ノスタルジア【きみくん×あかねちゃん】

白色 @whiteeighter

1 バイトの帰り、いつもの道を急ぐ ちょっと遅くなってしまったから 通り抜ける繁華街には酔っぱらいとか、キャッチのお兄さんで溢れてる 『おねーさん』 またか。 今度はナンパかな… 「急いでるんで」 『いやちゃうって、』 「そーゆうのいいですから！」 #ノスタルジア

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２ 『そーやなくて…！』 腕を掴まれる めっちゃ強引だなこいつ 殴ってやろうかと睨みかえした 『コレおねーさんのやろ？』 目の前に見慣れたカードケース 「あ…」 『あっこで落ちたん見えてたから追いかけてきてんけど』 「ご、ごめんなさい！変なナンパかと」 #ノスタルジア

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３ よく見ると同い年くらい…いやもうちょっと若い？ 綺麗な顔立ちの男の子だった 『ややこしい声のかけ方してもーたしな笑』 あ、笑うと可愛い… カードケースを受け取ろうとしたとき 『…！、これ』 「え？」 小さい頃できた手の甲の傷を撫でられた #ノスタルジア

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４ 『…あかね？』 「なんで私の名前…⁈」 誰だ？ 昔の同級生？？ こんなかっこいい子いたっけ 『わからへん？侯隆…、隣の。』 「えっ…⁈きみくん⁈うそ…」 隣の家の３つ歳下の男の子 きみたか。 小さい頃はよく二人で遊んだことを思い出す #ノスタルジア

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５ お姉ちゃんお姉ちゃんって私の後ついてきて でも、私が中学に上がる前に おうちの事情とかで引っ越しちゃって 連絡とれなくなって…そのまま 「ほんとに…きみくん？」 『びっくりするわ…！あかね全然変わってへんねんもん笑』 「うるさいなー！」 #ノスタルジア

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６ 「きみくんは背も伸びて、大人っぽくなったね…」 余りにも昔と違う彼の様子に少しドキドキしてしまってる 『そら背ぇ小学生のままなわけないやん笑 あかねは縮んだ？』 頭を手でポンポンされて 立場が逆… 「縮むわけないでしょ！ 今ってどこに住んでるの？」 #ノスタルジア

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7 『まぁ、今は…近くやで』 「そうなんだ！ …って私もう終電やばいの！今度ゆっくり会おうよ？」 きみくんは優しく微笑んで 名刺を手渡してくれた 『…ん、ここにかけてや』 「わかった！じゃーねー♪」 ダッシュして間に合った電車内で名刺を見ると #ノスタルジア

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８ “横山 裕 TEL:090-XXXX-XXXX” 裕？ 侯隆じゃなくて？ しかもこれ別に会社名とか入ってないし…なんだろ まぁ今度会った時に聞けばいっか ＿＿＿ 数日後、大学の休講中にその番号にかけてみた 『…はい、裕です』 やっぱ裕って言ってる… #ノスタルジア

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9 「あ…っと、えと、横山侯隆さんの携帯で合ってますか？」 『…あ、あかね？』 「よかったー、きみくんだよね。裕ってなに？笑」 『あーまぁええやん』 「あいてる日ある？ごはん行こうよ！」 きみくんも空いてるってことで 早速今晩会う約束をした #ノスタルジア

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10 ご飯を食べながら色々話をした あの引越は、親戚の肩代わりをしたお父さんの借金が理由だったってこと きみくんは中学を出たあと、働きながら学費を貯めてるということ 「大変だったんだね…」 『俺はまぁ大丈夫やけど、母さんが精神的に参ってもうて…』 #ノスタルジア

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11 「そうなんだ…おじさんは？」 『半年くらい前に離婚して行方不明（笑』 両親そろってぬくぬくとした環境で育った私にはどれも衝撃的な話だった 同時にあんなに可愛かった弟みたいなきみくんがそんなに苦労したのかと思うと… 自然と涙が溢れきた #ノスタルジア

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12 『…なんであかねが泣くん笑』 「だって、あんなにちっちゃかったきみくんが… 今更だけど、何か、私にできることがあったら言ってね…」 『そんなんええよ、俺んちの問題やし』 「でも…遠慮しないで私のこと頼ってね？なんでもするよ」 『…なんでも？』 #ノスタルジア

