☆倉安横【青薔薇】

蒼いの∞妄想部屋（美水の間） @yasusu_ao

【青薔薇 352】 〈もうこれ以上はアカンって、教えといたで〉 私の眼を見ないで話す 心臓をぎゅって掴まれた気がした 〈こっち、きて？〉 側に行くと ふわりと抱きしめられた 〈アホやけど、真っ直ぐな男やな〉 私の頭に顎をのせて ぽつりと呟いた 「横山さん…」

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【青薔薇 353】 アホで真っ直ぐで… 一途で優しくて… そんなの知ってる だって、ずっと傍にいたから 子供の頃から見てたから 逞しくて 強くて 我慢強くて 私のためなら どんな事でも してくれるの 知ってる だけど わからないふりしてた ズルくなれなかった…

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【青薔薇 354】 〈ちぃーと疲れたな〉 「横山さん…？」 〈どーしても会いたくてなぁ…結構無理して時間作って来たんやで〉 「……」 〈そない顔せんで…〉 小さな溜め息をついて 横山さんは上着を脱いで ネクタイを緩めて その体をソファーに預けた 〈前にも言うたけど…〉

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【青薔薇 355】 〈仲良うやっていこうや〉 〈親が決めた結婚やけど、俺は好きやで〉 「……」 〈せやから…すぐやなくてもえぇ…俺だけを見てや〉 「横山さん…」 ふぅ、って息を吐いた 〈俺、酔うてるなぁ…〉 耳まで真っ赤だ なんだか “好き”になれそうな気がした

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【青薔薇 356】 それは“好き”であって “愛してる”と違う 忠義を“好き”と ヤスを“好き”と 違う“好き” なんだろうな 都合のいい“好き”だけど いつか“愛してる”に変わるのかな 〈なぁ…隣…来てや〉 甘えた声で呼ぶ 「はい」 ますます真っ赤になる

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【青薔薇 357】 〈もう…我慢せぇへんけど…えぇ？〉 〈アカンなら別に部屋取るで〉 早いか 遅いか 結婚前か 結婚後か それだけの違いだ 割と冷静に私は覚悟を決めた ちゅっ… 返事の代わりに 横山さんの唇にキスした 〈えっー、ちょっ〉 〈そんなんされたらアカン〉

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【青薔薇 358】 啄むように 遠慮がちに 優しくしたキス 〈えぇって事やんな？〉 私の返事を聞かずに 深く重なる唇 これで終わり 私の“普通の生活” 楽しかった日々を思い出に 横山さんの妻になる 横山さんの舌が 私の首筋に滑り落ちて 背中のファスナーを下ろした

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【青薔薇 359】 好きな男がおってん そんなん承知や もしかしたら 番犬が手ぇ出したかもしれへん それかて許したる もう…誰にもやらん 可愛らしくて ちぃーっと気が強くて 物怖じせんで キラキラした目で 「お兄ちゃんのお友達？」 って、聞いてきはった あん時からや

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【青薔薇 360】 オマエが欲しかったんは 〈せや、オマエの兄貴の友達や〉 「ふぅ～ん…」 オマエはニコリと笑い言うた 「でも怖そうじゃないね」 「優しそう！珍しいよ、お兄ちゃんの友達なのに」 俺に向けられる 無邪気な笑顔に 戸惑った あんな子供だったオマエに

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【青薔薇 361】 （渋谷んとこの娘と縁談話があんねん） オヤジに言われた時 俺は咄嗟に 〈若いほうがえぇなぁ〉 って言うてもうた （若いほう？まだガキやで？） 〈えぇねん〉 （ウチのぼっちゃんはアブナイ趣味やんな（笑）） 〈そんなん、ちゃうわ〉 （村上にも言うとくわ）

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【青薔薇 362】 俺の一言で 俺はオマエを手に入れた そして… 今… この手の中にいる 「横山さん…」 もう 返事する余裕ものうなって 〈アカン…〉 こそっと漏れた一言 焦らんように がっつかんように しんどい思いさせんように 優しく ソファーに沈んだ

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【青薔薇 363】 床に転がったまんま これから横山さんは お嬢を抱くんやろか そしてこの先ずっと 俺の… たった一度のなんて 上書きされてまうんやろな ……… いやや ホンマは上書きなんて されてほしない 覚えとってや 天井の灯りが眩しくて 眼を閉じた…

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【青薔薇 364】 好きになったらアカンかった？ 傍におっても 俺のもんにならん事は よーわかっとった せやけど 感情と理性は別モンで 生意気な子供から いつの間にか “女”になっとったお嬢に 俺は恋をしてた 瞼の裏に浮かぶ お嬢のすべて 俺は…横山さんに 嫉妬しとる

