「いや、確かに言ったよ?女の子はサプライズに弱いって」 「…」 「一世一代のプロポーズだから、印象に残るものがいいって気遣いもあるでしょうよ」 「…うん」 「でもさぁ、指輪を取り出して『結婚しよう』で十分サプライズだと思うよ?」 「そうかなぁ」
2016-01-18 00:15:51「そうだよ、それでいいんだよ。だからさ…おにぎりに指輪を入れるって案はやめよう?な?」 「そんなにダメかなぁ」 「冷静に考えてみ?異物混入だよ?」 「法に反するかぁ」 「人道に反してるからね」 「人道に反してるかぁ」 「間違えて飲み込んじゃったらどうすんの」
2016-01-18 00:17:05「それはさすがに気付くよ、ダイヤモンドだよ?」 「なぜそんなにダイヤモンドに自信を寄せる」 「ダイヤモンドの輝きなめたらいかんよ?」 「うん、輝きはね、いいよね」 「でっしゃろ?」 「渡すの夜だよね?」 「…あっ」 「もう少し早く気付いてほしかったかなぁ」
2016-01-18 00:18:18「そうかぁ、いかにダイヤモンドと言えど星の煌めきは届かないかぁ。いかに高価な宝石でも、所詮強い光に照らされて初めて輝く存在なのだなぁ。つらい」 「俺はお前に俺の言葉が届かないのがつらい」 ☆ 「一晩考えましたよ」 「反省した?」 「しましたよ」 「本当に?」
2016-01-18 00:18:59「反省を生かした結果がここにある」 「…八つ橋だね」 「うむ、生八つ橋」 「俺の見間違いでなければ、円形の物体が混入されているように見える」 「見間違いではない」 「見間違いであってほしかった」 「何故目を覆う」 「現実を直視したくないんだよ」
2016-01-18 00:19:54「食べてしまわないように、半透明の素材を使うことで解決した」 「何故食品から離れなかったんだ」 「確かに異物混入は罪かもしれない…しかし彼女を嫁に貰うということは両親から奪うということでもある。彼女との愛は確かなものだしそこは僅かも疑う余地はない。それでも過ごした時間は親に劣る。
2016-01-18 00:21:14客観的に見れば彼女は家族というコミュニティに属していて、俺はまだ門外漢だ。その門外漢が一方的に『娘さんを僕に下さい』と…言葉は丁寧でもこれは恐喝では?」 「もう両親の承諾得た気でいるよこいつ」 「人は所詮、誰かを傷つけずには生きられない、罪な存在なのさ」 「…もう、好きにしろよ」
2016-01-18 00:22:11☆ あいつの彼女からメールが来た。どちらとも付き合いが長いので、お互いの相談をよく受ける。でも何だかんだで仲直りするんだから、今回も適当に同意しておこう。『食べ物の中に仕込むのはないよな』とか。 …あ~あ、やっぱ怒ってるよ。 怒るあまり、変換する余裕もなかったんだな。
2016-01-18 00:22:57