ストレイトロード:ルート140(21周目)
- Rista_Bakeya
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お知らせ
【今秋の化屋】既報の通り #テキレボ 4に参加しますが、そこに持ち込む新刊を一つ決めました。 ポケモンXY二次創作本を出します。 以前に某アンソロで出した「ホロキャスターの妖精」再録+新作の予定。短編集です。 あれの発売直前、カロス世代最後の年に滑り込み!今更とか言わないで!
2016-07-21 08:32:37【第4回Text-Revolutions】10/8 都産貿・台東館にて開催! 文芸オンリー・オールジャンル同人誌即売会「Text-Revolutions」は第4回を開催いたします。入場無料!みなさまのお越しをお待ちしています! text-revolutions.com/event/archives…
2016-07-22 14:18:19新作の方は今のところ原稿が終盤に差し掛かっているものが一つ、プロットまで纏めた話が一つ。ただし両方揃うかは体調次第。 10/8に間に合うことを祈ってください。 短編本はストレイトロードも候補だったんですが、急ぐ理由がある方を選びました。あと既刊の在庫がもう少し出てからかなって…
2016-07-21 08:37:54本編
「明日のご予定は」「今日と同じよ」信号待ちの車内で隣を見ると、藍がこちらを見上げていた。不満の種は調査の途中で図書館を追い出された件だろう。宿に戻って夕食の席に着けば、いつものすまし顔に戻るはずだ。「明日は邪魔されないといいけど」日没が迫る。藍はずっとルームミラーを気にしている。
2016-06-17 19:27:50藍が選んだ青いドレスは、歓談に興じる淑女達の中では目立たない方だった。しかし宴の主催者への挨拶で見せた振る舞いは誰より人目を引いた。私は、そして恐らく他の招待客も、彼女がそれなりの家柄の出である事実を思い出した。その印象が最後まで続けば良かったが、淑女の一人がそれを許さなかった。
2016-06-18 19:54:00140文字で描く練習、1002。家柄。 親から教えられたことを全て言うことはできなくても、言葉にしないところに現れる。
2016-06-18 19:54:08トンネルを抜けた先では雨が止んでいた。渓谷沿いの道を走る間、霧に覆われた谷の反対側では雲を割って山頂が姿を見せていた。空に浮かぶ島としばらく並走していたことに運転中の私は気づかず、隣に座る藍が携帯端末で撮影した動画を通して知った。よく見ると島に着陸する怪物の姿も小さく映っていた。
2016-06-19 19:44:06夜半に勢いを増した雨は朝が来ても降り続いていた。「本日開催の行事は全て延期だそうです」「えー」藍は窓に張りつき、宿の前を急ぎ足で通り過ぎる人々を見下ろしている。「つまり私達の出発も延期ですね」「えー」祭りを楽しみにしていた子供のようなことを言うが、その声はどうもわざとらしかった。
2016-06-20 20:02:16深い森の中で車が故障して先へ進めなくなった。電波は届かず往来もない場所から助けを求めるべく、私達は藍が見つけた小屋まで歩いた。玄関前の切り株に刺さった斧が新しい。「人がいるようです」「明るい内に戻ってくるかしら」中を覗く私達の背後で物音がした。振り向けば斧の刃が私の頭上にあった。
2016-06-21 19:35:39待ち合わせ場所に藍が駆け込んできた時、自ら指定した時刻はもう過ぎていた。敵の追跡を振り切る為に全速力で走ったのだろう、息を切らし、足が震えている。これ以上歩きたくなさそうな彼女を肩に担ぐと、頭上から怒鳴られた。「やめてよ、子供じゃないんだから!」それでも運ぶ。駐車場までの辛抱だ。
2016-06-22 19:24:02不正を暴かれた市長に退陣を求める群衆が暴動を起こした。翌日私はその件で警察に呼ばれた。藍の一言が人々を刺激したのは間違いないが、最初から暴れるよう仕組んだと疑われているようだ。ならば手下を共犯と考えてもおかしくない。「あの子供に何を吹き込んだ?」彼らは魔女が共犯と決めつけていた。
2016-06-23 19:06:26140文字で描く練習、1007。共犯。 あらゆる可能性を考えていては時間がかかり過ぎるから、争点を絞る。 時に本当の答えを切り捨てて。
2016-06-23 19:06:43荒野の軍事基地に怪物が住み着き倉庫を荒らした。藍が撃退作戦への協力を求められたので現場へ行くと、対処方法を巡り近隣の街の警察と軍が揉めていた。共倒れを危惧した藍は両者が協力できそうな策を考えたが、進言は黙殺された。翌日、藍の予想通りに連携は崩れ、領地争奪戦は怪物に軍配が上がった。
2016-06-24 19:45:24140文字で描く練習、1008。軍配。 恐るべき風の魔女とは言え一人の少女。 大人の意地の正面衝突を止める、ましてジャッジするなんて容易な話ではない。
2016-06-24 19:45:31注文した料理がなかなか来ない。厨房を見つめる藍は苛立っているかと思いきや、何故か訳知り顔でうなずいていた。魔女の耳に風が何か知らせたのか。程なく料理人が皿を持たずに現れ、客の一人に語りかけた。膝をつく男を静寂が包む。短い会話を経て、若い二人が結婚を約束した瞬間、歓声が店を覆った。
2016-06-25 22:25:23瓦礫の街を機械音声が巡回する。この惨状は人の傲慢が招いたと社会を糾弾し、自然の営みに立ち返れと訴えている。「どこまで悪趣味なの」非常階段の陰で藍が眉をひそめた。白々しい呼びかけの発信源は車輪と銃器も備え、検知した人間を襲うという。音声は通路で幾重にも反響しつつ私達に近づいている。
2016-06-26 19:15:51