箸があったのに、ご飯は「手づかみ」で食べるのが「正しい礼儀作法」だった古代中国ー日本の箸文化の遠いルーツを探るー

箸は3000年以上前の殷代の遺跡から出土してますが、調理用・取り分け用だったとされ、個人の食事に使ったのは紀元前5世紀(戦国)以降です。しかし、ご飯は「手づかみ」が正しい礼儀作法だたとされ、箸は別の具をはさむのに使っていました。「正しい礼儀作法」はしだいに変化していき、数百年が経過すると、匙(さじ、スプーン)を突っ込んでご飯を食べたり(前漢)、箸でご飯をつかんで口に入れるようになった(後漢)と、考古学及び文献学の成果で分かりました。そうして生まれた箸の「横置き」文化などが、日本に伝わって、現代まで続いているのです。
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巫俊(ふしゅん) @fushunia

つまり日常生活では飯や黍は匙を使って食べても良いが,正式の席では手で食べなさいと言外に説いてい る。なお,戦国時代には匜(い)という青銅器が洗面器状の盤と組み合わされて汚れた指先を洗うために食卓に用意されていた。

2020-09-22 23:21:11
巫俊(ふしゅん) @fushunia

「匜」(イ) 〘名〙 湯、水を注ぐのに用いる道具。容器に中空の柄をつけ、水の出口とする。ひさげ。半挿(はんぞう)。〔十巻本和名抄(934頃)〕 〔春秋左伝‐僖公二三年〕 コトバンクから引用 『精選版 日本国語大辞典』

2020-09-22 23:19:05
小原比呂志 @mossforester3

@bci_ @fushunia タイ奥地の少数民族の文化では、いまでも古いタイプのコメであるおこわを手でつまんで食べています。(うるち米の時代になっても何としても手で食べようとしたのがオニギリのような気もします(笑))

2018-01-08 21:10:27
巫俊(ふしゅん) @fushunia

この論文は、こうした中国古典の中の「箸」の使い方に加えて、考古学的な成果も説明してますので、興味がある方は是非、リンクから開けて頂いて、お読みください。論文というと、とっつきにくい感もありますが、最初は読みたいところだけ読んでも良い訳です。 twitter.com/fushunia/statu…

2020-09-22 18:33:23
巫俊(ふしゅん) @fushunia

『管子』弟子職篇「先生有命,弟子乃食。歯以相要,座必盡席。飯必捧 ,羹不以手。」 「先生から食事をするように言われたら,長幼の順に席に座るが,その際席には前の方に寄って座る。飯は必ず手で捧げて持って指でつまんで食べ,熱い汁物である羹の具は箸・匙を使ってつまみ指で食べてはいけない」

2020-09-22 17:53:05

まとめ

匙(さじ)、スプーンのこと

巫俊(ふしゅん) @fushunia

この論文によると、ご飯は「手づかみ」で食べるのが、「正しい礼儀作法」でしたがそれは戦国時代(紀元前3世紀以前)のことでして前漢時代になると礼儀作法が変化し、「匙」で食べても良いことになったとあります。そして後漢時代には「箸」でご飯をはさんで口に運ぶのが普通になったとのことです

2020-09-22 19:13:24
巫俊(ふしゅん) @fushunia

は、少なくとも殷代から存在が考古学的に確認されてますが、調理用だったり取り分け用だったした可能性が高く紀元前5世紀には「食事箱・酒具箱」から出土するので食事用になってきた可能性がありますが確実に人の口まで運んだとの証明には至っておらず、確認できるのは戦国時代の文献からです

2020-09-22 19:19:17
巫俊(ふしゅん) @fushunia

箸はスープの中の具をつかむための道具であり、「ご飯」(穀物)は、「手で食べるのが常識」(少なくとも公的な空間では)だったとありますが、現代のミャンマー人も、汁に入った麺を食べるのに箸を使い慣れてるのに、ご飯は手づかみだということですからそれが当たり前の時代があったと実感できます

2020-09-22 19:26:19
巫俊(ふしゅん) @fushunia

あと、箸を横置きする例は、後漢時代の「洛陽市七里河後漢墓」からで、前漢時代の「馬王堆漢墓」では、食器の上に箸を置いてますし、こういう文化も、時間をかけて定着していたもののようでした。

