Orphe兄貴のマイアミ鎮守府 2014年8月

とある艦これ鎮守府の記録
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orphe @orphechin

卯月が身を捩り噴血する。 どろどろに腐りきった血と肉が、目や口から流れ出す。 悲鳴としてはあまりに低くくぐもった声が卯月の喉から絞り出されると、同時に腸のようなものがそこから吐き出された。 俺はそれを見て笑う。 #マイアミ鎮守府

2014-08-07 12:30:37
orphe @orphechin

羽黒が何をしたのか、それは知らない。だが確かなのは眼前のバカが無様にくたばりかけてる事だけだ。俺にとってはそれで十分。 俺はゆっくりと卯月に近づく。溶けた目をこちらを見つめ、言葉にならぬ罵倒が飛んでくる。 俺は拳を握り固め、その腐った顔を思いきり殴り飛ばした。 #マイアミ鎮守府

2014-08-07 12:33:34
orphe @orphechin

卯月の首がゆっくりと千切れ、地面にべしゃりと落ちる。俺はそれを踏み潰す。灰色の脳の残骸が、スニーカーとズボンに飛び散る。 「はい、おしまい」 そして羽黒を見る。 「残りのクズも片付けろ。全員轟沈だ。今度は生き返る心配はない」 大和を蹴倒すと、羽黒が頷く。 #マイアミ鎮守府

2014-08-07 12:36:42
orphe @orphechin

羽黒以外全員ズタボロの体で帰路につく。クソ理系のクソ主任のクソ研究施設は二度と立ち上がれないよう、研究結果を奪い去った上でクソ死体もろとも焼き払った。証拠が残れば鳳翔も困るだろうからな。大阪からこの孤島までムダな抵抗を続けたあのイカレ主任も、これで終わりだ。 #マイアミ鎮守府

2014-08-07 21:54:14
orphe @orphechin

「提督マスクないじゃん。苦労した?」 鎮守府に着いた後、青ざめた顔で鈴谷が聞いてくる。こいつもかなり球磨相手にひどい目にあったと見える。 「楽勝だった」 「何回死んだ?」 「三回」 「それでも楽勝?」 俺は中指を立てる。 「織り込み済みだバカ。楽勝だっつの」 #マイアミ鎮守府

2014-08-07 21:56:08
orphe @orphechin

「お前はどーなんだよ、一応レベル的には足柄と同じだったが、随分熊野に助けてもらったんじゃないのか」 鈴谷は急に目をそらす。 「バッカ余裕だし。本気出すよーな相手じゃなかったし…」 「ふーん、まあいいや」 俺はタバコに火をつける。 「煙い」 「吸うか?落ち着くぞ」 #マイアミ鎮守府

2014-08-07 21:58:15
orphe @orphechin

「あたし煙いの嫌いなんだけど」 「鎮静剤としてのタバコはバカにできん。その青ざめたツラみてりゃ、どんなメンタルなのかよく分かるからな」 鈴谷は深くため息をつく。 「…一本だけいいすか」 俺は箱ごと投げて渡す。 「熊野には何も言わないでおく」 「あざっす」 #マイアミ鎮守府

2014-08-07 22:00:25
orphe @orphechin

すでに新しく出来上がりかけていた鎮守府を見つつ、俺は今回の戦いの総括をノーパソで仕上げる。 屋外ではセミ兄貴が迫真の鳴き声を上げ、比叡もそれに合わせて野獣のアエギを見せる。いつもの夏らしい光景。 さて、まとめだ。俺は空を仰ぎ、ビールを開けて作業に取り掛る。 #マイアミ鎮守府

2014-08-07 22:04:43
orphe @orphechin

・主任の研究データから読めること…人間から艦娘への移植作業。本来は適応性のある人間を選別し、強化手術と順応教育を施す所、奴はそのプロセスを大幅にスキップできる技術を開発していた。それはつまり、だれでも艦娘になれるということだ。 老人でも、男でも。 #マイアミ鎮守府

2014-08-07 22:06:44
orphe @orphechin

・主任の施設から読めること…あいつはどこから資材や資金を調達していたか?奴の施設には海軍のそれが流用されていた。奴の活動時期と、その時期の流通記録を照らしあわせた結果、ひとつのシナリオが立った。 奴には軍の内通者がいた。 しかも、かなり上層部の。 #マイアミ鎮守府

2014-08-07 22:09:31
orphe @orphechin

奴の施設から見つかった軍の備品はいずれも貴重品。今のところ俺がありがたく頂戴しているが、本来は海軍の局長クラスの認可が下りなければ動かせないものだった。しかも記録によれば、それらは民間企業に払い下げられていた。本来機密上、出回るはずのないものが、だ。 #マイアミ鎮守府

