近代食文化研究会さんによる、チキンラーメンが語らないインスタントラーメンの黎明史

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(適宜端折ってますので、気になったらtwilogもどうぞ https://twilog.org/ksk18681912

麺を油で揚げる「発明」

近代食文化研究会@新刊『なぜアジはフライでとんかつはカツか?』発売中 @ksk18681912

野嶋剛さんの素晴らしい記事”チキンラーメンは本当に「発明」なのか”、ぜひ読んでください。 bit.ly/2G4ffWb bit.ly/2G3WRg4 私も安藤百福について長年調査してきましたが、知らないことばかりです。脱帽です。

2019-02-02 03:09:04
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この記事の前にしてはすべてが蛇足ですが、ここに書かれていない情報を若干補足していきます(お好み焼きについてはしばし中断)。 連続テレビ小説「まんぷく」、来週あたりに「天ぷらに着想をえて麺を揚げることを発明」の話になるんですね。 bit.ly/2RuXQZ1

2019-02-02 03:09:04
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麺を油で揚げるという他の人の発明を、安藤百福はインスタントラーメン開発前から知っていました。 「即席麺と特許」という記事にその事が書かれています。

2019-02-02 03:09:08
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日清食品の前身三倉物産を安藤百福とともに設立した許炎亭は、「即席麺と特許」が書かれた昭和44年時点では、国際特許という会社の専務に就任しています。 「即席麺と特許」の著者は国際特許管理株式会社社長の設楽勝蔵。許炎亭の会社の社長です。

2019-02-03 03:27:05
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”三十三年四月大和通商(社長陳栄泰氏)の製品として鶏糸麺が東京の百貨店等に販売され、同三十三年春頃には日清食品の前身として三倉物産が、安藤百福氏(現日清食品社長)と許炎亭氏(現国際特許専務)によって設立され、鶏糸麺を大阪でも販売したが許炎亭氏によってチキンラーメンと名付けられた”

2019-02-03 03:27:05
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また”安藤氏は新らたに日清食品(株)を設立して、チキンラーメンを製造、同年末に発売した” とあり、それまで大和通商の鶏糸麺(チキンラーメン)を販売していた安藤百福が生産も行うようになったとあります 日清食品のチキンラーメンは、もともと鶏糸麺のライセンス生産品だったということになります pic.twitter.com/U3RfJOxIos

2019-02-03 03:27:06
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その鶏糸麺とはどういうものだったのか。大和通商が昭和33年に出願した鶏糸麺の特許、第三〇八一一二号によると次のようなものだったようです。 pic.twitter.com/DhRR50ZHlf

2019-02-03 03:27:06
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”素麺すなわち鶏糸麺の原料となるべき中華麺を短時間蒸気にあて、均等に軟化させた上、麺を適量づつ金網箱に収納(型詰)して、その麺を動植物油を容れた容器に入れて油揚げをする。この麺をとり出して乾燥を施す”

2019-02-03 03:27:06
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現在も世界中の多くのインスタントラーメンが、この金網箱に麺を入れて揚げるという鶏糸麺の製法に従って作られています。 bit.ly/2Uy81wJ pic.twitter.com/DrZeo7Li8s

2019-02-03 03:27:07
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ここで再び、野嶋剛さんのチキンラーメンは本当に「発明」なのか(上)を振り返ってみましょう。 bit.ly/2UuOkG6 台湾には雞絲麵という、チキンラーメン=鶏糸麺と同じように揚げた麺が存在しました。 しかも鶏糸麺よりも古くから存在し、日本にも輸出されていたそうです

2019-02-03 03:27:07
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”この雞絲麵は好評を博し、あっという間に台湾全土に広がった。チキンラーメンの「発明」より10年以上前のことだ” ”当時の日本は食糧難であった。日本には多くの台湾人が戦前から暮らしていた。台湾の家族から日本の家族へ、雞絲麵は盛んに船便で送られたという”