2020-09-22 20:03:42
巫俊(ふしゅん) @fushunia

他の論文を調べると、世界を「手食文化」「箸食文化」などに地域分類してる論文もあるんだけど、そういう図式が正しいとは限らない気がしますね。

2020-09-22 19:39:08
巫俊(ふしゅん) @fushunia

ご飯を手づかみで食べる文化は、中国だと、雲南省などの辺境地域に残っているということで、調べるとブログなどが出てきました。こうした「手づかみ」の習慣は、紀元前3世紀以前の古代中国にも存在していて、東アジアの畑作・稲作農耕文化の標準的な習慣だったようですね。

2020-09-22 21:15:04
巫俊(ふしゅん) @fushunia

2018年のDNA研究の成果を紹介したブログ記事東南アジアの古代ゲノム解析」(「ブログ雑記帳」)によりますと、東南アジアの先史時代の農耕文化は、中国南部からの移住によるもので、中国南部からの初期農耕民の南下と在来狩猟採集民の融合が起こっていたとのことです。 sicambre.at.webry.info/201805/article…

2020-09-22 21:21:30
巫俊(ふしゅん) @fushunia

現在の中国の領域内で、東アジアの新石器時代の農耕文明が生まれましたので、この領域内に古代は多くの語族(言語集団)が存在し、周辺地域に広がっていきました。4000年ほど前になると、青銅器が西方世界から草原経由で伝来して、中国北部で現在の中国語集団につながる殷以前の王権が成立した訳です

2020-09-22 21:24:00
るおちぃ@活動中 @ruoqi91

@fushunia 国内で長期的に戦乱が起きなくなったのも関係あるんでしょうか…?

2020-09-22 19:23:02
巫俊(ふしゅん) @fushunia

@ruoqi91 戦乱が起きないと、秩序が固定化するので、手づかみのままのはずでも良い訳ですが、そうはなって無いので、相関関係があるかは分からないと思います。都市生活が便利になっていって、移住などを通じて「しがらみ」が減り、匙をご飯に突っ込んでも文句を言われなくなったのかもしれないですけど。

2020-09-22 19:30:37
るおちぃ@活動中 @ruoqi91

@fushunia 要因が複数ありそうですね…秦以降は統一国家になりましたけど、そういうのも少し関係ありそうな気も…。

2020-09-22 19:37:06
巫俊(ふしゅん) @fushunia

@Lkpi8dEIKmF7bi1 古代中国も、箸があっても手づかみを併用する段階が結構続いていたらしいですね。

2018-05-03 03:27:04
西方政府軍兵士@ノクターンノベルズ&ノベルアッププラス @Lkpi8dEIKmF7bi1

手づかみで飯はギリシャローマもだった筈 古代ギリシャはしかもパンがナプキン代わりという世紀末

2018-05-02 19:13:46
ケーキイーターP (P.N. 港口裕太) @CakeEaterP

@Lkpi8dEIKmF7bi1 中世ヨーロッパと変わってないじゃないですかーやだー>基本手掴みでパンがナプキン代わり

2018-05-02 19:29:11
ケーキイーターP (P.N. 港口裕太) @CakeEaterP

@Lkpi8dEIKmF7bi1 おっと…。ただ、それも古代ローマとかからですねえ>フィンガーボール

2018-05-02 19:31:55
西方政府軍兵士@ノクターンノベルズ&ノベルアッププラス @Lkpi8dEIKmF7bi1

@fushunia 遊牧民が流入した西晋の滅亡直後とか遊牧民は手づかみ食いだったのか気になります

2018-05-03 03:40:51
深山 @Huka_yaMa

@fushunia 宮城谷さんの場合は、題材自体が中国でも非主流な気がします。 中国で単純に「中国史なら春秋戦国時代が好き」と言ったところ、「ああ~……なんかすごく昔の時代ね。教科書でならったけど、おぼえてないなぁ」と言われました😢

2018-06-02 12:08:54
巫俊(ふしゅん) @fushunia

@Huka_yaMa 春秋戦国時代は、手づかみから箸への移行期で、ご飯はまだ手づかみで良いと記されていたそうですから、それくらい遠い時代なのかなと思いました。それから唐代までは、箸をお膳の前に横に並べてたんですけど(日本と同じ)、宋代になると、ナイフが落ちると危ないので、箸をテーブルに縦に並べるように

2018-06-02 15:52:57
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