主人公が悪役を「これは○○の分! そしてこれは○○の分だ!」と仲間たちの名を呼びながら殴りつける描写の源流
He started yelling again as the leader went deep purple. The following luminosities slowed so suddenly that he fancied they had feet, braced forward, and still skidding. Their velocity was too great for that. They crashed headlong into their stricken fellow at the moment it flared into an eye-searing orange.
“One for Mayo!” he hollered, jigging on his seat. “One for Webb! One for Beach, you dirty, stinking gobs of parasitic lousery! Another for Farmiloe, and the whole damn lot of you for Bjornsen!”
かれは、最初のやつが濃い紫色になると、また叫びはじめた。つぎの発光体はあまりとつぜんスピードを落したので、そいつには足があって、前にふんばってすべっているかのように思えた。やつらの速度は、それにはあまり速すぎた。やつらは、命中した仲間に頭からぶつかってゆき、眼もつんざく橙々色に燃えあがった。
「一匹はメイヨに!」
かれは腰掛けの上ではねあがって怒鳴った。
「一匹はウェッブのだ! 一匹はビーチの分だ。この汚ならしい、腐った寄生虫め! もう一匹はファーミローのだぞ。それから全部このろくでなしめはビヨルンセンにだ!」
(矢野徹訳)
『ヴァイトン』の日本語初訳は1964年の矢野徹訳で、『オリエント急行』や『野望の王国』よりも早い。 pic.twitter.com/pIxkuam5Km
2018-07-10 22:04:30@kasuga391 元の作品はまったく存じ上げないのですが見たことのある展開です。こうやってお約束が継承されていくんですね!
2018-07-10 23:58:23@kasuga391 初めまして。Internet Archive内にある「The Pulp Magazine Archive」内に「Unknown」誌のスキャンデータ&テキスト化データがあります。雑誌掲載時にも同じ文章があったようです。見開き右側91ページの左列中段です。 archive.org/stream/Unknown…
2018-07-11 19:11:12@kasuga391 テキストデータの方のリンクはこちらで、こちらもページ内検索すると「one for Mayo」から始まる台詞が存在することが確認できました。 archive.org/stream/Unknown…
2018-07-11 19:12:50『三銃士』
アレクサンドル・デュマ(1844年)
何年か前に読んだきりなので細部は曖昧だけど、アレクサンドル・デュマ「三銃士」(1844年) の中で主人公ダルタニャンが「これはアトスの分、これはポルトスの分〜」と叫びながら相手をめった斬りにする場面があったと思う。 twitter.com/kasuga391/stat…
2018-07-11 00:22:05以前ツイートした「主人公が『これは〇〇の分! これは〇〇の分!』と言いながら悪役を殴りつける場面」の、更に古い例を発見。 画像はエリック・フランク・ラッセルの『超生命ヴァイトン』(1950年)にある、主人公グレアムが殺された科学者たちの名を叫びながらヴァイトンを破壊していく場面。 pic.twitter.com/SeLJS4ND6Q
2018-07-10 22:03:38藤@Wisteria_inniti さんからの情報で、「これは○○の分!」の更に古い例を発見。 『三銃士』(1844年)の第20章に、仲間たちを途中に残してロンドンへ向かうダルタニヤンが、リシュリュー枢機卿の腹心の部下ウァルド伯に、アトス、ポルトス、アラミスの名を呼びながら突きを加える場面がありました。 pic.twitter.com/XB82FcLf8c
2018-07-11 03:22:10Voyant cela, le gentilhomme tira son épée et fondit sur d’Artagnan ; mais il avait affaire à forte partie.
En trois secondes d’Artagnan lui fournit trois coups d’épée en disant à chaque coup :
— Un pour Athos, un pour Porthos, un pour Aramis.
Au troisième coup, le gentilhomme tomba comme une masse.
D’Artagnan le crut mort, ou tout au moins évanoui, et s’approcha pour lui prendre l’ordre ; mais au moment où il étendait le bras afin de le fouiller, le blessé, qui n’avait pas lâché son épée, lui porta un coup de pointe dans la poitrine en disant :
— Un pour vous !
— Et un pour moi ! Au dernier les bons ! s’écria d’Artagnan furieux en le clouant par terre d’un quatrième coup d’épée dans le ventre.
Cette fois, le gentilhomme ferma les yeux et s’évanouit.
これを見て主人の貴族は剣を抜き放ち、ダルタニャンめがけて飛びかかってきたが、相手は手ごわかった。三分もするうちにダルタニャンは、ひと突きするごとにこう叫びながら、三太刀浴びせかけた。「アトスのために一突き、ポルトスのために一突き、そしてアラミスのために一突きだ」
三度目に、貴族はぱったり倒れた。
ダルタニャンは相手が死んだか、あるいは少なくとも気絶したと見てとって、許可書を取ろうとして近づいた。ところが懐中をさぐろうとして手を伸ばしたとたんに、倒れていた男はまだ手にしていた剣で、ダルタニャンの胸を下からぐいと突き上げた。
「このひと突きがお返しだ」
「このおれにひと突きか! 最後は一番いい奴だ!」
ダルタニャンは怒りにまかせて、四番目の突きを、相手の腹に突き刺して地面にまで突き通した。これで貴族は眼を閉じて、完全に失神した。
(江口清訳)
※江口清訳ではEt un pour moi!をウァルド伯からの反撃と解釈して「このおれにひと突きか!」と訳していますが、このセリフはダルタニャンが自分の最後の一撃を「このおれのための一突きだ!」と表現したとも解釈できます
引き続き情報募集しております。