「子どもに見せられますか?」という問いかけと都条例
子どもたちの中には、「漫画」を読みたい子も、読みたくない子も、高校生も小学生もいる。この基準はそのうちで最も「悪影響を受けそうな」子どもを判断の基準とするからである。(続く)
2011-02-23 22:58:04最も影響を受けそうな子ども、たとえば「漫画を読みたくない小学生」の基準で「子どもに見せない」とすると、たとえば「漫画を読みたい高校生」に対してはこの基準は不当である可能性がある。(続く)
2011-02-23 22:58:32また「漫画を読みたくない」と思っている子どもが「漫画」を読むという、あまりありそうにないケースを、重要視すべきなのかは疑問である。さらに、その場合でさえ「漫画」を読むことの悪影響の程度や内容は明らかではない。(続く)
2011-02-23 22:59:35明らかでないと言えば、ぼくは今、「漫画を読みたくない子に対する漫画の悪影響は、読みたい子に対するよりも大きい」という前提の言い回しをしたが、そもそもそれは明らかでない。たとえば、読みたくないので目を逸らしたから影響はまるでない、かもしれない。(続く)
2011-02-23 23:00:40また、小学生に対するより、高校生に対する方が悪影響が少ないかのような言い方もしたが、ある高校生はエロ漫画に夢中になって試験に失敗するかもしれない。(続く)
2011-02-23 23:01:12具体的な子どもたち、あるいは特定の子どもたちを念頭においた場合でさえも、その悪影響は簡単に答えられるものではない。また、統計的にも有意な悪影響があるとする資料はないようだ。(続く)
2011-02-23 23:01:54それでも、ぼくたちは、ある漫画を見て、ああ、これは子どもには見せられない、と思ったりする。それも一瞬で。しかも、ある程度は大人たちに共通な感覚らしい。この判断基準はどこから来るのか?(続く)
2011-02-23 23:02:34おそらく単純に、大人たちは、子どもたちがエロい漫画を読むべきでない、と信じているのだろう。なぜか?子どもたちは純真だと思っているからだ。だから、特にヘンタイな表現は遠ざけておきたいのだ。(続く)
2011-02-23 23:04:14この「子どもたちはエロい漫画を読むべきでない」というのは一種の社会規範として捉えるべきで、ある程度は社会に共通の認識、規範意識、なのだろう。(続く)
2011-02-23 23:05:11「有害図書が一般に・・・青少年の健全な育成に有害であることは、既に社会共通の認識」というアレであるが、「有害」であることが本質的でないのは、見てきた通りである。(続く)
2011-02-23 23:05:35こうして、「子どもに見せられますか」という問いに答えるにあたって、実在する子どもたちにを念頭においた場合でも、問われているのは子どもに対する「有害性」ではなく、大人の側の「規範意識」である、というところに至った。(続く)
2011-02-23 23:06:31ただ、途中で気づいたのだが、この規範意識は、基本的に道徳とは関係がない。というのは、「大人がエロ漫画を読む」ことと「子どもがエロ漫画を読む」ことに、何ら道徳的な優劣はないだろうから。漫画自体が不道徳な内容なのは、ここでは関係がない。(続く)
2011-02-23 23:07:34また「子どもがエロ漫画を読むべきでない」の根拠が「子どもは純真だから」なのであれば、エロ漫画を読みたい子どもはすでに純真でないので、読ませても構わない。という見解もありうる。(続く)
2011-02-23 23:08:02(あるいは、そんな子どもに誰がした。きっとエロ漫画の氾濫が原因に違いないから規制しろ、と言う話になるのかもしれない。これは子どもの主体性の認識にかかわる議論だと思うが、まあ今はおいといて続く)
2011-02-23 23:08:49というわけで、有害性の面でも道徳性の面でも根拠がない規制、ただ規範意識「子どもがエロ漫画を読むものではない」を根拠とした表現規制は、---本当にそうだとして---どのようなものであるべきか、あらためて考えたいなあと思う。(終わり)
2011-02-23 23:09:47