妖異の黒猫Ⅱ

ロンリコ@パ邪SGO_大戦 @lord_phRP

@okurikedama さぁぁああ。 静かな、真っ白なシーツの様な砂浜に響く静かな波音が、あの凄まじい大海戦が終わったという事を伝えていた。 ペドレリーア島。その島が大海戦の結果どの勢力のものになったか、そんな事は関係無い。 今、その島の上に、ロンリコは立っている。

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@okurikedama 「おい、ノア」 そのロンリコの視線の先、その魔獣は居た。 その姿は、つい先日まで見ていた妖異の黒猫からは程遠いものとなってしまっていたけども、それがノアだって事は、すぐに分かる。 だから、彼はただ、目前に対峙しているその魔獣に、そう声をかけた

ノア＠パ君SGO＠返信遅くなります @okurikedama

@lord_phRP 「探しましたわ、リコ」 その声はいつもの甘えた猫の声ではなく、猛獣の唸り声を思わせるものであった。しかし、その声にはどこか優しさのようなものも感じられる。 ゆらゆら。頭から伸びた触手が、金色の光を湛えながら揺れていた。 「こんなところにいたのね」

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@lord_phRP 猫に似た巨大な黒獣は、一歩一歩、彼に近づく。 無数の傷口から獣毛が飛び出した、獣とも人間ともつかない姿の彼を、愛しげに見つめ。 「まさか貴方が『箱』を開けるとは思いませんでしたわ。そのせいで随分と予定が早まってしまったけれど、早いに越したことはないものね」

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@okurikedama ———ガッ！ 無言の切迫 伸ばした腕は、数瞬のうちにその触手の生えた首元に迫り、獣の腕力でその首を掴む。 その腕は未だ人間のそれの姿をしているけど、その内側の筋肉は、ヒトのそれと思えないほどに隆起している。

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@okurikedama 「ノア、悪いがアンタを殺す」 極めて簡潔で、粗野な一言。 理由、心情、、、そんなものを語るつもりは無かった。さらに言うなれば、ロンリコ自身も、今、自分が抱いているナニカを、どう言語化すればいいのかわからなかったから。

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@okurikedama ただ、一言だけ言うとするのならば。 そうしなければ、少なくとも、そうしようとしなければ。 何も始まらないと、何も終わらないと、そう思ったからだ。 だから、ただ腕に込める力を強める。 それは、飾り気も何も無い、タダの、しかし明確な殺意だった。

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@lord_phRP 小さな人間の手では首を掴み切ることはできてはいなかったが、その殺意は伝わった。黒い獣は喉を掴まれたまま、目を細める。 抵抗はしない。まるで、そのまま首を絞めろとでも言うようだ。 「良いわ」 優しい声で、獣は言う。 「もう、貴方は戻ることはできないのだから」

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@okurikedama 「ッ！」 その一言に眉間が険しく歪む。呪い殺さんという形相で、目前のバケモノを睨む。このままでは絞め殺せないが、人間ならねじ切る様な強さで、首元を掴む。 怒り。彼女に抱く情動が、一気にその方向にシフトする。 だが。

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@okurikedama だが。 自分が怒りに包まれている、とはたと気付いたその瞬間、ロンリコは目を伏せ、すぅと息を吸う。 今、怒りを撒き散らすワケにはいかないのだ。 このバケモノには、まだ、言いたい事が。どうしても、一つ言わなければならない事があったから。

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@okurikedama 「俺が戻れるとか戻れねェとか、そんな事ァどうでもいい。俺はニンゲンだ。そう言い続ける」 それは、吸った息を吐くのと同じような、淡々とした自然な調子だった。 だが、同時にその言葉は彼の意思そのものだ。

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@okurikedama あまりにも滑稽な意思だと、自分でもそう思う。 だけども今、自分に湧き上がる情念を言語化しようものなら、そうとしか言う事が出来なかった。 だから、ただぶつける。このバケモノに、穿つように、その言葉を打ち付ける。

