スイート【大倉さんと甘いbirthdayを】

白色 @whiteeighter

1 〈えっ？今日誕生日？！〉 〈なんだ〜早く言ってよ、もぉ！おめでとう‼︎〉 同僚の女の子たちがお祝いの言葉をくれる 〈じゃあ今日は丸山さんとディナーとか？〉 まだ言ってなかったんだっけ 「んーと…別れたんだよね。先月」 〈そうだったの⁉︎ごめん…〉 #スイート

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２ 「ううん、話すタイミングなくて…ごめん」 仕事終わりみんながカフェでケーキをご馳走してくれた 〈評判通りおいしかった〜！〉 〈芸能人がよく差し入れに買いに来るらしいよ！〉 「ほんとありがとーね」 店から出ると見たことのある姿…隆平、と…可愛い女の子 #スイート

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３ そういうことか 私が甘えてくれないのが寂しいなんて振っておきながら 分かりやすくアピールするあの子を好きだったの 〈秘書室の子だよね…〉 「可愛らしい子でお似合いだよ」 2人は気付かないで寄り添って歩いていく ドンッ ぼーっとして人に気付かなかった #スイート

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４ 『あっ、すいません』 背高い人… 「いえ！私の方が。ごめんなさい」 『うわ、ほんますいません…どっか痛かった？！ですか？』 「え？別に…」 『え、だって泣いて…』 「これは…もう、やだな// あの大丈夫」 『……あげるわ、それ』 手渡されたのは #スイート

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5 ここのお店一番人気のバウムクーヘン、一口サイズ 『買い過ぎてもーたから』 ちらっと眼鏡とマスクを外したその顔 『……誕生日おめでとう』 「っ？！？」 それは紛れもなく私の大好きなアイドルの大倉くんでした 泣いてたのが嘘のように素敵な誕生日 #スイート

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6 その日からそのカフェに寄ることがほぼ日課になってしまった もちろん、またあの素敵な偶然を期待して… でも誕生日の日以降、彼が来ることはなかった 数週間後、仕事が早く終わった日またあのカフェに向かう お気に入りのジンジャーラテと甘さ控えめのバウムクーヘン #スイート

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7 なんか今日いつもに増してカップル多いなと思ってたら ２４日…クリスマスイブだ 神様からの素敵なサプライズを期待して 扉が開くたびに目をやってしまう 「…！」 《、久しぶりやね》 入ってきたのは同じく仕事終わりであろう隆平 こんなサプライズいらない。 #スイート

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８ 「久しぶり。待ち合わせ？イブだもんね」 《うんまぁそんなとこ。ひとり？》 今日も明日もひとりです …なんて返せるわけもなく 「うん、ここの焼き菓子好きなの」 《あぁバウムクーヘン有名なんやってな？雑誌とかにも載って》 中身のない会話をする #スイート

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9 《…今更やけど、ごめんな》 「何が？」 《お前の弱いとことか寂しがりなとことか…ほんまは分かってたのに。俺が頼りなかっただけやな》 ほんとに今更 別れてからそんな優しい台詞困るよ 「ううん、私の方こそ色々ごめんね」 《すぐそうやって謝るんやからなぁ》 #スイート

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10 「む…だって。なんて言えばいいかわかんないんだもん」 《俺のこと怒ったり責めたりしてくれてよかってんで？ ほら俺Mやし笑》 「えぇ？なにそれ笑 やだよ怒っても喜ぶんでしょ？」 2人でクスクス笑い合う 隆平は時計を見て 《そろそろ行かなあかんわ》 #スイート

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11 「あ、彼女来ちゃう？私もう出るよ」 《お前気ぃ遣いすぎやって》 ふっと微笑んで 《つきあってくれてありがとうな メリークリスマス♪》 私の伝票を持って去っていった 付き合った最初のクリスマス、サンタさんのコスプレをして現れた彼を思い出した #スイート

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12 さて、そろそろ帰ろうかな 立ち上がると目の前に変な長髪の人 「…？」 『ここのやっぱ美味いなぁ』 関西弁 芸人さんにしてはなんとゆうかオーラが まさかまさか 『…あれ？俺間違うた？』 「あっ…と、え？」 『先月ここで会ったやんな？』 この声 #スイート

