昔話2

ガウェインについて
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墓守の騎士 @Bedivere_f

@TOS 何だか随分と久しぶりですが、我々の昔の話を楽しんで聞いてくださる方がちらほらと見受けられましたので…同朋の話をしましょう。ガウェインについてのちょっとした昔話です #ベディの円卓語り

2016-03-30 15:10:16
墓守の騎士 @Bedivere_f

@TOS …まだ円卓に集う騎士が三人だった頃、私は彼と初めて出会いました。彼は昔から高潔で優秀な騎士でした。太陽の力を聖剣に宿す男。羨ましくなかったといえば嘘になります、一応私もそういったものへの憧れがありましたから #ベディの円卓語り

2016-03-30 15:23:11
墓守の騎士 @Bedivere_f

@TOS しかし名の通り夏の鷹を思わせる力強く、堂々たる姿を見せられればつまらない嫉妬も消えうせようというものです。真実、彼は加護を受けるに足る騎士でした。戦場立てば味方を鼓舞し、敵を薙ぎはらう頼もしい姿に心を打たれた者も少なくないでしょう #ベディの円卓語り

2016-03-30 15:27:15
墓守の騎士 @Bedivere_f

@TOS 卑王ヴォーティガーンを討つ時、未熟な私は地に倒れ伏しました。あの戦いで最後に残ったのはガウェインとアーサー王のみ。あの竜との戦いがどんな熾烈なものであったのか想像するのはそう難しくありません…いえ、むしろ……一方的ですらあったのかもしれません #ベディの円卓語り

2016-03-30 15:39:51
墓守の騎士 @Bedivere_f

@TOS 朦朧とした意識の中で見えた光景は絶望的でした、ガラティーンの輝きは竜の腹に呑まれ、王の聖剣ですら灯る光は微かな篝火のよう。如何してあの戦いで王が勝利したのか、それは覚えていません。ですがガウェインの顔を後に見て確信しました。竜は王が打ち倒したのだと #ベディの円卓語り

2016-03-30 15:46:07
墓守の騎士 @Bedivere_f

@TOS あの強大な存在に王はどのように立ち向かったのか…何故だかそれを聞くのは憚られました。情けない話、少しだけ怖かったのです。笑ってしまいますね、かの王の力を信じる一方で何か途方もないものを手にしていたのではと…聖剣を担う彼に今更すぎる杞憂だというのに #ベディの円卓語り

2016-03-30 15:50:22
墓守の騎士 @Bedivere_f

@TOS …脱線してしまいましたね。何はともあれ束の間の平穏が訪れました。とても喜ばしいことだったのに、何だかその頃からガウェインと私の間に差を感じるようになりました、嗚呼、力量という話ではありませんよ?その点は差、などで表していいものではありませんので #ベディの円卓語り

2016-03-30 15:54:47
墓守の騎士 @Bedivere_f

@TOS きっとそれが、王に願うものの違いだったのでしょう。私は王に笑顔を望み、彼は王に王であることを願った。当然のことでしょう、あの窮地、いいえ、どんな場であれ王がある限り我々に敗北はなかった。あの戦いで王と戦い抜いた彼がそれを誰より知っている #ベディの円卓語り

2016-03-30 16:00:22
墓守の騎士 @Bedivere_f

@TOS 誓って言います、彼のそれは盲信ではない、心からの王への敬愛だったと。彼の願いは間違いではない、事実、王が王である限り、我らが恐れるものは何一つない。もし、彼の願いや敬愛を笑うものがあったのならば、その輩は王を知らないからだ #ベディの円卓語り

2016-03-30 16:06:57
墓守の騎士 @Bedivere_f

@TOS …ただ、それでは王はいつまでたっても自分のために笑えない。私は王の孤独な終わりを思い、怒りを抱いたまでのことです。さて、無駄話はここまでに。いけませんね、先程から脱線してばかりだ #ベディの円卓語り

2016-03-30 16:11:32
墓守の騎士 @Bedivere_f

@TOS 時は過ぎ、円卓の席も埋まり、また戦いが過激さを増してきた頃にギネヴィア妃とランスロット卿との不貞が明らかになりました。それを暴いたのは他でもないガウェインの弟、アグラヴェイン卿でした。彼はランスロット卿の怒りを買い斬り殺されてしまいました #ベディの円卓語り

2016-03-30 16:16:58
墓守の騎士 @Bedivere_f

@TOS しかし、ガウェインは弟を斬り殺されてもランスロット卿に怒りはしなかった。友を信じていたのでしょう。「アグラヴェインは義にもとる行いをした。ランスロットがそのような罪を犯すはずがない」と #ベディの円卓語り

