太陽が沈んでゆく。 静かに色を染め、音も立てず、在るべき時間を全うせんとして。 穏やかな、満たされた、とても静かな気持ちで、私は沈みゆく夕陽を眺めている。 只、そこに在る者同士として、 そこに在るだけの私は只々、 沈みゆく夕陽を眺めている。 #沈みゆく夕陽を眺めている
2016-05-18 14:37:22後は沈んでゆくだけの夕陽は、 あかく、美しく、 蜃気楼の様に揺らいで歪み、 しかしその形までも在りのまま。 ただひたすらに、一心に、 沈みゆく。 #沈みゆく夕陽を眺めている
2016-06-02 23:41:34夕陽はいつから夕陽なのだろう。 儚い朝陽の時もあったし、 真昼の炎天を作ったりもしただろう。 でも今は夕陽で、それは全て今は目の前で沈みゆく太陽なのだけれど。 そんな事は解っているのだけど。 #沈みゆく夕陽を眺めている
2016-06-02 23:43:52ああこれは絶望なのかもしれない。 何て幸福と似ているんだろう。 あかくあかくて、 大気圏の歪みさえも美しくて、 そこに在るだけで、ただ。 私もそこに在るしかできない。 #沈みゆく夕陽を眺めている
2016-06-07 02:50:33突然雷鳴が轟いた。 自分が打たれたのだと気付くまで、時間がかかった。 夕陽は、それでも沈みゆく自分の生を全うせんと、静かにひたすら沈み続ける。 膝をつき、叩きつけるそれに、 涙とも雨ともわからぬものを轟々と流しながら、 それでも私は在った。 #沈みゆく夕陽を眺めている
2016-07-06 20:27:55この空が繋がっていることが 太陽が1つであることが 地球がひと続きの球であることが こんなに嬉しい日が来るなんて この崖に来るまでは 私の知らないことだった。 だから 雨が降ろうとも 高波に溺れようとも 私はただ 今ここに在る。 #沈み行く夕陽を眺めている
2016-08-22 23:16:14ただ在ること。 ああそれを、夕陽、あなたなら分かち合えるだろうか。 それとも空、それとも木立、それとも雲。 この何でもない、壮大な、この事を。 何様だろうと思うだろうか。 何でもないのに。 #沈み行く夕陽を眺めている
2016-08-22 23:21:40時々、矢が降ってくる。 私はしかし、矢が刺さるままにさせておく。 それで死ぬならそれが私の在り様。 私がそれに対して何かしらできるのならば、それが私の在り様。 私は、ただあるだけしかできず、 矢も、ただ飛んできているだけだから。 #沈み行く夕陽を眺めている
2016-08-29 00:25:20全てが、在るように、在るだけで、 その矢がなぜ飛んできたのかなど、 私の知るところではない。 全てが全ての在り様でそこに在る。 それだけの事なのだし。 全ては自分の及ぶものではなく、 しかし 全ては自分の選択で在り様がある。 只、在る。 #沈み行く夕陽を眺めている
2016-08-29 00:29:15不意に太陽が輝いた。 沈みゆくだけのはずの太陽が。 夕暮れのはずの空には青が覗き、 痛いほど光る。 どういうことなのだろう。 体の中まで光に透かされていく様な軽さ。 ただ在るだけのはずの私は、 思わず手を。 伸ばそうか、伸ばさまいか。 #沈みゆく夕陽を眺めている
2016-09-28 19:25:02沈みゆく夕陽を眺めている。 私も夕陽も沈みゆくが、 流れるように在り、 在りながら流れてゆく。 ただ、 今、 夕陽も私も、ここに在る。 それは事実であり、ただそれだけのそれだけで満ち足りた事実である。 さあ、沈みゆくその在り様よ、 輝け。 #沈みゆく夕陽を眺めている
2016-10-28 02:33:40例えばあなたは崖にいる。 高い高い崖の上。 震える膝から必死に目をそらし、 あちこち痛む傷に気付かないふりをして。 怖い所が苦手なのを、うっかり忘れてこんな所まで登ってきてしまった。 高い所ならいいのだと、他の何にも目もくれず、考えもせずに。 #沈みゆく夕陽を眺めている
2017-02-15 23:05:27呼吸が苦しいね。 高いところは空気が薄いから。 だってあなたは高度の高い土地に関して何の訓練もしていない。 体が痛むね。 どこもかしこも傷だらけ。 だってあなたは薄着のまま、膝も腕も剥き出しで、スニーカーで登ってしまった。 #沈みゆく夕陽を眺めている
2017-02-15 23:09:15あらゆるものが溶けた海が、 傷に沁み込む。 けれど沁み入る海に身を委ね、肌から、口から、傷から沁み込む海が、あなたを作り変えてゆく。 #沈みゆく夕陽を眺めている
2017-02-15 23:18:09私は私になってゆく。 夕陽を海の中から見れば、 そう、 ずっと沈み続けていたはずの夕陽は、 私の頭の遥か上。 #沈みゆく夕陽を眺めている
2017-02-15 23:21:04