UNSCEARのシミュレーション&初期被曝評価がおかしい!

UNSCEARの甲状腺被曝量推計のもととなるシミュレーションのパラメータでは、被曝量が過小評価となる件についてまとめました。
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iPatrioticmom @iPatrioticmom

【UNSCEARのシミュレーション&評価がおかしい!】  9月の甲状腺問題限定の福島国際専門家会議fukushima-mimamori.jp/news/2016/08/0… …に、星座長による検査見直し発言minyu-net.com/news/news/FM20… … など、甲状腺検査を縮小する動きがあるようです。

2016-08-11 09:13:27
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本格検査でも先行検査と同程度の甲状腺癌が発見されているのに、チェルノブイリより被曝量が低い「はず」であることのみを前提として検査縮小を提言していいのでしょうか?根拠とされているUNSCEARの推計を検証したところ、シミュレーションのパラメータに疑義があることがわかりました。

2016-08-11 09:15:11
iPatrioticmom @iPatrioticmom

具体的には、UNSCEARではI131のガスの沈着速度が1種類しか想定されておらず、沈着速度が粒子よりも速く設定されている、つまりI131のガスが粒子よりも速く地面に沈着して、大気中の濃度が低くなることを想定して甲状腺被曝量を推計しているということです。 詳細は以下の通りです。

2016-08-11 09:16:00
iPatrioticmom @iPatrioticmom

1.沈着速度について 放射性物質の沈着速度については、study2007さんが「見捨てられた初期被曝」の補論でわかりやすく解説してくださっています(pp.101-107)。 pic.twitter.com/OnjtXVQgjf

2016-08-11 09:17:10
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p.103に書かれている通り、沈着速度が1m/hであれば「1時間のあいだに高さ1m分のホコリの降下(沈着)があった」ことを表しています。沈着速度がわかれば、土壌の濃度から大気中の濃度を算出できます。沈着速度が速いほど、大気中に留まる放射性物質の濃度は低いことになります。

2016-08-11 09:17:53
iPatrioticmom @iPatrioticmom

studyさんはp.105~で、千葉市の日本分析センターのデータから、2011年3月のI131の沈着速度を、降雨のない日は0.001m/s前後、降雨のある日は0.002~0.006m/sと推計されています。

2016-08-11 09:18:41
iPatrioticmom @iPatrioticmom

2. UNSCEARのパラメータ  UNSCEARはATDMというシミュレーションを用いて、プルームの放射性核種の濃度を推計しています。シミュレーションはWMOの「福島第一原発事故に関する気象解析 についての技術タスクチーム」が実施し、日本からは気象研究所が参加しました。

2016-08-11 09:19:37
iPatrioticmom @iPatrioticmom

詳しい経緯や解析方法は ・気象研究所の報告書jma.go.jp/jma/kishou/boo… ・WMOタスクチームの報告書 wmo.int/pages/prog/www…  ・論文sciencedirect.com/science/articl… に記載されています。

2016-08-11 09:20:54
iPatrioticmom @iPatrioticmom

WMOタスクチームでは複数の機関が独自に解析したようですが、結局UNSCEARで採用された沈着速度はいくつなのでしょうか? 気象研報告書には、「希ガス, 沈着性ガス, 軽量粒子 の下層100m濃度と地表沈着」を計算したとあります。 pic.twitter.com/UTcPTipzwy

2016-08-11 09:22:52
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同報告書p.18 に、「Vdの値はNOAA-HYSPLITなどを参考に,沈着性ガスに対しては0.01 m s-1,軽量粒子に対しては0.001 m s-1を与え(Sportisse, 2007; Draxlerand Rolph, 2012)」とあります。

2016-08-11 09:23:39
iPatrioticmom @iPatrioticmom

TT報告書には、カナダ気象局のMLDP0のパラメータが記載されています。こちらも希ガス、沈着性ガス、軽量粒子の3種類で、I131の沈着速度はガスが1cm/s、軽量粒子が0.1cm/sです。ガスが粒子の10倍早く沈着するのでしょうか? pic.twitter.com/JfALAhEvlZ

2016-08-11 09:25:27
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study2007さんの実測値からの試算では、乾性沈着で0.1cm/s、雨の降った日で0.2~0.6cm/sで、これはガスと粒子を合わせた数字です。ガスが粒子より速く沈着することがあり得るのでしょうか?

