「マズローの欲求ピラミッド」はもう古い。これからは「ケンリックの欲求ピラミッド」

まあたしかに上の方がよーわからんとは思ってた>マズロー
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サピエンスの生態観察 @Sapiensism

マズローの欲求ピラミッドからケンリックの欲求ピラミッド (D.Kenrick 2010) へ。生物学的観点に欠け非科学的だったマズローの理論を廃して、進化心理学者は生物学的・人類学的証拠に基づく新しい人間の欲求階層理論を提示する。欧米のマーケター界隈ではすでにこっちのピラミッドが常識化しつつある。 pic.twitter.com/c6piUQLe2P

2020-11-27 19:30:07
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承認欲求や自己実現欲求といったマズローが提案した解像度の低い概念は削除されています。承認や自己実現はヒトという生物にとって目的でなく手段。人類の欲求メカニズムが先史時代に進化する上で、承認や自己実現は様々な生物学的価値をもたらしました。人間が〈究極的に〉求めているのはそっちです。

2020-11-27 20:02:31
サピエンスの生態観察 @Sapiensism

これは、すでに心理学の世界では否定されているにもかかわらず、世間に広く流布しており、教科書にも載り続けている"マズローの欲求ピラミッド"(あるいは欲求五段階説、自己実現理論)の妥当性を進化心理学者らが批判して、ヒト生物学的観点をとりいれ、ピラミッドを正しく立て直した理論

2020-11-27 20:21:41
サピエンスの生態観察 @Sapiensism

古くて倒壊しかけなピラミッドの再構築をかってでたのは、『影響力の武器』で有名なチャルディーニの弟子であり進化心理学の領域でいまや大御所ポジションを占めるダグラス=ケンリック、進化マーケティング学の旗振り手をになうヴラダス=グリスケヴィシウス、行動免疫理論で有名なマーク=シャラーら。

2020-11-27 20:24:39
サピエンスの生態観察 @Sapiensism

彼らの「マズローの欲求ピラミッドを科学的に刷新する」という取り組みは欧米を中心に広く歓迎され、すでに1122件の論文に引用されている。

2020-11-27 20:28:04
サピエンスの生態観察 @Sapiensism

日本の経営者やマーケターたちは、いまだ事あるごとに「マズローの欲求五段階説」を持ち出すが、これからは、この進化心理学者が新たに構築した欲求ピラミッドのほうをパワポに載せたほうがいい。

2020-11-27 20:28:05
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というのも、マズローの欲求ピラミッドは、本業の心理学者たちからはもはや相手にされていない理論(というか個人の言説、個人哲学)なのだ。 twitter.com/sapiensism/sta…

2020-11-27 20:28:29
🐒 @Sapiensism

マズローの理論はもう、心理学界隈ではまともに相手にされていない。 >「非常に科学的に脆弱な理論」(E.Hoffman 1999)。「もはやアカデミックな心理学の世界では真面目に取り上げられてはいない」(Sommers & Satel 2006)。

2020-11-27 18:09:25
サピエンスの生態観察 @Sapiensism

2020年にもなってマズローなんかをドヤと持ちだすのは、ただただプレゼンをそれっぽく見せたいだけの二流のマーケターたちや三流のモチベーターたちだけだろう。アカデミックに精通する人からは、マズローが持ち出された時点で「あっ、察し…」と笑われてしまうだろう。

2020-11-27 20:31:10
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マズローの理論のどこがダメなのかというのは、もう修正箇所が多すぎて、これだ!と特定の部分を指摘するのは難しいのだが、自分の実感としては、大きくわけて以下の2つの「ヤバさ」があげられると思う。 pic.twitter.com/lMCgtCwAVf

2020-11-27 20:32:19
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〈マズローの欲求理論がヤバイ点❶〉:欲求と動機の理論なのに生物学をガン無視していること これに関しては、これから進化心理学の隠れた生物学的動機(hidden motives)という概念からマズロー理論のヤバさを説明します。

