【ミイラレ!第二十九話:『演者』のこと】(実況付き)
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巡は四季を見やる。正確には彼に寄り集まっている部下たちにだ。急速に癒えているものの、その体には浅からぬ傷を負ったものもいる。「不意打ちだったことを抜きにしても無様すぎる。ちと買い被ってたかね」「言い過ぎだよ、巡さん」咎める四季に、冷たい一瞥が向けられる。10 #4215tk
2016-01-18 21:36:06「少なくとも舞さんや祈さん、赤城さんのおかげで俺は無事だったわけだし……」「どっちのおかげだかわかったもんじゃありませんがね」つっけんどんに言う。その傍ら、畳を突き破って顔を出していた大百足の怪異が身を竦めた。「まあまあ。そこらにしておきなさい」11 #4215tk
2016-01-18 21:40:06割って入ったのはヒルメ。この神域を支配する主、天照大神その人である。「自分がしてやられたからって、部下をあげつらうもんじゃないだろうに」巡がヒルメを睨みつける。その眉間には深いシワが刻まれていた。「いや、実際大したものだと思うよ。あの小僧の背後にいた奴は」12 #4215tk
2016-01-18 21:44:14四季は小さく首を傾げた。真意を問おうと巡を見やるも、彼女はふいと顔を逸らしてしまう。仕方なくニコールへ視線を向ける。「君は疑問に思わなかったかね?そこにいる古き蜘蛛……はまあともかくとして、仮にも神であるそいつらや大悪魔たるこの俺がなぜあの霧を払えなかったか」13 #4215tk
2016-01-18 21:48:19あ、と思わず四季は声を上げた。言われてみればその通り。彼女たちほどの力の持ち主ならば、あの結界を破壊するなど容易いはず。「結論から言うと執拗な妨害を受けていたからだ。あの忌々しい姿無き怪異にな。あれほど小煩いやつには初めて出会ったぞ!」ニコールが鼻を鳴らした。14 #4215tk
2016-01-18 21:52:56オツカレサマドスエ!紳士一体何者だ!ニコールおじさんを煩わすって只者じゃないぞ!ハッ!まさか顔見知りって… #4215tk
2016-01-18 22:13:54「小煩い?」忌々しげな様子で首を振る大悪魔に、四季は眉をひそめてみせた。『強い』でも『厄介』でもなく、『小煩い』。彼女にそう言わせしめる怪異の力とはいったい?「あれはな、いくら消し飛ばしても再生するのだ」「へ?」「どころか中途半端に削ると増える」15 #4215tk
2016-01-20 20:42:04平然と語るニコール。とうてい信じられぬ内容だ。怪異とて不死の存在ではない。力を失えば消滅は免れぬ。ましてトリルと同等以上の力を持つであろうニコールにかかれば文字どおり消し飛ばすこともできるのだろう。しかし、再生どころか分裂?「いや、あんな怪異は初めて見たね」16 #4215tk
2016-01-20 20:44:30