2016-08-11 09:26:11
iPatrioticmom @iPatrioticmom

UNSCEAR2013 unscear.org/docs/reports/2… の記述を確認すると、appendix BのB44に次のように記載されています。 pic.twitter.com/aSDYEHzDfc

2016-08-11 09:27:24
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やはり (a)沈着しない希ガス Xe133等 (b)乾性沈着速度(1cm/s)と湿性沈着が比較的大きいガス I131等 (c)湿性沈着と乾性沈着速度の遅い(0.1cm/s)粒子 I131等  の3種類です。

2016-08-11 09:28:31
iPatrioticmom @iPatrioticmom

B51によれば複数のシミュレーションのうち採用されたのはNOAA-GDAS、Table B8によれば、I131ガスの沈着速度は1cm/sとなっています。 pic.twitter.com/nOFo7D94sn

2016-08-11 09:30:32
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3. I131の沈着速度の実測値  I131ガスの実測値はどうなっているでしょうか。福島やその他の文献には次のようなものがあります。

2016-08-11 09:32:14
iPatrioticmom @iPatrioticmom

①JAEA東海村の実測値から沈着速度を算出した論文  Estimation of dry deposition velocities of radionuclides released by the accident ... aesj.net/pnst004/064_06…

2016-08-11 09:34:17
iPatrioticmom @iPatrioticmom

Table 1によれば、I131の沈着速度は3/15-16が0.26cm/s、3/16-3/22が0.57cm/sです。こちらもガスと粒子合わせての速度になります。 pic.twitter.com/lYCJE0fbHF

2016-08-11 09:35:22
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iPatrioticmom @iPatrioticmom

同じデータを使って3月中の他の期間について計算してみましたが、降雨量に関わらず、I131の沈着速度が1cm/sを超える期間はありませんでした。 docs.google.com/spreadsheets/d…

2016-08-11 09:36:08
iPatrioticmom @iPatrioticmom

②環境省委託「事故後の住民の被ばく線量の包括的な把握に関する研究」env.go.jp/chemi/rhm/repo… 実測値ではありませんが、この研究ではI131の乾性沈着速度を0.1cmとしています(p.10)

2016-08-11 09:37:46
iPatrioticmom @iPatrioticmom

同じページに「ガス状の元素ヨウ素の乾性沈着速度は、文献的には0.02~26cm/sと報告されており、メチルヨウ素のそれは、10-2~10-4cm/sと報告されている」という記述があります。

2016-08-11 09:38:42
iPatrioticmom @iPatrioticmom

③東京大学アイソトープセンターのガス状ヨウ素の実測値 「有機ヨウ素の占める割合は43%」とされています。drive.google.com/file/d/0Bwqp-B…

2016-08-11 09:39:36
iPatrioticmom @iPatrioticmom

過去の文献としては ④ORNLでの実験値  Table 1 web.ornl.gov/info/reports/1… いずれの条件でも元素状ヨウ素の沈着速度は1cm/sを大きく下回るようです。 pic.twitter.com/vKe4QgMuHu

2016-08-11 09:41:17
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iPatrioticmom @iPatrioticmom

⑤チェルノブイリ事故後のドイツでの実測値  「大気中放射性物質のモニタリング に関する技術参考資料」kankyo-hoshano.go.jp/series/lib/RM1… 降雨後の有機ヨウ素の比率が高く、沈着速度が遅いことを示唆しています。 pic.twitter.com/xEDwlIvP9N

2016-08-11 09:44:52
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iPatrioticmom @iPatrioticmom

⑥気象研究所「気象研領域モデルによる福島第一原発事故に伴う放射性物質の輸送・沈着実験」metsoc.jp/tenki/pdf/2012… ”乾性沈着速度についてはヨウ素の物理・化学形態による違いが大きく、粒子態に比べて、元素状ヨウ素、有機ヨウ素はそれぞれ2桁、7桁小さい”という記述

2016-08-11 09:45:51