけ無いやろ！？ とりあえず、 すばるは体温計持ってきて氷枕用意！ 亮ちゃんはりんごとか プリンとか買ってきて！］ 俺たちは果歩に言われるまま 各々動いた。 妙ちゃん熱は普段より高いものの 薬で様子見で大丈夫そうで。 #渋谷家の人々

あさこ。Lv.MAX @yoko_7d8u_asako

⑦ 俺が用意した氷枕にころんと頭を乗せると 気持ちよさそうに寝息を立て始めた。 それを見届け、 リビングに降りると 果歩がため息をついた。 ［あんたねぇ。 風邪の時の対処方法ってあるやろ？］ だから俺はふてくされる。 ｢渋谷家は風邪ひかんもん。｣ #渋谷家の人々

あさこ。Lv.MAX @yoko_7d8u_asako

⑧ その様子に果歩が笑う。 ［あぁ。 男連中バカやからか。］ ちっ。否定できひん。 ･･･でも。安心して弱音がもれる。 ｢ほんまに良かった。 また取り残されたかと思った。｣ すると、果歩が俺の頭を撫でた。 ［大丈夫。 おばちゃんはそんなことせんよ。］ #渋谷家の人々

あさこ。Lv.MAX @yoko_7d8u_asako

⑨ そんな感じでしんみりしていると、 ドタバタと亮が帰ってきた。 『母ちゃんは！？大丈夫！？』 亮の手にはパンパンに詰まった袋が。 ［何買ってきたん！？ 私のたのんだのは？！］ 一応りんごとプリンはあったが、 それ以上に山ほどのお菓子が。 #渋谷家の人々

あさこ。Lv.MAX @yoko_7d8u_asako

⑩ ［なんでせんべい！？ なんでカレーパン！？］ 『だって！母ちゃん好きやもん！』 ｢お前なぁ！風邪の人間が んなもん食えるか！｣ ［あんたが偉そうにいうな！］ そんなこんなで 俺たちの奮闘記は繰り広げられた。 #渋谷家の人々

あさこ。Lv.MAX @yoko_7d8u_asako

⑪ 翌日。 リビングからはいつもの生活音がする。 《すばるおはよー。 ご飯作ったしちゃっと食べてー。》 妙ちゃんがそこにはいた。 ｢･･･もう、大丈夫なん？｣ 《おう！妙ちゃん最強www》 その様子に俺がほっとすると。 妙ちゃんが笑いかける。 #渋谷家の人々

あさこ。Lv.MAX @yoko_7d8u_asako

⑫ 《すばる。 私はあんたを置いてったりせん。 億が一出ていくことになっても、 あんたと亮は引きずって連れていくから。 今の私には 二人が何より大事な宝物やから。》 その言葉にうっかり泣いたのは ここだけの話な。 #渋谷家の人々 pic.twitter.com/rdCSk0lOrh

拡大