2014-08-07 22:11:12
orphe @orphechin

卸された企業はいずれも海軍と縁の深いメーカー。これだけなら、一応は共同研究のためという名目は立つ。これだけなら、な。そこで鳳翔の出番となる。あいつのネットワークを活用し、さらにその品物がどこに運ばれたかを調べあげた。その結果、流通の末路はペーパーカンパニーと出た。#マイアミ鎮守府

2014-08-07 22:13:47
orphe @orphechin

これだけ大掛かりな工作をやらかし、あのイカレ主任にブツを流す奴が、海軍の上層部にいる。しかもそれが俺に敵対している。新しい<敵>の存在か-驚き半分、しかし愉快さ半分である。 新しくブッ殺す敵が出てきたというのは実際楽しい。手応えのありそうなやつならなおさらだ。 #マイアミ鎮守府

2014-08-07 22:16:45
orphe @orphechin

「愉快そうだな」後ろから声がして、振り返ると矢矧がいた。俺のケツでも狙ってたのか?「そろそろ主の所に帰ろうと思ってな。その前に挨拶に伺った次第」「世話になったな」矢矧はフッと笑う。「それはこちらもだ」「そうか?」「色々学ばせてもらった」 #マイアミ鎮守府

2014-08-07 22:19:39
orphe @orphechin

「やめとけよ」俺は手を振る。 「こんなボンクラの巣なんかに影響されてもロクな事にならねえぞ」 「物事の捉え方はそれぞれ、だ」 そう言って、矢矧は目を閉じる。その顔にはまだ笑みが浮かんでいる。 「他者との結びつきは、時として個人の研鑽をも上回る-あの天龍のように」 #マイアミ鎮守府

2014-08-07 22:21:52
orphe @orphechin

矢矧が指差す先には、球磨たちの先頭でランニングする天龍の姿があった。あのラウンジ常連のボンクラどもも、天龍の活躍でやる気を取り戻したと見える。 「私も鍛錬の方向性を見直す必要があるかもしれんな。もっと、他者と肩を並べる方向に」 「ふうん」 #マイアミ鎮守府

2014-08-07 22:23:56
orphe @orphechin

「まあ、また遊びに来いよ。うちは基本来るもの拒まずだ。勝利か金か、どちらかをくれる奴なら、いつだってマイアミの門はフルオープンだ。大和のアレみたいに」 矢矧は苦笑する。そして俺に手を差し出す。 「ありがとう」 俺もその手を握り返す。 「ああ、ありがとう」 #マイアミ鎮守府

2014-08-07 22:25:41
orphe @orphechin

矢矧の手を見つめていると、ふとその手の重さが消えた。見上げればそこにはすでに矢矧の姿はない。去り際に己の力量を示していったか。つくづく自負心のある野郎だ。また会う時も、できれば敵には回したくないものだ。天龍も三回目のフィストファックはゴメンだろうしな。 #マイアミ鎮守府

2014-08-07 22:29:28
orphe @orphechin

木に持たれ、パソコンで作業を続ける。セミと比叡の声が良いBGMとなって耳に届く。一息つき、空をもう一度見上げた時、すでに夕暮れになっていた。時間の経つのは早いものだ。ふと、出来かけの鎮守府の屋上に目が行く。海を眺め、黒髪を風に靡かせる一人の艦娘の姿が見えた。羽黒。#マイアミ鎮守府

2014-08-07 22:31:35
orphe @orphechin

濃色の金色の光が、世界を塗りあげている。だがおそらく彼女の目に映る世界は、俺の見ているこの世界よりもなお赤く、戦いの予兆がそこかしこに表れているのだろう。 それは大和を引きずり込み、狂死させた世界。それは羽黒の望むものであり、俺の望むものでもある。 #マイアミ鎮守府

2014-08-07 22:34:00
orphe @orphechin

羽黒の望みは近いうちに果たされるだろう。近々実施予定の二正面作戦。新たな敵。そして、大阪の「あいつら」。この間不知火と俺の所にあそこの潜水艦から招待状が届いた。俺達の周りに火種は絶えない。そして俺のやるべきことは、その火種をさらに激しく炎上させることだ。 #マイアミ鎮守府

2014-08-07 22:37:52
orphe @orphechin

「燃えろ、全部燃えちまえ」 この間見たドラマの台詞を口ずさみ、俺はPCを閉じた。 #マイアミ鎮守府

2014-08-07 22:38:41
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