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@lord_phRP ノアの瞼がぴくり、と動いた。 「貴方が人間？」 口の端を持ち上げる。並んだ鋭い牙が覗く。その隙間から、くす、と小さな笑い声が漏れた。 「ふふ、うふふふ」 獣は可笑しそうに、身体と触手を震わせる。 「貴方が、人間ですって」

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@lord_phRP 「海で怒りのままに暴れて、その脚で船の間を跳んで回って、その腕と尻尾で沢山の人間を薙ぎ払って。そんな貴方が、人間だというの？」 優しげな目と声が、嘲笑を孕んだ。 「今もその人外の力で私の喉を掴んでいる。いい加減に気付きなさいな。貴方はヒトじゃない、魔物よ」

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@okurikedama 「言ってくれた奴らがいたのさ」 ノアの、魔獣の囁きに、ぴくり、と反応しそうになるのを抑えながら、ただ彼はそう語りかけるように言う。 「アンタをブチ殺したい一方で、帰る場所がアンタだったり、便利な力と使っておいて、その実ニンゲンで居たかったり」

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@okurikedama 「人間に戻れないと絶望した時に怒り狂ったり。 絶望、葛藤、情動。ソレが、”人間らしい”と、そう言ってくれた奴らが居たんだよ」 大戦を通じて出会った者達を脳裏に浮かべる。味方も居たが、敵も居た。だが、その彼らの言葉は、敵味方関係なく、彼を変えていた。

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@okurikedama 「オレはニンゲンに戻りたい。だから、そう思う事を、「ニンゲンに戻りたいと願う事」を辞めるワケにはいかねェ」 一笑に付す魔獣に、言い放つ。 どれだけ滑稽に思われようと、どれだけの詭弁だろうと、それが、彼の"本質"だった。

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@okurikedama 「俺が魔物かどうか。それは関係ネェさ」 ばっ、そう言うと、掴んだ首元を離す。 まるで決別するように。区切りをつけるように、彼女から、手を離す。 「俺はやっぱり、ニンゲンに戻りてェンだ」

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@okurikedama それは一つの区切り、魔獣の誘惑への、抵抗の意思だった。そして、それ以上でも、ソレ以下でも無かった。

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@lord_phRP 「……」 獣の顔が、険しくなった。 掴まれていた喉から、はらはらと数枚の羽毛が抜け落ちる。 「貴方は……どうして。どうして！」 直後、触手が激しくうねり、ダンッ、と地面に叩きつけられた。 ウウウ、と喉から唸り声が漏れる。

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@lord_phRP 「……そう。分かりましたわ。貴方が人間だと言い張るなら、もう自分は人間だ、なんて思えなくして差し上げましょう」 ざわ、ざわと硬質化した羽毛が逆立つ。背の翼膜が広がり、威嚇するようにバサバサと音を立てた。その瞳からは琥珀の光が溢れ出す。

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@lord_phRP 獣は、ロンリコに顔を近づけると、その小さな顔をぐっと睨みつけた。 熱くて荒い、獣の鼻息。 「そんなに人間だと言い張りたいならば、人間に戻りたいと言うならば、私と戦いなさい、ロンリコ。そしてその力を極め、『永遠』となってしまえ！！」 魔物が、吼えた。

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@okurikedama 抵抗の意思表示に、激情を露わにした魔物を前に、淡々と、ロンリコは言う。 「そう、一度こうならないといけねェんだ。そうじゃないと、俺はニンゲンに戻りたいなんて言えないだろうからな」 要は一つの決着。自分を納得させる為の、一つのけじめの様な面持ちだった

ロンリコ@パ邪SGO_大戦 @lord_phRP

@okurikedama 「だからノア、俺はアンタを殺す。殺そうとする。 例えアンタが、俺の帰る場所であろうとも」 今此処に、区切りをつけなければ。 今にも飛びかからんとする魔物に相対し、ロンリコは、 「———まァ、アンタと居るのは、楽しかったよ」 呼吸を整えた。

ロンリコ@パ邪SGO_大戦 @lord_phRP

【告知】 ただいまよりロンリコ・バカルディと、ノア・シャノワール(@okurikedama )による模擬戦始めます。 TLお借りしますので、煩いようでしたらミュートなりお願いします #ツギハギの黒狐 #妖異の黒猫