こじらせたリーマン 20160815-20160821
- tsutsujishika
- 13507
- 74
- 0
- 0
……イベントで手に入れた本は様々だ。好きなアニメのスタッフ本。有名絵師のイラスト本。知人が描いた肌色が多めの本もある。加えて何となく買った野球本も。けれど。そのどれよりも、この紺色の本に心を奪われた。
2016-08-15 14:01:1824ページほどの、普通のコピー用紙に印刷されたそれ。あの人はBL本だと言っていたけれど、直接的な描写はそれほどない。どちらかというと、所謂ブロマンスに近いのだろうか。主人公と、相手役となる男の日々や感情の動きが、きらきらと鮮やかに描かれている。
2016-08-15 14:02:06確かに文章はすばらしい。自分の好みの文体だったし、わかりやすく、魅力的で読みやすい。けれど、僕がこの本に強く惹かれる理由は別にあった。……主人公の男が、どことなくおそ松に似ているのだ。
2016-08-15 14:03:05物語の舞台は大学で、キャラクターも大学生だ。もちろん本物のおそ松とは違う、フィクションの人物なのだけど。言葉遣いやコミュニケーションの仕方や大げさな身振りの描写が、いちいちあいつを想起させる。
2016-08-15 14:04:02さらに加えて言えば……本当に、恥ずかしい発想なのだけれど、主人公の相手役は、なんとなく、本当になんとなく、僕に似ている。生真面目で、つまらなそうな顔をしていて、でも主人公の押しには弱く、なんだかんだそいつのペースに巻き込まれる。
2016-08-15 14:05:02そんな、僕らにほんの少し似ている二人が、何気ない、けれどきらめく日々を、この本の中で過ごしている。日差しの下ではにかむような、温かいときを。僕が一生手に入れられなさそうなときを。そして、愚かな僕の脳みそは、ついこの二人に自分たちを重ねあわせてしまう。
2016-08-15 14:06:04胸がぎゅう、となって、本を抱え込みながら床に転がる。あれだ。にゃーちゃんにしかつかったことのない言葉だけど、多分こういう気持ちになったとき人は、「尊い……」と言うのだろう。
2016-08-15 14:07:03奥付のページを見ると、作者の名前は「―」としてあった。そして、作品投稿SNSのidが記されている。あとで見よう。ブックマークしよう。そう思いながら、僕は読後の余韻にひたるように、目を閉じた。
2016-08-15 14:08:02そういえばイベントで壁に並んだ時直射日光をえんえんと浴びたんだった。日焼け止めは塗っていたけど、汗で溶けおちてごらんのありさまだ。多少焼けても色は残らず、そのうち戻る方だからあまり気にしていなかった。言われるほど、焼けてるのかなあ。
2016-08-16 09:17:01久しぶりに社食にいったら、たまたまおそ松と一緒になった。せっかくなのでそのまま同じテーブルにつく。あいつはカレーセット、僕はうどん。トレイを受け取るついでに、お冷をピッチャーごと拝借してきた。
2016-08-16 12:05:06「このクソ暑いのにうどん食うの?」 「暑いからこそ、だよ。ていうかカレーだって汗出るだろ」 「そりゃそーだ。……あれ?お冷持ってきてくれたんだ」 「どうせがぶがぶ飲むだろ、お前。こっちのが効率的」 「やだ~ありがとーチョロちゃん~」 「チョロちゃん言うな」
2016-08-16 12:06:05ふー辛いもの食べたら暑くなった。ピッチャーからコップへ水を継ぎ足し、ついでにチョロ松のコップにも注いでやる。相変わらず食べるの遅いね。お前。ちゅるちゅるとうどんをすする姿を見ながら笑う。すこし突き出された唇がかわいいなあと思ったのをごまかすように。
2016-08-16 12:39:03「お前さあ、日焼けしたよね」 「わかる?パートさんにも言われたんだよ」 「あんまアウトドアのイメージないけど、どっか出かけたの?」 「あー…、うん。お祭りというか、海的な……?」 「友達と?」 「まあ、そんなとこ……」
2016-08-16 12:40:06