こじらせたリーマン 20160815-20160821
- tsutsujishika
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俺より頭ひとつぶん背が低い。とはいえ身長は平均だろう。自分の容姿が武器になるのを知っているタイプで、化粧にも服にも隙をみせない。丁度映画に出ていた、出世欲の強いキャリア女性に似ている。さすがにあそこまで美人じゃないけど。
2016-08-20 23:43:02「映画は面白かったけどさー。隣にいるやつがアレだったから」 聞こえていたのか、ぐでぐでのそいつはこちらを振り返って、「あっせんぱいーーー同僚に手出しちゃだめですよ~~~」と大声で言った。うるせーな。余計なお世話だ。そして手遅れだ。同僚にならもう手を出してる。ここにはいないけど。
2016-08-20 23:44:04「手出してもらえないのか。残念」 「手ー出してほしかった?」 「いいえ?私、彼氏いますから」 適当な軽口で、酔っ払いの発言など歯牙にもかけない。余裕ぶって、長い髪を揺らす。
2016-08-20 23:45:07「でもさー彼氏いるならなんでこっちきたの?土日は彼氏と遊びたいっしょ」 何の気なしに言うと、彼女はすこし視線を落として、ちょっとうまくいってないんです。なんてつぶやいた。案外後輩と変わらない状況にあるらしい。恋も、愛も、色々大変だね。お前らも、そして、俺も。
2016-08-20 23:46:02折に触れて、この本を読み返す。開くたびに眩しい気持ちになるこの本。作者のSNSページは何度かチェックしているが、中々更新しない人のようだった。この物語の彼らがどうなるのか、続きがあるのかないのかもわからない。けれど、幸せになればいいなと思う。
2016-08-21 11:25:02二日酔いで頭が痛い。布団の中でごろごろとしながら、昨日のことを思いだしていた。飲み会のこと、映画のこと、チョロ松のこと。
2016-08-21 11:48:02意外とショックは大きかった。ああ、そうだ。そうなんだ。やっぱりな。知っていたはずなのに、現実としてそれが目の前にあるのとないのでは、大きな違いがある。俺以外の、チョロ松の相手。同じくらいに焼けた肌。きっとお盆の間は、あいつと一緒に居たのだろう。
2016-08-21 11:49:03ゆっくり自分のテリトリーに入れてやろうなんて甘い考えでいたが、どうにも、ああいうのを目にするときつい。チョロ松への浮ついた気持ちが、暗く色を変えとぐろを巻いていくのがわかる。これは、よくないやつだ。
2016-08-21 11:50:04それでも腕は自然に動く。枕元のスマホを手に取って、ラインを開き、誘いを入れる。明日、良いか。それだけ。瞼は夢と現実の間にいるように重たいのに、その文字列だけは明確に、鮮明に映った。そしてしばらくして、返事が来る。いいよ、と。
2016-08-21 11:51:08