子どもの心をつかむスピルバーグ演出をみよ！

It happens sometimes @ElementaryGard

１）映画『ＥＴ』におけるスピルバーグの演出について少し語ってみます。

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２）映画では動きの基本は右から左であるという話はどこかで目にしたことがあります。生理的にこれが一番なじむといわれるベクトルです。

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３）『ＥＴ』のあの有名な飛行シーンは➡向きでした。どうしてなんだろう。 pic.twitter.com/phDFvAIHKj

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４）謎解きしていきます。まずＵＦＯが森の中にいるところを見てみましょう。街のあかりが左側にあります。つまり画面全体は☚向き。 pic.twitter.com/9xL0iVjLYL

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５）ＵＦＯの乗降口も☚向き。 pic.twitter.com/bLxB5TXUKN

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６）人間たちの車が襲撃する。☚向きです。 pic.twitter.com/jGDDXED7Ex

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７）人間たちが襲ってくる。今度は☛向きに。 pic.twitter.com/VIyi2v6uXI

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８）⑥と⑦でＵＦＯが両サイドから囲い込まれた！という演出です。 pic.twitter.com/0bGxtabbUG

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９）ＥＴが必死に駆ける。☛向き。ＵＦＯに戻ろうとしている。 pic.twitter.com/QWcWljtPtT

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１０）ＵＦＯの着陸灯がひとつひとつ消えていく演出が素晴らしい。セリフ全然なしでも子どもには「ああ飛び立ってしまうよ、急がないと乗り遅れちゃうよ！」とわかってしまう。

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１１）住宅街が左で、ＵＦＯの降りていた森が右という位置関係が、ここまでで子どもの頭の中にしっかり学習される。

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１２）そのおかげで、この飛行シーンで「ああ、あの森に今向かってるんだな」とすぐわかる。街が☚で森が☛。そしてふたりの自転車は☛に飛ぶ。 pic.twitter.com/1lt1mpaeZu

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１３）ＵＦＯを呼び戻すための無線機を、森の中に設置。アンテナは☛向き。ＥＴが繰り替えし口にする Home（おうち）は☛側ということです。☚は進む方向で☛は帰る方向。ET phone home.（おうちにでんわ）だからアンテナも☛。 pic.twitter.com/gvlzom5j56

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１４）さあＥＴを再び森に送る大作戦開始。自転車は☚に走っています。イケイケのときは☚が生理的に観客にはなじむから。 pic.twitter.com/AHsR6mEb5L

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１５）ところが飛行シーンはやはり☛。どうしてかわかりますか。森に「帰る」からです。⑭はおとなたちから「逃げる」から☚方向に走行。この⑮では「帰る」から☛に演出される。 pic.twitter.com/HP1hZSpCmq

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１６）ひとが左側でＵＦＯが右側。映画冒頭のイマジナリーラインを踏襲しています。左が街で右が森、そしてＵＦＯというわけです。 pic.twitter.com/bS3W2mBH4d

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１７）ここで面白い演出がなされています。エリオットとＥＴを守り切ったギャングたちが、このカットでは☚向きなのです。 pic.twitter.com/XBU7JFVS3p

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１８）主役のふたりは☛向き。いっしょにいるはずなのにどうして二手に分かれているかのようにカットつなぎがされるのか。 pic.twitter.com/4nrU2rTdIP

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１９）ＵＦＯをみんなで囲い込んでいるというイメージを演出したかったのですスピルバーグ。

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２０）お別れのシーン。ＵＦＯは右側ですので全体としては☛構図。 pic.twitter.com/leAvIlTv3p

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２１）ところがいざ搭乗となると☚に変わる。なぜでしょう。 pic.twitter.com/EheEnKPnCO

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２２）ＥＴはＵＦＯに乗って「去る」からです。「帰る」のではなく。だから☚でないといけない、とスピは判断した。 pic.twitter.com/TcSzQUgDqK

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２３）あの宮崎駿でさえ『カリオストロの城』後半でとちってしまった左右のベクトル演出を、スピは『ＥＴ』で心憎いまでに成し遂げたのです。