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13 「おおく…！！ん、んぐ…っ」 叫びそうになる私の口を塞いで しーって人差し指を立てる 『あかんて…分かって？笑』 こくこくと首を振ると 手を離してくれた てゆうかこの人の手が私なんかの顔に唇に触れたってだけで死にそう 『せっかく変装して会いに来たのに』 #スイート

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15 「あ…っ、私、ご馳走…しますっ！お礼に…この前の」 なんとか言葉を絞り出す 『ほんま？やったー♪』 運ばれてきたバウムクーヘンを嬉しそうに食べ出す 『ん？食べる？』 「や、さっき食べたんで…」 『はい、あーん』 「えっ、や…そんな、いいです…っ」 #スイート

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16 『遠慮せんと』 無理やり鼻をつままれ 口を開いたら食べさせられてしまった 「芸能人でみんなこうなんですか？//」 『さあ？』 「大倉さんは特に軽いんですか？」 『軽ないし。つーか今芸能人として来てへんよ』 「？」 『…会いに来たって言うたやろ？』 #スイート

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17 まだ夢見心地で 目の前にいるのが大倉くんだなんて その彼が私に会いに来たと言う 『あの日さー、マネージャーが体調不良なって自分で差し入れ買いに来てん。 そしたらあんたが女友達に誕生日祝ってもろてたやん？ レジのとこから見ててんな そんで店出たら…』 #スイート

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18 『ぶつかったのがさっきの誕生日の子で。 声ださんと泣いてて…自分で気づいてへんしさ イタズラ心ってゆうか？ 仮にも芸能人いきなり見たらびっくりしてくれるかなーって お菓子渡してん』 ずっと見られてたなんて 恥ずかしいのと嬉しいのと…混乱してる #スイート

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19 『その後実は何回かここ寄ってんけど、気づいたらなんとなく探してて。 それで今日やーっと会えた』 「…」 ちょっと気持ちの整理がつかない 私を探してた？ 私が彼をいつも探してたみたいに？ そんな馬鹿な 『え？ちょ、なんか言うてや笑』 困ったように笑う #スイート

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20 「す、すいませ…」 『いや謝らんでも笑』 さっき隆平に言われたことを思い出す 私はすぐ謝るって… 『いっこ気になることあんねんけど、聞いてええ？』 「はぁ、なんでしょうか」 『別に誰にでも聞くわけちゃうからな、自分やから聞くんやで？』 念を押される #スイート

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21 『さっきの…誰？』 さっき？ 真剣な眼差しで聞かれてもピンとこない 『ここ、座って仲よさそうに話してたやん……男と。彼氏？』 なんでちょっと拗ねたように言うんだろう 脳内でヤキモチみたいだって変換される 「や。違います…元彼です」 『ふぅーん』 #スイート

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22 『いま彼氏いてんの？』 「いてたらイブの日にひとりで過ごしてませんよ笑」 何時の間にか普通に会話できるようになってる 慣れってすごいな 『そしたら一晩俺に付き合ってや』 「はっ？！」 『ほんまは仕事やってんけど急に空いてん』 #スイート

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23 『何か食いにいく？どっか行きたいとこある？』 「えっ、え…いいんですか？本気？？」 『予定ないんやろ？ほなええやん』 「はい、どこでも…！」 『せっかくのイブに牛丼屋でもえーの？笑』 それはちょっと でも大倉くんとならいい思い出になるかも #スイート

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24 「どこでもいいんですか？」 勇気を出して聞いてみる 『ええよー♪ 三ツ星レストランでもどこでも♡』 どうせ夢なら 言ってしまえ 「私のお家でクリスマスしませんか？」 『ええの？男連れ込んで笑』 「お家でするの好きなんです。大倉さんちはヤバいでしょ？」 #スイート

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25 『…よっし！じゃあお邪魔するかー！』 例の長髪カツラをまたかぶると ここのクリスマスケーキを買って二人で店を出た 一晩限りの夢なら スイートルームとかお願いすればよかったのかな？ でもそれだと本当に夢の世界みたいだから いつもの私の部屋に思い出を残したい #スイート

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26 チキンとワインを買ってタクシーに乗り込む 「大倉さんの住んでるようなマンションと比べないで下さいね笑」 友達と集まってパーティするみたいなノリで 自分ちの部屋に入った 「ちょっとだけ掃除していいですか？ここで待っ……ん、ん…ッ！！」 本当にこれは現実？ #スイート