2019-02-03 03:27:08
近代食文化研究会@新刊『なぜアジはフライでとんかつはカツか?』発売中 @ksk18681912

写真を見ると、雞絲麵もまた、金網に入れて揚げています。 つまり、大和通商の鶏糸麺(チキンラーメン)特許の金網に入れて揚げるという部分は、大和通商の発明ではなく、台湾の雞絲麵の製法を日本で特許登録した可能性が高いのです。

2019-02-03 03:27:08
ima_taro @ima_taro

30年以上前、池田の工場見学に行った際の説明で、試行錯誤の結果中国のある地方では数百年前から麺を油で揚げて保存する製法があるのにヒントを得て開発したと聞いた記憶があったが記憶違いだったのだろうか。 twitter.com/ksk18681912/st…

2019-02-03 09:15:38
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この安藤百福の天ぷら話は後づけの作り話、ありていにいってしまえば嘘なんです。 私がそのことに気づいたのは、百福の自伝「魔法のラーメン発明物語」を読んだ時。 この中で百福自身が書いた「天ぷら発明話」に、決定的な矛盾点が存在するのです。 pic.twitter.com/NjaHtDYSQT

2019-02-02 03:09:04
ima_taro @ima_taro

補足すると今の0からの発明とは言ってなかったはず。なので晩年の自伝では誰ももう当時の人はいないと思って書き換えたのか。

2019-02-03 09:39:59
近代食文化研究会@新刊『なぜアジはフライでとんかつはカツか?』発売中 @ksk18681912

@ima_taro はい、私もそう思います。 安藤百福が推薦文を書いた「即席麺と特許」が昭和44年。そこではチキンラーメンは鶏糸麺の別名、ライセンス生産でしかないとあります。 そのころは関係者が多く存在し、「天ぷら」のようなすぐバレる嘘はつけなかったのだと思います。

2019-02-04 02:50:27
近代食文化研究会@新刊『なぜアジはフライでとんかつはカツか?』発売中 @ksk18681912

さて、「金網に入れ」「麺を揚げる」という安藤百福の発明話は信憑性ゼロですが、あらかじめ麺に味をつけるという製法は安藤百福の発明なのでしょうか。 明日以降はこの点について検討します。

2019-02-03 03:27:10

インスタントラーメンとしての乾麺

近代食文化研究会@新刊『なぜアジはフライでとんかつはカツか?』発売中 @ksk18681912

インスタントラーメンは戦前の日本にも存在しました。 詳しくは「お好み焼きの物語」を参照していただきたいのですが(宣伝) amzn.to/2QTMBrR ソース焼きそば用の麺として、中華麺の乾麺が流通していたのです。 pic.twitter.com/ISmUV9rwP6

2019-02-04 03:18:08
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もっとも、中華麺の乾麺をインスタントラーメンと呼んでいいのかどうか、議論はあるでしょう。 また、中国には伝統的な乾麺が昔から存在しており、中華麺の乾麺の元祖が日本であるというわけでもありません。

2019-02-04 03:18:09
近代食文化研究会@新刊『なぜアジはフライでとんかつはカツか?』発売中 @ksk18681912

ただ、電気を使用した機械による工業的製麺が、近現代のインスタントラーメンの基礎となったことについては、誰しも異論はなかろうと思います。 そしてその機械による製麺工業は大正時代の浅草から始まりました。

2019-02-04 03:18:09
近代食文化研究会@新刊『なぜアジはフライでとんかつはカツか?』発売中 @ksk18681912

戦前の中華乾麺は、マルタイ棒ラーメンのような直線の麺でした。 一方支那そば、現在の東京ラーメンの生麺は、スープが絡みやすいように手でもんで縮れさせます。 棒ラーメンは縮れた生麺と違い、スープが絡みにくいという欠点がありました。 pic.twitter.com/URhcGd2di9

2019-02-04 03:18:10
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