足りない本丸ジャックの話

弟を捜す髭切bot @otouto_doko_bot

「読みようによっちゃ辛辣な意見だが、これってあれだよな。ツンデレってやつだよな」「どこで覚えてきたのですか、そのような言葉を…」「お、なんだ一期一振。お前も知っているのか、ツンデレ」「知識としましては、一応は…」

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「弟の前ではツンツンで、弟以外の前では弟に対してデレデレ…。って、この解釈は古いんだっけか？」「そうですね。今はツンデレにも、いろいろと意見が分かれておりますから」「……君の口からツンデレとかいう言葉が出ると、一瞬耳を疑うな」「話が逸れております、修正を」「歴史修正主義者か」

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「あー、ちょっとグダッてきたな…。あとは何を話せばいいんだ？ あいつら兄弟が揃っていた時の日常か？」「日常かどうかはわかりませんが…何をするにも、膝丸殿が率先して髭切殿の世話をしていたのが、やはり印象に強いですね…」「それだな。箸の準備から寝床の準備まで、何もかもやっていたな」

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「なんつーか、そこが主従とか突っ込まれる所以だよな。髭切の奴、別にそこまでしてもらわなくても、大抵のことは一人でできるだろ？」「そうですね。弟たちから聞いた話ですが、一昨日の晩に焼き菓子を作っていたそうです。火加減がおかしくなって、炭になってしまったそうですが」

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「それなら俺も見たぞ。腹抱えて転げ回らせてもらった。そういえば、あれはちょっと意外だったな…」「意外、ですか。髭切殿は料理がお得意でしたか？」「いや、そこじゃなくて。んん？ 弟たちから聞いていないのか？」「え？ ……あぁ、もしや、髭切殿があの炭を口にしたという…」

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「そうそう。焼き菓子を短刀の連中が喜んで作ってたんだが、失敗しちまっただろう。あれには君の弟たちもひどく悲しんでいてな」「それを貴方は笑った、と…」「ま、待て！ その話は置いておけ！ ……泣くそいつらの前で、髭切が躊躇いもせず失敗した焼き菓子を口にしたんだ。あれには俺も驚いたぜ」

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「それでだ、『これは苦いね。でも、次は美味しく焼けるよ』だと。それでみんな、がっかりしたのも忘れて心配しながらも喜んでたぜ。あいつにもあんな気遣いができるのかと、それはもう驚いたもんだ…」「髭切殿…！ 後で何度お礼を申し上げればいいか…！！」「まあ、その後具合悪くしたらしいがな」

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「焼き菓子といやぁ、二月の十四日もあったな…茶菓子事件」「……あれですか。あれは、髭切殿が全面的に非があるように思えますが…」「いやいや、あれで髭切の奴、喜んで受け取って食べてたらしいぜ」「なんと！？」

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「……おいおい。いち兄たち、だんだんと茶飲み雑談になってきてるぜ」「そういいましてもね、薬研。あまり長い話を続けますと、題目はただの酒の肴になってしまうんですよ」「おっ、薬研藤四郎に宗三左文字か。なんだ、君達も混ざるか？」

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「混ざりません。収集がつかなくなっているのに、見兼ねただけです」「相変わらずキツいな〜、うちの左文字次男は…。とはいえ、確かに話すネタがなくなってきたな…」「……でしたら、ここではっきりとみなさんに言って差し上げたらどうなんですか？ うちに源氏の重宝の片割れがいない経緯を」

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「……いや、駄目だろ。そこは突っ込んじゃ無粋ってもんだろ？」「何が暗黙の了解ですか。どうせ、あの方、ただ惚けて誤魔化しているだけですよ。何が『捜す』ですか。どうせもう、『代わり』を捜しているだけでしょうに…」「わーっ！ わああああーっっっ！！！！！！！」

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「おい、止めろ！！！！！ いや、本当のことだとしても、繊細さとかそれこそ気遣いとかあるだろ！！！！！！！！」「はあ？ なんです、突然。外見だけで繊細さの欠片もない性格をしていて」「俺が白くて儚いと言われる容姿を持ち上げられるのは喜ばしい限りだが、それとこれとは関係なくだなぁ…！」

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「そ、そうですよ、宗三左文字殿…！ 髭切殿も、本当に弟君が存命していると信じて…」「いち兄、墓穴掘ってるぜ。落ち着けや」「信じていたら、見つけ出した相手が、僕たちと一月半本丸で過ごした本人に変わりないと？ まったく、笑い話にもなりませんね」「左文字次男、ちょっとは遠慮してくれ。」

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「僕が、遠慮をする必要があると？ 貴方がたでしたらご存知かと思いますが、僕もこの本丸では所謂『二振り目』ですので。事前に起こり得る事柄に対して危惧するのは当然でしょう」「あああああぁぁぁ、……宗三左文字が倒せない…。打刀最弱の癖に…！」「いや、それは今は関係ないだろ鶴丸の旦那」

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「ええい、一旦仕切り直しだ！ 落ち着け者共！！」「口調が迷子ですぞ。落ち着くのは貴方の方です」「落ち着けるか！ 誰が何言っているのか今じゃもうさっぱりだろう！ とりあえず薬研藤四郎は今すぐ宗三左文字を退場させてくれ！！！」「わかった。一旦引こうぜ、宗三」「……はぁ、わかりました」

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「……で、どこまで話を戻せばいいんだ？」「髭切殿が捜している弟君が、本人でなくてもいいのかどうかですかね」「そこいくのか！？」「誰しもが気にはしているところかと思われますが」「あー、…だろうとは思うんだがなぁ…。そこを話すには、流石に俺も気が重い」

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「……君はどう思う。実際、髭切はもう弟がいないとわかっていて捜しているだろう？」「そうですね…。捜すことで、気を紛らわせているとは思います」「どうなんだろうなぁ。その辺について、話し合う機会をうちの本丸は逃してんだよな…」「一度、話し合おうとして、本体を持ち出されましたからね」

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「あの時、和睦で解決したのが悪かったな…。あれから、『なんのこと？』の繰り返しだからな。会話が一歩たりとも進みやしない」「そうですね…。ですが、話し合うべきでしょうか。もし、先に膝丸殿を見つけてしまったら……彼も、きっと思い悩みます…」

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「そこらへんは、俺たちにはわからん領域だな。一期一振、お前はどうなんだ？ 弟の一振りが、誰かいなくなったとしたら…」「想像したくもありません！！ ……いえ、そう言ってはいけませんね。ですが弟の藤四郎たちは、うちでは奇跡的に誰も折れたことがございません。ですので、お答えしかねます」

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「はぁ…。悪いな、気が滅入っちまったこともあって、流石にこの話はお開きにさせてもらうぜ。なんだか、あちこちでいろいろ起きちまってるみたいだしな」「そうですね。ここまでお付き合いいただき、本当にありがとうございました。さて、出陣した髭切殿と弟たちを迎える準備をしましょう」「だな」