オウガ・ザ・コールドスティール #4
「こっちだ!さあ!」サブロは脇道へ老女をうながす。だがモータードクロの反応は素早い。「イヤーッ!」手にしたジュッテを老女へ投げつけたのだ!「グワーッ!」「アイエエエ!」サブロは老女を押しのけて庇う。彼の右の太ももにジュッテが突き刺さる!「さあ行け!逃げなさい!」「ア、アイエエ!」
2011-03-24 11:35:33モータードクロは駆け去る老女を無視。動けないサブロ老人に向けて、無慈悲にナギナタを構える。「降伏は……コフク、スシ!スシッスシ!」モータードクロは突如として取り乱し、頭部を回転させて叫び出した。後ろから追ってきた武装サラリマンがオカモチを持って駆け寄る。「スシはこっちだ!」
2011-03-24 11:43:19「まったく、どうした事だこれは」モータードクロに追いついた武装サラリマン二人は困惑気味に言葉を交わす。「データより随分スシ・フィードの頻度が高いじゃないか」「全くだ!殲滅しきれるのか、これで?」背後に焼ける家屋、目の前にサブロ老人を前にしながら、まるで罪悪感の無い平易な口調!
2011-03-24 13:40:47「スシッスシ!スシ!」「がっつくな!」武装サラリマンはオカモチからタマゴ・スシを取り出し、腹部アームに慎重に収める。ガション!「アイエエエ!?」「アー、ウウウウ、ウウンマーイ」「アイエエエエエエ!」ナムアミダブツ!武装サラリマンの右手首から先がスシごと失われた!
2011-03-24 13:43:57「サカナ、は、いらない!」腹部アームはスシだけを腹の中に格納、サラリマンの手を地面に投げ捨てた。「アイエエエエエエ!アイエエエエエエ!どうしてこんな……!」武装サラリマンは失われた手首を押さえ泣き叫んだ。インガオホー!「おい!まずい……」もう一人が注意を促す。だが!「イヤーッ!」
2011-03-24 13:47:06「アバーッ!?」モータードクロのカタナが手負いの武装サラリマンの首を跳ね飛ばした!「アイエエエ、や、やめ……」「イヤーッ!」「アババババーッ!!」モータードクロのツルギがもう一人の武装サラリマンを脳天から真っ二つに叩き斬った!サツバツ!「モータードクロ、は戦っています、ウマイ!」
2011-03-24 13:51:56ここまでか!サブロは突然アグラ・メディテーションの姿勢を取った。「哀れなガラクタめ!ならばワシを斬ってみよ!」怒りに燃える目を見開き、邪悪なロボットを睨み据える。モータードクロの頭部が回転する。「アラート、データ外状況な。手動入力を行ってください」無機質なマイコ音声が鳴り響いた。
2011-03-24 14:05:14「……」ラオモト・カンは営業サラリマンを無言で凝視した。その瞬間、営業サラリマンはスプリンクラーめいた勢いで再失禁し、なおかつ嘔吐した!「アイエエエ、アババーッ!」さらに吐血!無理もない!恐怖のデモリション・ニンジャの怒りを真正面から受けて、平常でいられる人間など存在しないのだ!
