#男女心中道行電車100字書き出し

おじさま【風邪は治った】 @_fuyukai

#男女心中道行電車100字書き出し 「このお弁当いっつも買えなかったのよね」小さな幸せに隣の彼女は涙を流していた。僕の左隣にいる彼女が朝日に照らされながら涙を流すは聖母のよう。やっぱりあんな所から彼女を連れ出してきて良かったと心の底から思って手をぎゅっと握った。最後の旅路の始まり

小指 @maho_lit

女は赤い薔薇の絵が胸に入った黒いセーターを着ていた。男もまたセーターを着ていたが、それらはあまり綺麗ではなく毛玉が沢山ついていた。電車内の乗客は皆コートを着ており、二人が上着も持たずセーターで揺られていることに奇妙な目を向け、すぐに興味を失った。#男女心中道行電車100字書き出し

薄口 @uskc5

いつもなら空っぽの電車を走らせる午後11時だというのに、乗り込んでくる若い2人。この時期にしては寒い服装と、山奥に行くにしてはあかるい笑い声が響く。どうやら俺は疲れているらしい。ハンドルを握りなおした。#男女心中道行電車100字書き出し

ふしみ いよ @243_14

#男女心中道行電車100字書き出し カタンカタンとレールの上を走る列車から振動が伝わってくる。彼女は僕の方を見ない。乗ってる乗客もまばらで、寂しい感じがする。まるで僕らの先を暗示してるみたいだ。そう思った時、「ねぇ」と彼女が顔を上げた。

みつ林檎 @aphel_3

駅のホームから狭い空を望む。連日の雨が嘘のように日は眩しく並ぶ男女を差す。しかし、彼らから覗く先は相も変わらず重く低く淀む雲ばかり。 ふと彼女が「ー、」発したその言葉はかき消されてしまった。 男はこれからどこへ行こうかと思案する。 #男女心中道行電車100字書き出し

しげ @sa9sige

静かに二人の体が揺れ、街が遠くなっていく。「ねぇ、鍵閉めてきたっけ」ぽつり、呟く。鍵が閉まってようが開いていようが、関係ない。二人はもう帰らないのだから。もう後戻りはできない。するつもりも、なかった。 #男女心中道行電車100字書き出し

固定をご確認ください @sosakusaku

とりあえずある分の金を入れて買った切符はただ冷たく手にしっくり溶ける。改札を抜け電車に乗り込んでから、もう既に何駅過ぎただろうか。まだ降りようとは思わない。 少しだけ小腹が空き、君の顔を見ると #男女心中道行電車100字書き出し

閉店 @Wirry_Ueki

揺れる窓から差し込む日が、橙色になり、消えていく様は、まるで今の僕達のよう。財布の中身を引っくり返して、二人で行ける所まで。全てを燃やし尽くして、落ちていく様。握りしめた君の手の温もりも、これが最後。 #男女心中道行電車100字書き出し

群青ｽｧﾝ @Permanent0Blue

彼らは静かに寄り添い、手をつなぎ下を向いている。 表情は全く見えない。悲しんでいるのか、それとも穏やかなのか。 それを見守るかのように、やわらかな夕日が二人を照らしていた。 #男女心中道行電車100字書き出し こうかしら。ふむ。

（個人の見解です） @oryzae1080

ガタンゴトンと鋼鉄の継ぎ目を乗り越える音が、私たちを母の胎内にと引き戻す。 「河口湖駅についたら、お昼にしようか」 きっと、最後の晩餐はほうとうだ。 ――列車は、線路の音とは反対側へとに進んでいた。 #男女心中道行電車100字書き出し

るね@悪法通販開始 @enjcalme

長閑な田園風景が車窓を流れていく。真っ白な曇り空が、どんどん雨の降りそうな黒い雲に流されていく。車内には僕と彼女だけで、客はない。会話もない。田舎らしい、懐かしいつくりの寂れた電車は、僕らだけを乗せて、目的地までまっしぐらに連れて行ってくれる。 #男女心中道行電車100字書き出し

ありふれたうやむやに還ろう @cmt_ynd_

あ、海。小一時間無骨な振動音しか聞こえなかった車内に君の呟きが転がり落ちた。その声の感情は読めない。僕はほんの少しだけ、寂しく思った。そうだね。僕は返す。がたんごとん、再び僕ら以外の音が世界を満たす。 #男女心中道行電車100字書き出し

