140ssログ7月

Twitterで書いてた雑多ssのログです。刀です。男同士です。
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やまたに @mw_snc

すらりとした脚が氷水をかき混ぜる。暑いですね。冷やした葡萄を赤い唇が食んだ。日除けの角度を調整しながら薬研が尋ねる。少しは涼しくなったかよ。まあまあですね。声は甘えて。あなたがいると、すぐに熱くなってしまうので。ぐ、と黙った男にそれとも夜まで待ちますか、と宗三は微笑んだ。(薬宗)

2016-07-05 07:05:01
やまたに @mw_snc

暑い、と石切丸が呻く。暑い。夏に殺されてしまう。その横で声もなく青江が横たわる。大声を出せば疲れてしまうから。君は涼しそうだねぇ。見た目だけだよ、反論すら面倒だ。体温が低いからかな。熱はちゃんと感じてる。一方的な会話を見て、浦島が溜息を溢す。離れたら少しは涼しいよ。(石かり)

2016-07-05 07:19:29
やまたに @mw_snc

失敗した。青江は肩を落とす。いつもの畑当番、いつもの服装だ。けれど今は真夏で。この服、暑いんだよねぇ。呟いた息すらぬるく大気に溶ける。脱げばいいのかもしれない。でもそれはまずい。服で隠れるところならいいよ、と許したのは青江なのだから。暑いねぇ。ジャージは脱げない。(石かり)

2016-07-05 07:23:58
やまたに @mw_snc

涼しい顔の輪郭を汗が伝ったから。両手が農具で塞がっていたから。彼に、特別な気持ちを抱いているから。そんな考えでぺろり、と舐めた皮膚は塩辛い。さて、このあと赤くなるか怒りだすか。どちらだろうと考える石切丸の首筋に、舌の感触。なんだい、君からしてきたんじゃないか。(石かり)

2016-07-24 15:50:55
やまたに @mw_snc

その薬の臭いが染み付いた指先を好いていた。今は嫌か。この男にしては自信なく問いかけるから、くすりと笑って。手袋越しは嫌いです。そう指を絡めると、外してくれ、とねだられる。僕の指で、それとも口で。そいつは任せる。そんなことを言うから、たっぷり焦らして歯で噛んだ。(薬宗)

2016-07-25 07:01:43
やまたに @mw_snc

まるでこの世の終わりのよう。部屋の片隅で膝を抱える弟に思う。ねぇ。かれこれ半刻この状態だ。時折しゃくり声も聞こえるものだから抱き締めてやりたいのに、髭切が近付けば余計ひどくなるのだ。まるで僕が悪いみたいだ。右肩の噛み傷がじくじくと痛む。閨での傷なんて気にすることないのに。(髭膝)

2016-07-25 07:08:20
やまたに @mw_snc

食べさせてあげようか。青江の指が葡萄を摘まむ。張りつめた果実は今にも甘い汁を溢しそうだ。石切丸、あーんして。葡萄で柔らかな唇を押すと、口内に果実が消える。ぱくりと奥まで。痛っ。気付いたときには、潜り込んだ指まで小さく噛まれていた。それに男は悪びれず。残さず食べるよ。(石かり)

2016-07-25 18:11:17
やまたに @mw_snc

喧嘩の理由は忘れてしまった。直前まで争っていた相手と青江は目配せする。些細な喧嘩の余波が、大災害を生むなんて誰が思っただろう。青江。疲れた声がする。うん、わかってる。頷いて石切丸にわざとらしく抱きついた。ほら、仲直りしたよ。天下の剣二振りは、ようやく気配を穏やかにした。(石かり)

2016-07-26 14:09:00
やまたに @mw_snc

喧嘩しようか。おかしな提案に膝丸は首を傾げた。兄者は俺が嫌いになったのか。そう沈んだ声を出す。そうじゃない。そうじゃなくて。髭切はただ、不満も言わない弟の本音が聞きたいだけなのだ。雨が降らなければ、地面は砂に変わって風に流れていってしまうから。ただ、それだけなのに。(髭膝)

2016-07-26 14:13:19

この刀でこう告白して欲しい

やまたに @mw_snc

おかしいんだ。青江は叫んだ。君といると、胸のここが痛くなる。服の上から掴んだそこは、心の臓が納まるところ。君がいなくても、痛む。君のことばかり考えて、馬鹿みたいに考えて、考えて。もういやだ、と泣く彼はまだ、その感情の名前も知らないくせに。ただひたすら、告白するのだ。(石かり)

2016-07-01 06:51:33
やまたに @mw_snc

好きだよ。突然の言葉に、青江は戸惑った。八つ時である。お互いの片手には煎餅がある。好きだよ。これがかい。いいや、君が。当然のようにそう石切丸は言うけれど。もっと雰囲気を作ってのものだと思っていたよ。それで返事は。急かす彼にふっと笑って。せめて、これを食べ終わってからね。(石かり)

