「スーパーマーズ」は六本木の展望台でのイベントのための造語だった?

セルフまとめです。なお、ツイートの中でも述べていますが、当方は「火星の最接近を指して『スーパーマーズ』という言葉を使うのはけしからん」と言いたいわけではなく、新語の発生や拡散・定着の実情を考える上で、興味深い事例だと考えている次第です
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タイニーP/四寺儀けんぞう @Kenzoo6601

えーと、かなり突然だけど、先月末の火星最接近に前後してニュースなどによく出てきた「スーパーマーズ」という言葉は、どうやら六本木の展望台でのイベントのための造語らしい(以下しばらく連続ツイートします)

2016-06-15 20:25:32
タイニーP/四寺儀けんぞう @Kenzoo6601

このように twitter.com/nhk_kabun/stat… yomiuri.co.jp/science/201605… 「『スーパーマーズ』とも言われ(と呼ばれ)」という言い方・書き方だったけど、自分は全然聞いたことがなく、検索してみると天文に詳しい人の間でも耳慣れないという雰囲気だった

2016-06-15 20:26:38
NHK科学文化部 @nhk_kabun

【「スーパーマーズ」 火星きょう地球最接近】31日、火星が地球に最接近します。「スーパーマーズ」とも言われ、今回は最近10年間で最も近い距離となり、都市部でも肉眼で見ることができることから、身近な天体ショーとして気軽に楽しめそうです。www3.nhk.or.jp/news/html/2016…

2016-05-31 11:00:30
リンク YOMIURI ONLINE(読売新聞) 「スーパーマーズ」火星が地球に最も接近 火星が31日、過去10年で地球に最も近づいた。
タイニーP/四寺儀けんぞう @Kenzoo6601

そこでNHKと読売新聞の問い合わせメールフォームから以下の趣旨の質問を出してみた  ・「スーパーマーズ」は天文用語なのか? そうでなければ、どのような人が使っている言葉か?  ・いつごろからこう呼ばれるようになったのか? 御社ではいつからこの言葉を使っているか?

2016-06-15 20:27:17
タイニーP/四寺儀けんぞう @Kenzoo6601

NHKからの回答の要旨は「天文学用語ではないが、今回の火星最接近にあたって、『スーパームーン』と同じような意味合いで、各地の観測会などで『スーパーマーズ』という言葉が親しみをもって使われるようになったと理解しており、放送でも今回の最接近から使っている」というものだった

2016-06-15 20:27:52
タイニーP/四寺儀けんぞう @Kenzoo6601

これについて「具体的にどことどこの観測会で『スーパーマーズ』という言葉が冠されたか、そちらの把握している情報を教えてほしい」という趣旨で再質問したが、「お答えは前回のとおりでございます」という返答が帰ってきただけだった

2016-06-15 20:28:38
タイニーP/四寺儀けんぞう @Kenzoo6601

読売新聞からの回答の要旨は「今回より前に『スーパーマーズ』という言葉を使った記事はない」というもので、これに対し「では今回、どういう情報源に基づいて『『スーパーマーズ』と呼ばれ』と書いたのかを教えてほしい」という趣旨で再質問したが、10日経った今日も返答はない

2016-06-15 20:29:13
タイニーP/四寺儀けんぞう @Kenzoo6601

一方これらのやり取りと並行して調べたところ、六本木ヒルズ展望台「東京シティビュー」が5月31日に「“スーパーマーズ”観察会」を開催するというプレスリリースを、4月28日付で出していた mori.co.jp/company/press/…

2016-06-15 20:29:49
タイニーP/四寺儀けんぞう @Kenzoo6601

しかしこのプレスリリースには「『スーパーマーズ』とも言われ(と呼ばれ)」というような記述はどこにもなく、「“スーパーマーズ”観察会」というひとつながりの言葉しか出てこない

2016-06-15 20:30:17
タイニーP/四寺儀けんぞう @Kenzoo6601

そうすると東京シティビューは「スーパーマーズ」という言葉をよそから拝借したのではなく、自ら造語した可能性がある そこでメールフォームで「『スーパーマーズ』は御社の造語か?」と単刀直入に聞いたところ、「はい。東京シティビューが今回作った造語です」との回答だった

2016-06-15 20:30:53
タイニーP/四寺儀けんぞう @Kenzoo6601

もちろんこれは「スーパームーン」をもじった言葉であることは明らかで、同時多発的にこの言葉を思いついた人が他にいてもおかしくはない しかしひとまず東京シティビューは自ら作った言葉だと認識・主張しているわけだ

2016-06-15 20:31:30
タイニーP/四寺儀けんぞう @Kenzoo6601

そしてこの六本木での観察会の様子はNHKをはじめ多数のマスコミが報道した一方、こちらで調べた範囲では、東京シティビューのプレスリリースより前に「スーパーマーズ」と題して告知された観察会・観望会は見つからなかった

2016-06-15 20:32:09
リンク NHK NEWS WEB 火星最接近 ひきつける魅力とは|NHK NEWS WEB 地球の隣にある惑星・火星が、5月31日、地球に最接近し、今も接近した状態が続いています。「スーパーマーズ」とも言われ、今回は最近10年間で最も近い距離になっています。6月上旬の間は、いつもより明るく大きい火星が都市部でも肉眼で見ることができることから、身近な天体ショーとして気軽に楽しむことができます。観測会では子どもも大人も世代を問わず、火星を見つけたら歓声を上げ、赤く光る姿にじっと見入っていました。取材を深めていくと、人類が火星に寄せる思いは時代を超えて変わらないことも見えてきました。
タイニーP/四寺儀けんぞう @Kenzoo6601

ということで、マスコミで使われた「スーパーマーズ」という言葉の出どころは、確実な裏づけは得られていないものの、東京シティビューのイベント(とそのプレスリリース)である可能性が非常に高いと考えられる

2016-06-15 20:32:46
タイニーP/四寺儀けんぞう @Kenzoo6601

つまり、特定の施設が開くイベントの名称として、独自の造語を交えて「“スーパーマーズ”観察会」と銘打ったものが、マスコミの報道の中でその文脈を失って、あたかも天文現象を指す新語のように広まっていったということになる

2016-06-15 20:33:14
タイニーP/四寺儀けんぞう @Kenzoo6601

ちなみにこの「スーパーマーズ」の拡散ぶりが、東京シティビューにとって狙い通りなのか想定外なのかは、質問していない(そこまで聞くのは個人の素朴な疑問の範囲を超えるように思う)ので定かではない

2016-06-15 20:33:52
タイニーP/四寺儀けんぞう @Kenzoo6601

なお、当方は「火星の最接近を指して『スーパーマーズ』という言葉を使うのはけしからん」と言いたいわけではなく、新語の発生や拡散・定着の実情を考える上で、興味深い事例だと考えている次第なので念のため(以上)

2016-06-15 20:34:24