2016-03-30 16:19:30
墓守の騎士 @Bedivere_f

@TOS それでもそのまま許されるということはあり得ない。王妃との不貞です、それが嘘であれ真であれきちんとしたけじめは求められる。ギネヴィア様は火刑に処されることとなった。しかし、その場に配置されたガレス卿とガヘリス卿は王妃の処刑の反対派でした。 #ベディの円卓語り

2016-03-30 16:24:56
墓守の騎士 @Bedivere_f

@TOS ランスロット卿を慕っていた両人は言いました「ランスロット卿であれば必ず王妃を救いにいらっしゃるでしょう。それを信じて帯剣はせずあの方を待ちます」と。ですが…悲劇は起こってしまった。王妃を救いに来た騎士はそうとは知らずその2人をも…… #ベディの円卓語り

2016-03-30 16:28:00
墓守の騎士 @Bedivere_f

@TOS それにガウェインは嘆き、悲しみ、怒りました。何故だ、と。アグラヴェインは彼に不義理な行いをした。だが2人の弟達は彼を信じて待っていた。それが何故このように斬り捨てられなければならないのか、と。思えば、運命の歯車はそこから狂い出したのかもしれません #ベディの円卓語り

2016-03-30 16:31:59
墓守の騎士 @Bedivere_f

@TOS …彼は、とても弟想いな人でした。特にガレス卿との仲は傍目からみても良かったと思える。それを、友に最悪の形で裏切られてしまった。彼が怒りを抱えるのも当然のことでしょう。ガウェインはランスロット卿に一騎打ちの戦いを持ちかけました #ベディの円卓語り

2016-03-30 16:37:20
墓守の騎士 @Bedivere_f

@TOS 何時間にも渡る一騎打ちの結果は、ランスロット卿の粘り勝ちに終わりました。聖者の数字を持つガウェインにその加護が切れる時間まで防戦に持ち込んだのです。戦闘不能となったガウェインは剣を収めたランスロット卿に言いました「卑怯者め、逃げるのか」と #ベディの円卓語り

2016-03-30 16:41:14
墓守の騎士 @Bedivere_f

@TOS それにランスロット卿はこう答えたといいます「貴公はもう戦えないだろう、傷を癒したならまた挑戦を受けよう」と。騎士に相応しい対応ですが、ガウェインは納得できなかった。ふつふつとまた怒りを募らせていきます。そんな中、モードレッド卿が叛旗を翻しました #ベディの円卓語り

2016-03-30 16:46:49
墓守の騎士 @Bedivere_f

@TOS 王が、ローマ遠征から帰って間もなくのことです。兵は疲れきり困惑していました。そんな中で王が無事にブリテンに上陸出来たのはガウェインとケイの助力あっての事。ランスロット卿との戦いでの傷を癒したガウェインはアーサー王に加勢しました #ベディの円卓語り

2016-03-30 16:50:57
墓守の騎士 @Bedivere_f

@TOS しかし、傷は完全に癒えてはいなかった。モードレッド卿との戦いで古傷をつかれ、彼は敗れ瀕死の身となりました。そして彼は後悔した。自らの強情がモードレッドの反乱を引き起こし、この血塗られた丘を作り上げてしまったのだと。最期に彼はかつての友に手紙を残した #ベディの円卓語り

2016-03-30 16:57:20
墓守の騎士 @Bedivere_f

@TOS 「ランスロット、私が悪かった。どうか許してほしい。そして願わくばアーサー王を助けてほしい」と。残念ながら結局ランスロット卿は間に合わずに、カムランの戦いは終わりを迎えた。彼は己の間違いを深く恥じこう願いました #ベディの円卓語り

2016-03-30 17:04:15
墓守の騎士 @Bedivere_f

@TOS 「──もし次があるのなら。まだ挽回する機会が、二度目の生があるのなら、今度こそ、自らの全てを王に捧げよう──」……それから後の事はきっと、月の戦いをご存知の皆様の方がお詳しいでしょう。かくして彼は2度目の生で主同様完成された騎士になったのです #ベディの円卓語り

2016-03-30 17:07:03
墓守の騎士 @Bedivere_f

@TOS …長くなりましたね。彼はランスロット卿とは別の意味で誤解されやすい人ですから、つい語りたくなりました。あくまでこれは私の目から見た彼の姿にすぎませんが、少しでも興味を持っていただければ幸いです。それではまた別の機会に、また誰かの話を聞いてくださいね #ベディの円卓語り

2016-03-30 17:10:37