2016-07-01 06:54:38
やまたに @mw_snc

愛してる。言葉は炎の唸りの中で。薬研藤四郎は宗三左文字を愛してる。そんな呪い、さいごにばらまかないでくださいよ。幸せだった。過去にしないで。これからもずっと、好きだ。永遠を残さないで。あんたは俺を忘れてくれ。僕の心の先まで決めないで。なんて、なんて、ひどいひと。(薬宗)

2016-07-01 07:03:35
やまたに @mw_snc

好きです。薄く笑う。あなたが好きですよ。暗く儚く美しく。薬研が好きです。それ以上を彼は言わない。付き合いたいとか、連れていけとか、生きてくれとか、なにも言わない。好きです、ずっと。その先はすべて、薬研が持っている。ねぇ、好きです。からからの喉はまだ、答えを出せない。(薬宗)

2016-07-01 18:18:39
やまたに @mw_snc

お慕いしています。馬鹿に真面目に弟は告げる。俺は、兄者を兄弟以上に見ております。まるで処刑を待つ大罪人のように。この兄になら、首を切られても喜べるくせに。兄者。震える声で裁きを待つ馬鹿な子に、なんて応えてあげようか。望んだ罰は与えられないのだけれど。(髭膝)

2016-07-01 07:19:15
やまたに @mw_snc

首のすぐ横に切っ先を刺した。信じられないような顔でこちらを見る弟が愛らしい。あにじゃ、なにを。このまま殺してもいいかい。遮った言葉に、傷付いた顔をしたまま彼は頷く。本当にいいの。あなたが望むなら。そう、じゃあ。乾いた唇に口付ける。息の根を止めてあげるまで離れないで。(髭膝)

2016-07-01 18:30:21
やまたに @mw_snc

君が好きだよ。叫んだ。好きだ。一番、一番好きだ。眼帯の内側からも雫が溢れる。ああ、なんて格好悪いんだろう。ぐちゃぐちゃの顔で、それでも。貞ちゃんよりも鶴さんよりも長谷部くんよりも主くんよりも、君が好きだ。特別なんだ。どれだけみっともなくても伝えたいんだ。(みつくりみつ)

2016-07-01 18:23:20
やまたに @mw_snc

唇に触れたそれは以外と柔らかくて、離れた顔は常になく真っ赤で。潤んだ瞳も、下げた眉も普段の君とは違って。好きだ。声は小さい。好きだ、光忠。声は甘い。お前がいるだけでこの世界が、愛しい。声は優しい。やだなぁ、君ってそんな顔してても格好いいんだもの。(みつくりみつ)

2016-07-01 21:58:00

やまたに @mw_snc

どしゃぶりだ。思ったときには緑の袖の下に隠されていた。ざあざあ、雨音だけがわかる。君が濡れるよ。君は濡れないだろう。噛み合わない会話だ。君が濡れてる。ざあざあ。返答はなくて、文句の続きは冷たい唇に塞がれた。ざあざあ。鼓膜を打つ音。音と味だけ、青江は雨を感じられた。(石かり)

2016-07-04 17:25:01
やまたに @mw_snc

迎えにきた。と、獅子王が傘を回す。なんだ、二本か。呟きに、この大雨じゃ諦めろ、と笑って。それでも重ねた傘の間で手を繋いで。遠回りして帰ろうぜ。大雨ではなかったか。からかえば、唇を尖らせるから狙って触れた。外だろ。傘と大雨で見えんさ。大雨だもんなぁ。笑って、もう一度。(じじしし)

2016-07-04 17:34:25
やまたに @mw_snc

雨の予報だったのに。呆れた声に倶利伽羅は黙って進む。目の前は大雨だ。けれど、どうせすぐに追いかけてくるに決まってる。案の定、大きな傘が頭上にかかった。まぁ、君なら持たないと思って。当たりだ、と笑う彼は知っているのかいないのか。傘はちゃんと、持って出たことを。(みつくりみつ)

2016-07-04 17:38:41
やまたに @mw_snc

俺が差す、と弟が言う。私が差せば濡れないだろう。諭すと拗ねた顔をして。練習だから。呟いて持ち手をぎゅっと握る。いち兄と、身長変わんねぇからさ。誰が、なんて聞くのも馬鹿らしい。それなら直接行きなさい。背中を押した弟の向こう、傘を持って出たはずの桃色が軒下で待っている。(薬宗+一期)

2016-07-04 17:44:18
やまたに @mw_snc

@mw_snc 傘はどうした。あげました。伸びた指の先には彼の弟が不恰好に大きな傘を差していた。僕が持っても小夜に雨が降り込むので。確かに二尺も違えばあまり意味はないだろう。納得したところで、彼が悪戯っぽく笑った。ですから、薬研がぎりぎりくらいですね。そりゃあよかった。(薬宗)

2016-07-05 06:55:23
やまたに @mw_snc

入りなさい。有無を言わさず命じられて、膝丸はおずおずと傘に入った。せめて、俺に持たせてくれ。僕が渡された傘だもの。それは兄に、彼だけが濡れないように差し出したからだ。離れたら、駄目だよ。利き手を取られて。視線の先で肩が濡れていく。兄者、濡れている。君が濡れないからいいよ。(髭膝)

2016-07-04 21:09:24
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