Age of Wonders III -Chronicle of Valmsun Runekeeper-

まんぼ @manbo_khazad

「…ム…ン……」 遠くで誰かの声が聞こえる。 「ヴァルムスン！」 もう一度耳元ではっきりと名前を呼ばれ、若きドワーフは我に返った。 猪を寄せたタイロバーが、がっしりとした手で肩を掴んでいる。 「タイロバー。ああ。」 #AoW3CoV pic.twitter.com/xEnKTjBkPM

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遠見の魔法で目の当たりにした弓兵たちの奮戦と敗北、そして荷駄隊の壊滅。 全くの油断だった。この事態は彼自身の責任だ。ともすればぐらりと足元が揺らぎかねない衝撃をヴァルムスンは受けた。そのことが、ほんの一瞬、彼を茫然自失とさせた。 「すまない、大丈夫だ。」 #AoW3CoV

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当惑と後悔、衝撃が収まると、次に湧いてくるのは怒りだ。 「タイロバー、やろう。」 すでに反転してロガーン・ドゥルへと急行する途上、ヴァルムスンは静かにつぶやいた。 「やつら、思い知らせてやる！」 激しい怒りに大気中のマナが呼応し、周囲でバチバチと火花が散る。 #AoW3CoV

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やがてすぐに未だ煙の上がるロガーン・ドゥルの街が視界に入った。先ほどの戦いからさほど時間も経っていない。まだ住民に被害は出ていないだろう。すみやかにヴァルムスンは街を囲う壁の前に部隊を展開する。 #AoW3CoV pic.twitter.com/YNyTqpDAM4

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『お前は大きな間違いを犯したのだ。』『お前の帝国は崩壊するぞ！』 幽鬼たちがこの世のものならぬ声で呼ばわった。 「黙れ、亡者ども！ 我が氏族と、このヴァルムスンの名にかけて。きさまら一片たりとも残しはしないぞ！」 #AoW3CoV pic.twitter.com/sAbuO2G6Jd

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敵の数は実際少ないが、何しろ壁の向こうだ。正面から一本槍では時間もかかるし、被害も出るだろう。 「本隊は私と共に正面から攻撃！ その間に別働隊は左翼から回り込むんだ！」 指揮をしながら、ヴァルムスンも前へ出る。 #AoW3CoV pic.twitter.com/dVXOZyJzas

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斧兵隊のうち一隊はまだゴブリン戦の傷が癒えていない。ここで前に出しては倒される危険性がある。ここはヴァルムスン自身が先頭に立つことを選んだ。 「これ以上犠牲を出すわけにはいかない…！」 彼にはその責任があるのだ。 #AoW3CoV pic.twitter.com/x0JrI4x1Xv

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幽鬼には飛び道具がなかったため、彼らは愚かにも壁抜けを活かしてヴァルムスンらの軍勢の目の前に姿を現した。 その変幻自在の動きに面食らうのも束の間、 「かかれ！！」 たちまち怒れるドワーフ軍の総攻撃が集中する！ #AoW3CoV pic.twitter.com/cyrbkQ7Wly

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前線の幽鬼2部隊はひとたまりもなく倒された。だが邪悪な気配は消えていない。時間をおけば復活されるのだ。残る敵は壁の上の1隊のみ。 「復活する暇など与えるものか！ 集えマナの力よ、我が敵を討つ大いなる拳となれ！」 #AoW3CoV pic.twitter.com/gPQ1tfZfBo

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"魔法の拳"の青いマナの光が晴れると、幽鬼の姿はもう1体も残っていなかった。 「勝利だ…！」 ドワーフ軍の勝どきの中、外壁を開門し、無傷なロガーン・ドゥルの町並みを目にすると、思わずヴァルムスンは力が抜けた。 pic.twitter.com/tRV7s3rlda

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「もうこんな思いをするのはたくさんだ。これからはしっかりと足元を固めてから進もう。」 氏族の者らと再会してひとしきり無事を喜んだ後、ヴァルムスンはタイロバーに言った。 友はうなずくと、「あんたのいいと思うようにすればいい。」 そうぶっきらぼうに答えた。 #AoW3CoV