忍殺二次創作【オール・ザ・ヤング・ニンジャ・デュード】
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ピピピピ……ピピピピ……薄暗い室内にアラームが鳴り響く。「ウー……」フートンをすっぽりと被った部屋の主が、手だけを出して置き時計を探す。音源には何度か掠るものの、届かない。「……ザッケンナコラー……」眠たげなヤクザスラングとともに、部屋の主が起き上がった。1 #4215tk
2016-03-27 20:00:13元から低い天井に頭が届きそうなほどに背が高く、大柄。そしてそのバストは豊満であった。彼女は乱暴にアラームを止めると、灯りもつけぬままに着替え始める……寝間着からニンジャ装束へと。最後に犬めいたメンポを装着し、そこでようやく部屋を明るくした。2 #4215tk
2016-03-27 20:04:11彼女は欠伸を一つ漏らすと、フートンの上にアグラをかき、携帯端末を弄り始める。ビズの連絡を確認するためだ。彼女の名はヒヤエナ。まだニンジャになって間もないニュービーである。故に単独で仕事を任されることはなく、頼りになる『センパイ』との共同ビズが主な収入源だ。3 #4215tk
2016-03-27 20:08:08連絡がないことに、ヒヤエナは溜息をつく。気を取り直し、彼女は部屋の外へ出た。出迎えるのは共同生活用のリビングである。ここには他にも住人がいる……ヒヤエナと同じく、まだ経験の浅いニンジャたちが。とはいえ、まだリビングに人影は見えない。一番乗りだ。4 #4215tk
2016-03-27 20:12:11「……イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」外からはカラテシャウトが聞こえてくる。窓から見なくてもわかる。あれはハンドアックスだ。また日課のカワラ割り訓練だろう。熱心なことだ。あれは仲間内でも一番朝が早く、特に周囲の迷惑など考えずカラテ・トレーニングを始める。5 #4215tk
2016-03-27 20:16:14故に、彼のカラテシャウトで朝を迎える者も少なくない。ガチャ、と個室のドアが開く。そちらを見やったヒヤエナは顔を出していたルームメイトにアイサツした。「オハヨ」「……オハヨ、ヒヤエナ=サン。もう朝か……」呼びかけられた女は、眠たげに返事をしながらリビングへ。6 #4215tk
2016-03-27 20:20:11ヒヤエナは食い入るように女を見る。マンダリン色の髪をショートボブにまとめており、その振る舞いにはどこか上品さのようなものが感じられる。もっとも、寝起きの今ではところどころに寝癖が跳ね、着ている寝間着も肩からずり落ちているという惨憺たる有様だが。7 #4215tk
2016-03-27 20:24:19「相変わらずだらしねえよな、お前」ヒヤエナは笑う。「そんな格好で出歩いてよ……襲われちまうぞ」「女同士で襲われるも何もない」眠たげに返した女は、まっすぐヒヤエナの座るソファに向かってくる。そしてその隣に腰を下ろした。「髪、梳かして」「アイ、アイ」8 #4215tk
2016-03-27 20:28:10ブラシを手渡されたヒヤエナは、苦笑しながらも女の髪を整えてやる。まあ、ある意味役得だ。彼女がここまで懐かれる相手などそうはいない。そもそも、彼女が女であることを知る者からして少ないのではないのだろうか。普段の格好から、彼女の性別を見抜くのは難しい。9 #4215tk
2016-03-27 20:32:09「今日はたぶんオフになるぜ、メタルアーチン」髪を梳かしながら、ヒヤエナは言った。「姐御から連絡はねえし。まあ最近働きづめだったからよ、ちょうどいいよな」「そうか」メタルアーチンはぼんやりとした様子で答える。ヒヤエナは苦笑の度合いを深めた。やはりトロい。10 #4215tk
2016-03-27 20:36:07おおよそニンジャに向いていない気質の彼女が、なぜこんなところにいるのか。元々いいところのお嬢様だったのか、なんの気紛れが家出をして……気づいたらこうなっていたとかなんとか。本人や彼女を保護した「姐御」の話から判断するに、そういう経緯があるらしい。11 #4215tk
2016-03-27 20:40:09「……スクイール=サンは?」「アア?あいつは別口のビズだよ。ほら、ワイルドローズ=サンと」「そうか。大変なことだ……」どうやらメタルアーチンはまだ眠たいらしい。フートンに放り込んでおいた方がいいだろうか。よからぬイタズラをしたくなるが、それは自重するとしよう。12 #4215tk
2016-03-27 20:44:29「イヤーッ!イヤーッ!イヤーッ!」ハンドアックスのカワラ割り練習はまだ続いているらしい。元が好戦的な奴なので、カラテ訓練にも熱が入っているのだろう。「アーッ、うるさいぞチクショウ!いつまでやるつもりだ、あれは!」三番目の個室のドアが勢いよく開く!13 #4215tk
2016-03-27 20:48:11飛び出してきた部屋の主に、ヒヤエナはアイサツした。「オハヨ、モゼーイック=サン」「オハヨ、ヒヤエナ=サン……に、メタルアーチン=サン。お前らもあのバカに起こされたクチか?」頭を掻きながら、ジャージ姿の少女が近づいてくる。ヒヤエナは肩を竦めた。「アタイは違うぜ」14 #4215tk
2016-03-27 20:52:10モゼーイックは鼻を鳴らし、ぼんやりと虚空を眺めるメタルアーチンを見た。「じゃあメタルアーチン=サンは起こされたんだな。なあヒヤエナ=サン。あのバカに焼き入れて静かにさせたらどうだ」「やるンなら自分でやれ。アタイは姐御に怒られたくない」素っ気なく言う。15 #4215tk
2016-03-27 20:56:19呆れた視線を向けてくるモゼーイックに、ヒヤエナは言った。「それにアイツの訓練、もう終わる頃合いだぜ。そろそろ腹が減って部屋ン中に戻ってスシをドカ食いする時分だよ」「スシ、ねえ。……朝メシある?」「まだ作ってねえ」「エーッ……」面倒くさげな声。16 #4215tk
2016-03-27 21:00:07