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【青薔薇 365】 むくりと起き上がった ぐずぐずの気持ちを 流すかのように シャワーを浴びた タオルで体を拭きながら ふと自分の股間の 俺のんが目に入った ホンマにこれが さっきにお嬢ん中に… そっとさする 形や硬度がかわってゆく 『…ぅ、』 目を閉じて抜いた

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【青薔薇 366】 喉が渇いて目が覚めた あれ…？寝ちゃったんだ…私… ん… 覚醒した意識 すぐ傍に横山さんの寝顔 こんな無防備な顔を 見たのは初めてだ… 柔らかい寝息 少しずつ思い出す 昨夜の事 とっても優しかった 申し訳なくなるぐらい そして今も彼の腕の中

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【青薔薇 367】 〈…ん〉 「あっ…」 起こしちゃった…かな？ 「お、おはようございます」 〈あぁ…〉 〈よかった…〉 「？」 ぎゅっ 抱きしめられた 〈夢やなかった…〉 〈消えとったらどないしよって…〉 「…消えたり…しませんよ」 〈おん…〉 「いますよ…傍に…」

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【青薔薇 368】 〈ん…〉 「あの…喉渇いたからお水…」 スルリと腕が解かれ 自由になった体 あちこちにある紅い痕 …どっちの？ 起き上がるのが ちょっとしんどい もちろん何も着てない 一糸まとわず、だ 今さら恥ずかしくなって ブランケットを 引っ張りあげた

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【青薔薇 369】 「横山さん…」 〈何？〉 「パンツ…どこ？」 〈ぷっ〉 ケラケラ笑い出した だって…なんか…恥ずかしくなって… 〈どこやろ（笑）〉 えぇやん、ってまた笑う ベッドから抜け出して ブランケットを剥いだ 〈俺しか見てへん 真っ裸でかまへんやろ〉

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【青薔薇 370】 同じ真っ裸な横山さんが 私を抱き上げて笑う 〈ほな一緒にシャワー浴びんで〉 「えっ！」 〈そんで朝飯食うで〉 お水ぅ… 後でいいか（笑） 新しい下着あったかなぁ… 確かバッグに入れたと思うんだけどなぁ… なんて考えてたら 頭からシャワーかけられた

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【青薔薇 371】 「きゃっ」 ケラケラ笑う横山さん 「もぉ～」 〈すまん、すまん〉 こんな風に無邪気に 楽しそうに笑うんだ 普通の男の人…と一緒 ヤスは…こんな風に笑った事 あるのかな… 私の知らない女の人の所で こんな風に笑えてたのかな 胸の奥が チクッてした

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【青薔薇 372】 むぅ、って顔してたら 〈怒っとる？〉 不安そうに顔をのぞき込む 「怒ってません…」 〈ほな…〉 「ちょっと…」 〈ちょっと？〉 裸なのを忘れて そっと俯いて 横山さんの手首を掴んだ 「…腰…痛い」 〈あっ…〉 横山さん、真っ赤だ 〈すまん…〉

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【青薔薇 373】 〈無理さしてもうた？すまん！〉 よしよしって 頭を撫でられた バスルームから出て 〈ほれ〉 バスローブを渡された 〈着せたろか？〉 「えっ、自分でできますよー」 〈そか〉 さらりと羽織ると 〈よっ！〉 「わわわっ」 横山さんに抱き上げられた

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【青薔薇 374】 〈ソファーでえぇ？〉 「は、はい」 ふわりと下ろされた 大事にされてるのか 子供扱いなのか 同じように “守る”だけど ヤスとは違う 横山さんは 横山さんのテリトリーの中から 出なければ大事にしてくれる テリトリーの中でなら 自由にさせてくれる

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【青薔薇 375】 でも、たぶん 一度テリトリーの中に入ったら 出る事は許さないんだろうなぁ… ぼんやりと そんな事を思っていた ヤスは？ 横山さんのテリトリーの外で 私が逃げないように見張るの？ 〈どこ、見とる？〉 〈ここに居るようで、おらんな…〉 横山さんが囁いた

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【青薔薇 376】 「えっ…？」 見透かされてる？ 〈ふふ、まぁ、えぇわ〉 〈前にも言うたけど、これから仲良うやっていこうや〉 〈オヤジ達の勝手で決められた結婚やけど、俺はアンタが気に入ってんねん〉 「横山さん…」 〈さっ、朝飯食うて帰るで〉 〈何がえぇかなー〉