経済分析第191号(特別編集号) 持続的成長に向けての人的資本政策の役割 川口大司(東京大学大学院経済学研究科教授)のまとめ

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Bot08(日本カネ不足協会 会員) @ropcb08

母親の就業はフルタイム・パートタイム・自営業の別を問わず、一般的には男女を問わず子の教育年数を短くするように作用することが明らかになった。これらは母親が就業することによって子育てにそそぐ時間が短くなることによって、

2016-12-04 23:51:44
Bot08(日本カネ不足協会 会員) @ropcb08

人的資本形成が抑制される傾向があると因果関係として読み解くことも可能であるし、母親の就業が家計の恒常所得の効果を代理していると解釈することも可能である。Tanaka(2008)のユニークな発見は母親のフルタイム就業は

2016-12-04 23:52:10
Bot08(日本カネ不足協会 会員) @ropcb08

女子の教育年数には負の影響を与えていない点である。これは母親のフルタイム就業が女子にとってはロールモデルとして機能するため、女子の教育年数を伸ばすように作用し、ネットではあたかも影響がないかのような結果が得られるためであるとしている。【終】

2016-12-04 23:52:41
Bot08(日本カネ不足協会 会員) @ropcb08

親の所得が子の所得にどのような影響を与えるか世代間移動の大きさを示す指標が、親の所得が平均よりも1%高い時に子の所得が平均よりも何%高くなるかを示す世代間所得弾力性である。この数字が小さいほど、子の所得が親の所得に依らないわけだから世代間所得移動が盛んであることを意味する。

2016-12-04 23:55:35
Bot08(日本カネ不足協会 会員) @ropcb08

世代間所得の弾力性を推定するのは、親と子の壮年期(35歳前後)の所得が両方必要になるため、データの制約が厳しく難しい。Lefranc,Ojima and Yoshida(2014)はSSM調査を用いて親の職業から親の所得を推定するなどのエ夫でこの困難を乗り越えて

2016-12-04 23:56:02
Bot08(日本カネ不足協会 会員) @ropcb08

(*゚ェ゚))フムフム 信頼性の高い数字を計算することに成功している。彼らの研究によると日本の世代間所得弾力性は0.35である。親の所得が10%平均より高いとこの所得は3.5%平均より高い。この0.35という数字は北欧諸国の0.2前後という数字よりは高く、

2016-12-04 23:57:47
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日本の世代間所得移動は北欧諸国よりも非流動的なことを示している。一方でアメリカの0.5よりは低くアメリカよりは流動的である。この世代間所得の相関のうちかなり大きな部分は人的資本の蓄積を媒介したものであるといえそうだ。【終】

2016-12-04 23:58:10
Bot08(日本カネ不足協会 会員) @ropcb08

学校教育は授業を通じて認知能力を形成しようとするだけではなく、相当の時間を割いて利他性などに代表される社会的選好を形成しようとする場でもある。Ito,Kubota and Ohtake(2015)は、全国統一的なカリキュラムの下で

2016-12-04 23:58:53
Bot08(日本カネ不足協会 会員) @ropcb08

教育が行われている公立小学校においてすらグループ学習に対する取り組み方や競争の取り入れ方には大きな差異があることに着目して、これらの教育方針の地域ごとの違いが成人後の社会的選好に与える影響を推定している。

2016-12-04 23:59:08
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( ゚д゚)ホゥ その結果、グループ学習に参加した人々は利他的、協調的、互恵的な傾向があり、愛国心が強いことを発見している。その一方で非競争志向を持ったカリキュラムは利己的、非協調的、非互恵的な傾向をはぐくみ愛国心を低下させる傾向があることをも明らかにしている。

2016-12-05 00:00:30
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1986年から2006年にかけてアメリカの大卒の高卒に対する相対供給量は-0.37(大卒/高年比率にするとexp(-0.37)=0.69)から-0.14(同0.87)まで増加した。同じ時期に日本では-1.24(同0.29)から-0.56(同0.57)まで大卒者は増えた。

2016-12-05 00:02:11
Bot08(日本カネ不足協会 会員) @ropcb08

相対供給線の傾きから明らかなように日本の増加率はアメリカの増加率のほぼ2倍であった。大卒の高卒に対する相対賃金の時系列を日米比較してみよう。1986から2006にかけてアメリカの大卒・高卒賃金の対数差は0.47(比率にすると1.60)から0.70(同2.01)に拡大したが、

2016-12-05 00:02:36
Bot08(日本カネ不足協会 会員) @ropcb08

日本のものは0.35(同1.42)から0.34(同1.40)とほとんど変化していない。この日米で対照的な大卒・高卒相対賃金の時系列は、日米で大卒労働者に対する相対需要が増加したときに、アメリカではそれに見合う相対供給の増加がなかったので賃金差が拡大し、

2016-12-05 00:02:52
Bot08(日本カネ不足協会 会員) @ropcb08

日本ではそれに見合う相対供給の増加があったため賃金差が拡大しなったと解釈できる。もちろん、日本の大卒相対需要の伸びがアメリカよりも小さかった可能性も考慮しなければいけない点には留意が必要である。

2016-12-05 00:03:07
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米国の大卒・高卒賃金格差に関する実際とシミュレーション結果 pic.twitter.com/CwrtrjYIgf

2016-12-05 00:03:30
拡大
Bot08(日本カネ不足協会 会員) @ropcb08

線の周りにある点線は予測の95%信頼区間を示している。これを見てみると、仮にアメリカの大卒相対供給が日本と同じくらい伸びていたならば大卒高卒賃金差の拡大は0.08ポイントにとどまっていたことがわかる。実際に観察された0.22ポイントに比べるとおよそ1/3の拡大である。

2016-12-05 00:04:14
Bot08(日本カネ不足協会 会員) @ropcb08

この結果よりKawaguchi and Mori(2016)は日米の大卒高卒賃金差の時系列変動の違いの2/3は大卒相対供給トレンドの違いによるものであると結論している。また、日本における高等教育を受けた労働者の急速な増加は

2016-12-05 00:04:36
Bot08(日本カネ不足協会 会員) @ropcb08

賃金格差の拡大を抑制することに貢献したことも明らかになった。これらの研究成果は政府の人的資本政策が経済成長のみならず経済格差の縮小に対しても有意な影響を与えうることを明らかにしている。【終】

2016-12-05 00:05:39
Bot08(日本カネ不足協会 会員) @ropcb08

本稿のサーベイを通じて明らかになった既存研究の限界を指摘すれば、人的資本や人的資本投資の測定の難しさがあげられる。人的資本の水準と賃金水準が対応しているという前提に立ち高賃金は高生産性を意味し、

2016-12-05 00:10:25
Bot08(日本カネ不足協会 会員) @ropcb08

さらにそれは人的資本水準の高さに対応すると考えるのが一般的であるが、様々な経済理論は各労働者の賃金と生産性が乖離するケースがあることを指摘する。

2016-12-05 00:10:41