内海睦 @jusankaidan

「明日は雨が降るらしいよ。」冷たい鉄の車窓で切り取られた厚い冬雲を見ながら、男はそう口にした。女は携帯電話の液晶に映し出された五月蝿い着信履歴を眺めながら、「今日が雨じゃなくて良かったね。」と溢した。 #男女心中道行電車100字書き出し

メーシェ @goat_eye

怖い、とぼくは呟いた。誰に向かってだろう。車窓に映る景色は僕らには留まらない。なに？と君が言った。僕は笑って首を振り、窓の外を眺めた。混雑次の騒音や人いきれは昨日に置き去りだ。君も、何処かを見ていた。#男女心中道行電車100字書き出し

ｲ主EIﾖ @s_krhl

今よりマシな所へ、と二人が行く先は何処へ行っても地獄だった。だが静かに揺れる電車の中、次の目的地がどこよりも幸せな場所だと二人は知っている。名前も知らないその場所で永遠を誓おう。#男女心中道行電車100字書き出し

よも🔥 @yomoyomo1105_k

#男女心中道行電車100字書き出し ln.is/privatter.net/… かいてみたよ

猫治は原稿を頑張る @nekozi826

駆け込んだ電車のドアが閉まる「よかった。間に合った」息を荒くして彼女は近場の席に座った。「そんなに急ぐことないだろ」僕もそっと隣に座った。彼女はただ笑うだけ。初めての旅は片道切符で実に安上がりだった。 #男女心中道行電車100字書き出し

ピーた@低浮上 @p7_9t6a4

二人の瞳は鈍色だった その男女はお互いの濁った瞳を見つめ微笑みあっていた そこは既に二人だけの世界だった 列車がトンネルを抜けると朝日が車内を突っ切った その時俺ははっとした 二人の瞳は輝いていたのだ #男女心中道行電車100字書き出し

いちこ @none_753

ごっこ遊びは終わりの年だと誰かが言った。それ故に僕らのごっこ遊びはこれが最後だ。愛しかわいやと抱き締めて寝た身体は、枕木の上で揺られる。終点の曽根崎まで彼女は眠り、残る駅の数は僕が数えることにした。 #男女心中道行電車100字書き出し

山田麻里 @yamada_asari

がたん。ごとん。がたん。ごとん。鈍行列車は引きずるように進む。彼と私、手を握って、リズムに合わせて息を吸って吐いて。彼と私、ジェットコースターは嫌いだから、終着着くまで、呼吸の速度を、落としてる。　#男女心中道行電車100字書き出し

針山RE:ゴ🐳 @rego1108

車窓から西日がさす。切符に書かれた駅名は二人とも知らない。 周りの人々は西日を疎ましがりながら携帯端末を見つめたり、眠っていたり様々だ。 「これが最後」と車内で夕日を楽しむのは、きっと僕らだけだろう。 #男女心中道行電車100字書き出し

ゆうき @uuuki_yp

#男女心中道行電車100字書き出し 死を身近に意識したのはいつ頃からだろう。その感覚の根は深く、片時も離れない恋人のようだった。死は私と共にあり彼と出会ってからもずっとそこにいた。言わば三人暮らしのようなものだった。

Haku @musicmarketband

#男女心中道行電車100字書き出し 見慣れた景色が遠ざかる。電車の揺れが何故か今では心地良くなってしまった。真っ暗なトンネルの中で君は僕にこう言う。｢…ありがとう。｣そう言って流れた一筋の涙。本当に礼を言うべきは、きっと僕の方なのにね。

砂鴇 @fstk_rv

車窓の景色が変わってきた。町中の喧騒から木が目立つのどかな風景に変わる。隣を見れば同じようにぼんやり景色を眺める男。気付いた男が振り向き、女と男は笑い合った。そう、この世の煩悩から解き放たれたような顔で。 #男女心中道行電車100字書き出し

R'lyeh @_Rlyeh_

「私が貴方のお母さんなら良かった」そうしたら、勢いに任せて馬鹿な事をするのは止めなさいと、縋って止める事が出来たのに。 「私が貴女のお父さんなら良かった」そうしたら、しょうもない男に着いて行くのは止めなさいと、殴って止める事が出来たのに。 #男女心中道行電車100字書き出し