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13 「うん？出来ることなら」 きみくんの目の表情が変わったような気がした 『ほんまに？』 「うん…⁇」 『……ほな、女の人紹介してや』 「？彼女ほしいってこと？」 『いや、仕事相手に。お金持ってる女の人。』 分からないとゆう顔をしていると #ノスタルジア

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14 きみくんが続きを話し出した 『この前渡した、裕って名刺あるやん？あれ仕事用の…まぁ源氏名みたいなもんやねん』 「水商売？でもお店の名前とか入ってないよ…？」 それにまだきみくんは１６歳だし そんなとこで働けないはず 『…一晩で、３万。』 #ノスタルジア

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15 …？ 『俺と一回寝るのに、３万円』 「なっ…何それ⁉︎ば、売春…⁉︎」 表情ひとつ変えず きみくんは坦々と説明する 『困ってた時、俺のこの見た目が金になるって教えてくれた人がおってん 声かけてきたおねーさんで、今もその人が用意した部屋に住んでる』 #ノスタルジア

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16 『そんでまぁ歳を一応１８てことにして、本名もマズイやろうから…裕ってことにした』 きみくんの話す内容がショックで、声も出ない きっと借金だとか自分の将来の学費だとか私には想像もつかないくらい大変なんだろう でも… 「きみくんは、それでいいの…？」 #ノスタルジア

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17 無表情な顔つきで 『いいも何も。俺が生きていくために女とヤるくらいなんとも無いわ』 ちっちゃい頃は目を輝かせて なんでも話してくれたのに 悲しい時は2人で公園のブランコでずっと遊んだ でも今のきみくんは… 『なあ、紹介してぇや？金持ちの女。』 #ノスタルジア

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18 何も本気で女紹介してもらおうと思て話した訳やない 数年ぶりに会った隣の家の女の子 ……初恋の女の子。 余りにも当時のまま変わらへんから、ちょっとイジワル言うたった いっそのこと幻滅してほしい 女抱いて金もらってるなんて最低やろ？ #ノスタルジア

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19 もうお前が知ってる俺とは違うねん とっくに汚れてんねん 「…わかった。お金出してくれる女の人紹介すればいいんだね？」 予想に反して彼女は承諾した 『おん…心当たりあんねや？』 「……」 無言で別れた まぁあかねから紹介されんでも女はなんぼでもおる #ノスタルジア

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20 その日の夜中、予約が入っていた女の元へ向かう 『まった高そーなホテル…』 指示された部屋に向かうと また馬鹿でかい豪華な…スイートルームってゆうんか？ 『リナさん…？初めまして、裕です…』 営業スマイルも慣れたもんや 「どうぞ…やだ本当に綺麗な子」 #ノスタルジア

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21 「ユウカから聞いてはいたけど…ハーフなの？」 ユウカってのは俺のこと仕込んだ女 時々名刺を配って俺を稼がせてくれてるみたいやけど 『ちがいますよ笑 100%日本人です』 「肌は真っ白で、背はすらっとしてて細身で、目も指も綺麗だって彼女言ってたのよ」 #ノスタルジア

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22 『ハードルあがってしまいますね笑』 「ううん聞いてた通り…期待以上よ？はいコレ」 女が財布から一万円札を３枚取り出して渡された 『…ありがとうございます』 お金を受け取りながら 手首を掴んでベッドへ押し倒す ３万円分働かな クレームつかんように #ノスタルジア

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23 ユウカさんから〈リナは強引なのが好きだから〉って聞いてる キスをして舌を差し込んだ ディオールの香水の香りがする そういえばあかねは、昔と変わらず石鹸みたいなシャンプーみたいな…ええ香りがした キスと全身への愛撫で十分焦らしてから 濡れてる所へ… #ノスタルジア

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24 そこも指で舌で味わうと ねだられて最後まで。 …簡単や 俺が金の為に女を抱くように 女も欲望を満たす為に金を払う たまに、倍払うからあーしろこーしろって言うてくる客もいてるけど それはそれで儲かるしな 俺はこうやって生きていく 他に方法を知らへん #ノスタルジア

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25 女が体を震わせてイくと同時に ゴムの中に欲を吐き出す リナさんが寝てる隙にシャワーを浴びて部屋を出た 時間は夜中の2時 スマホが光りLINEが届いてることを知らせていた あぁそうか、あかねと交換したんやった 「きみくんに紹介する女の人みつかったよ」 #ノスタルジア