2011-03-24 14:13:28スクリーンでは後続の武装サラリマンが構えるカメラの動画がリアルタイムIRCストリーミングされている。カメラはオムラ社員二人を無残に斬り殺し、なおかつ動作を停止したモータードクロを中継しでいた。
2011-03-24 14:15:42「やはりロボットは時期尚早じゃないのかという気になるね、これを見ていると?どう取り繕うんだね、君ィ?」警察関係者が這いつくばる営業サラリマンに容赦なく指摘する。「アバッアバババッ」吐血!ラオモトは 眉一つ動かさず、「ま、この彼はセプクするのでしょうなあ」「アババーッ!」
2011-03-25 00:21:11「しかし、戦闘能力、順応性という点で見れば、実に期待通りと言えましょう。人工知能に関してもこれはベータテスト段階ですから、些細なバグをフィクスするだけの事」実際の胸中がどうあろうと、こうして話すラオモトは何もかも想定内であるかのように平静だ。ざわついていた出席者もやがて静まった。
2011-03-25 00:25:35「オホン、まあ、確かにこの柔軟な戦闘力はモーターヤブとは比較にならないレベルにある事は確かだがね」警察関係者は彼なりの威厳を保ちつつ引き下がった。「今回の材料がきっちり踏まえられるであろうことを期待するよ、君ィ」「アババーッ!」
2011-03-25 00:32:47ライブIRC映像はモータードクロが関節各部から蒸気を噴き出し頭を回転させつづける様子を引き続き捉えている。カメラを持つ武装サラリマンへ、他の二人が何がしか話しかける。協議が行われ、カメラの持ち主以外の二人がモータードクロへ足早に近づいて行く。「手動入力」を行おうというわけである。
2011-03-25 00:40:46(親愛なる読者の皆さん:翻訳チームは半数がメキシコ研修から帰還しておらず、引き続き本隊はシビアなアップロード環境の中にあります。現在もスシの不足は深刻であり、更新のルーチンは平常時とは大きく異なった、不定期なものとなっています。)
2011-03-25 10:35:57(そのような状況を原因として、宵越しの継続アップロード時に【NINJASLAYER】アイキャッチが出たり出なかったり、エピソードの更新が交互でなかったり、いつにもまして更新ペースが予測しづらかったりしますが、あんまり気にしないでください。ワッショイ!)
2011-03-25 10:39:14「待ってくれ!待った!」マノキノは全力疾走に息も絶え絶えになりながら、武装サラリマン三人の背中へ呼びかけた。ハイヤーを使ってオムラ社屋からこのオオヌギ地区まで必死にモータードクロを追った彼の案ずる肉親が、なんと今まさに殺されようとしているのだ。マノキノ自身の創造物によって!
2011-03-25 15:22:47「なんだ?ウチの社員か?」撮影サラリマンがマノキノの手の社章インプラントを見て、他の二人が護身用のニードルガンを構えようとするのを押し留める。「誰ですか」「ド、ドーモ、主任エンジニアのマノキノです」荒い息を尽きながらマノキノはオジギした。「モータードクロの開発者です」
2011-03-25 15:27:57「開発者!これはドーモ失礼しました!」三人は素早くオジギした。「ですが、ご覧になってますか?非常事態です、社員の二人が住人もろともモータードクロに殺され、さらに何らかの不具合でシャットダウンしました」数メートル先のモータードクロの背中を指差す。
2011-03-25 15:35:59「見てください、あの老人を。座り込みですよ。我々が住人を排除したり建物を壊したらオムラの責任が問われてしまう。殺したいのに!どうにかしてください」武装サラリマンは平然として言ってのけた。マノキノは青ざめた。彼らの目には、この破壊行為になんの苦悩も罪悪感もないのか?だが……。
2011-03-25 15:38:12それは欺瞞もいいところだ。それを言うなら、真に罪深いのは開発者である我々ではないか。マノキノは自問自答した。あの恐ろしいラオモト顧問の言うがままに仕様を変更して行った私に罪悪感は、恐怖はあったのか?そんなものは麻痺させてしまっていたではないか。治安への貢献という題目にすがって!
2011-03-25 15:41:30「私が…やります」マノキノは武装サラリマンに頷き、進み出た。モータードクロは頭部を回転させながらマイコ音声アラートを繰り返している。「予期せぬシチュエーション下でのシステムがエラーな。アドミニストレーター=サンが手動入力を行ってください」……その足元でアグラする老人と、目が合う。
2011-03-25 15:48:42「父さん……」「フン、貴様か」サブロ老人はマノキノを冷たく睨んだ。「エンジニアとな。では、このくだらん冗談は貴様の蒔いた種か、ええ?もはや涙も枯れ果てた。実の息子が破滅の導き手として戻ってきたとな。これも全てワシのインガオホーよな」「父さん……」
2011-03-25 16:03:06