1-3月生まれは4-6月生まれに比べて4年制大学を卒業する確率が2.7%ポイント低いなどの理由で、平均的に0.13年教育年数が短い。そしてこの教育年数の短さは1-3月生まれは4-6月生まれに比べて3.9%時間当たり賃金が低いことにつながっている。
2016-12-04 23:37:45( ゚д゚)ハッ! Shigeoka(2015)はKawaguchi(2011)の誕生日はランダムに選択されているという仮定に疑問を呈し、特に4月1日から4月2日の学年の選択に影響を与えるタイミングでは出生タイミングの操作が起こっている可能性を指摘した。
2016-12-04 23:38:31厚生労働省「人口動態調査」出生票には出生時刻が時の単位まで記録されており、Shigeoka(2015)は何票データを用いて出生タイミングの分布を詳細に分析した。この分析によるとおよそ1,800名の出生が早生まれになってしまう4月1日までの1週間から、4月2日以降の1週間に人為的に
2016-12-04 23:38:52移されているという。特に帝王切開で生まれる子供のタイミングがずれていることを発見しており、出生タイミングが親によって選択されていることを示唆している。どのような親が出生タイミングをずらしているかをPISA2003を用いて分析しているが、3月生まれの子供の父親よりも
2016-12-04 23:39:164月生まれの子供の父親のほうがホワイトカラーである確率が有意に高いことを発見している。この発見は、教育熱心な親が、子の学校での学習が有利になるように出生タイミングを選んでいることを示唆しており、家庭環境が子の学業達成に影響を与える経路の一つとなっていることを示している。【終】
2016-12-04 23:39:43子の学力形成に家庭環境が大きな影響を及ぼすことに関してはHojo and Oshio(2012)が日本を含む東アジア五か国のTrends in International Mathematics and Science Study(TMSS)のマイクロデータを用いて
2016-12-04 23:40:15明らかにしている。14歳を対象にして行われた数学の試験の標準化されたスコアを被説明変数として、本人の性別や父母の学歴、家庭にある蔵書数で代理される家庭環境、学校制度、クラスサイズなどの教育資源を説明変数として回帰分析を行っている。日本における結果は、家庭環境などの
2016-12-04 23:40:34本人を取り巻く環境を示す変数群を説明変数から取り除くと決定係数が75%ほど低下することを明らかにしており、生徒の学力が相当程度家庭環境などで決まっていることを明らかにしている。もっともこの強い相関が流動性制約によるものなのか、学習環境の効果によるものなのかは明らかではない。【終】
2016-12-04 23:41:01Matsuoka,Nakamuro and Inui(2015a)は21世紀新生児縦断調査を用いて、親の教育水準が高いと子の通塾、音楽教室への参加、スポーツ教室への参加といった習い事への参加確率が上がり、そのことが問題行動の発生確率を低下させることを示している。
2016-12-04 23:41:54また、Matsuoka,Nakamuro and Inui(2015b)は教育水準の高い親は子の勉強時間を確保するように行動し、結果として親の教育水準と子の学習時間が正の相関を持つようになることを同じく21世紀新生児縦断調査を用いて示している。
2016-12-04 23:42:18社会経済的背景と中学3年生の学習時間(1日当たり分),1996,2001,2006 pic.twitter.com/jkKLfPpuVF
2016-12-04 23:43:45Σ(・∀・||)ゲッ 2006年の時点で中学校三年生は、世帯主が大卒だと7時間50分勉強していたが、世帯主が中卒だと1日当たり6時間13分しか勉強しておらず、世帯主大卒に比べて21%勉強時間が短かった。この勉強時間の世帯主学歴差は2001年には13%にとどまっていたために、
2016-12-04 23:44:20この勉強時間の階層差は拡大したといえる。2001年と2006年の間に何があったかを考えるうえで着目すべきは2002年に学校週休二日制が完全施行され、第2・第4土曜日に加えてすべての土曜日が休みとなったことだ。学校の休みが増えたとき、
2016-12-04 23:44:41大卒の親は塾通いをさせたりして子の勉強時間を確保するようにしたが、高卒の親はそのまま子供の勉強時間を減少させてしまった。その証拠に親の学歴ごとの勉強時間格差が特に拡大したのは土曜日で、
2016-12-04 23:45:04中でも新たに休日となった土曜日であった。この勉強時間の親の学歴間格差の拡大は高校1年生を対象としたテスト(PISA)の格差拡大にもつながっており、勉強時間の格差が学力差につながることも明らかになった。
2016-12-04 23:45:49家庭要因が学歴に与える影響(ロジット係数の限界効果)一男性全体 pic.twitter.com/YXJZgkPNYH
2016-12-04 23:46:17家庭要因が学歴に与える影響(ロジット係数の限界効果)一女性全体 pic.twitter.com/HXQhJFae9B
2016-12-04 23:46:42父親の教育年数が1年延びると高校卒業確率は1.7パーセンテージポイント高まり、母親の教育年数が1年延びると2.7パーセンテージポイント高まることがわかる。サンプルにおける本人高校卒業確率は85.8%であるため、平均値と比べて親の教育年数が高校卒業確率に大きな影響を
2016-12-04 23:47:16与えていることがわかる。この結果は父親の職業を制御してもほとんど変わらない。父親の職業は世帯所得の代理指標でもあり、これを制御しても新学歴の効果がほぼ変化しなかったことは親の学歴が子の学習環境に影響を与えることを通じてこの学歴達成に影響を与えていることを示唆する。
2016-12-04 23:47:43Σ(゚ω゚) その一方で、きょうだいの数が増えると高校を卒業する確率が下がることも明らかになっており、世帯の資源制約がこの学歴達成に影響を与えていることも明らかになった。第3列目と4列目の大学・短大卒業ダミーを被説明変数とした結果はより係数が大きくなっており、
2016-12-04 23:49:35父親の教育年数が1年延びると大学卒業確率は3.3%上昇する。同様に母親の教育年数が1年延びると3.1%上昇する。これらの計算結果より両親がともに高卒の者に比べると両親が大卒の者はおよそ25パーセンテージポイント大卒確率が高いことになる。
2016-12-04 23:49:57大学卒業学歴が43.9であることを考えると非常に大きな影響だといえよう。図表10には女性の推定結果が報告されている。全般的に男性と似通った結果が得られているが、母親の教育年数が高校卒業確率に与える影響が男性よりも大きくなっている点が特徴的である。【終】
2016-12-04 23:50:20Tanaka(2008)は母親の就業が子の学歴達成に与える影響を、サーベイ調査であるJapan General Social Surveyの2000-2003と2005の5年分のデータを用いて分析した。分析結果は父親と母親の教育年数と
2016-12-04 23:50:5815歳時点の所得階層の高さが教育年数を伸ばす要因として作用し、きょうだい数と農村部居住が教育年数を引き下げる要因と作用することを明らかにしており、既存の研究結果を確認する形になっている。これら要因を制御したうえで、
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