Twitter小説『もう会うことのできない人が生まれる花』シリーズ
もう会うことのできない人が生まれてくる花があるという。
でもその花が枯れてしまえば生まれてきた人も消えてしまう。
そんな創作ネタを元に書いています。これ以上書くかはちょっとわかりませんw
もし書いたら更新していきます。
きみのてを
@kiminosan
彼が亡くなった後、私は縋る思いである花を買った。”もう会うことのできない人が生まれる花”を。それはただの鈴蘭にしか見えなかったけれど、部屋に置いてしばらくして鈴蘭のほうに振り返ったら、彼がいた。私は一瞬固まってしまったけれど、すぐ彼に近寄って抱きしめた。春の温かな風が吹く頃だった
2016-04-20 17:06:57
きみのてを
@kiminosan
彼が戻ってきてから私は笑顔を取り戻し彼とずっと一緒にいるようになった。また後悔をすることがないように、彼がまたいなくならないように、願いながら、願いながら。でもそれは無理な話だったのだ。彼はふと思い出したように私に言う。「また、幸せになれるよ」と。夏が始まろうとした頃、彼は消えた
2016-04-20 17:11:14
きみのてを
@kiminosan
その花を買えばあの人にもう一度会えると知って、私は黒色の薔薇を購入した。次の日の朝起きてみると、あの人が何気ない顔でテレビを見ている。夢かと思ったけれどその肌にはちゃんと体温があった。私はあの人、夫の胸にしがみついて泣いてしまった。降り止まぬ雨が私の声を優しく消していくようだった
2016-04-20 18:07:41
きみのてを
@kiminosan
風が肌寒くなってきた頃、私と夫は買い物に出かけていた。寒くなってきたから何か防寒具を買わないと、と思い、夫にマフラーをプレゼントした。でも夫はそれを受け取らず、私の首にマフラーを回す。そして「永遠に愛しているよ。それだけは忘れないで」そういって夫は光の粒になって消えてしまった。
2016-04-20 18:07:53