2020-11-27 20:35:03
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〈マズローの欲求理論がヤバイ点❷〉: 規範(norm)と事実(fact)の区別がなされていないこと あまりに少ないデータから個人の思い込みによって導かれた、ただの直観的・宗教的・道徳的・精神論的な、綺麗事まみれの個人哲学であるというヤバさです。

2020-11-27 20:35:04
サピエンスの生態観察 @Sapiensism

〈マズローの欲求理論がヤバイ点❶〉:欲求と動機の理論なのに生物学をガン無視していること ───言うまでもなく人間は動物だ。しかし、ホモサピエンスの社会は、あまりにも多くの「表面上の理由」「でっち上げられた理由」「ニセモノの理由」「口先だけで語られた理由」によって構成されている。 pic.twitter.com/P3hw6F2Vve

2020-11-27 20:37:08
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なぜかと言うと、人間は左脳を中心としたインタープリターモジュールをつかって、他人に向けておしゃべりする〈理由〉を適当にでっち上げるように進化してきた動物だからだ。インタープリターに関しては、認知科学者ガザニガの書籍や、ハラリ『ホモ=デウス』なんかを読んだ人ならよくご存知かと思う。 pic.twitter.com/XxS14M1c64

2020-11-27 20:42:31
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とにかく、進化心理学(Evolutionary psychology)は、人間社会で起こるあれこれについて、〈生物学的な説明〉を導入しようとする学問だということをおさえてほしい。 pic.twitter.com/3P6Izbtb8J

2020-11-27 20:44:13
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まずは「生物学的動機(motives)」について考えてみてほしい。われわれ人間(ホモ・サピエンス)の脳には、よく言われる"三大欲求"よりもはるかに多くの生物学的(=本能的)欲求が、先天的なものとして備わっている(それらは子供の成長段階につれて適応的に発現する────遺伝子は時限爆弾だ)。

2020-11-27 20:44:52
サピエンスの生態観察 @Sapiensism

ここで押さえておきたいのは、三大欲求は当然のことながら “生物学的な欲求” だが、それ以外にもわれわれホモサピエンスは、数多くのタイプの “生物学的な欲求” を進化の帰結として遺伝的に備えている、ということだ。

2020-11-27 20:45:44
サピエンスの生態観察 @Sapiensism

────というか、生物学的じゃない欲求というものは存在しないのだ。 なぜなら人間も生物の一種だからであり、欲求は進化(=自然選択)の産物だからだ。 pic.twitter.com/S0DWGpV1iT

2020-11-27 20:46:15
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サピエンスの生態観察 @Sapiensism

最大の問題は、我々サピエンスは「社会ゲーム」を行い、このゲームに遺伝的に勝利した個体が子孫を紡いできた種だという事だ。社会では、自らの本当の欲求を他人に知られないように進化した方が良い。なぜ人間は他人からワガママに見られないよう努力すべきなのか?:その説明には「処刑仮説」がある。 twitter.com/sapiensism/sta…

2020-11-27 20:54:01
🐒 @Sapiensism

「処刑人が支配する先史の社会では、死は逸脱者のもとに垂れ下がるダモクレスの剣であった。そのような状況下では、社会から追放されるリスクを最小限に抑えた者が自然選択される。つまり、誰もがどの行動が『正しい/right』のか、どの行動が『あやまち/wrong』なのかを知る必要があった」。 pic.twitter.com/KA0BiIMJQ8

2020-10-15 23:38:56
サピエンスの生態観察 @Sapiensism

ケヴィン=シムラー&ロビン=ハンソンは、会社のオフィスに生息しているサピエンスたちの行動の生物学的動機(欲求)について、進化心理学的観点から面白い分析を行なっている。

2020-11-27 20:56:10
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マズローは「人間は動物の次元を超えた、高尚な存在だ」と主張したが、ほんとうにそうなのだろうか?われわれヒトの生態はそんなにほかの類人猿のそれと異なるのだろうか?という疑いを進化心理学は投げかけている。その観点から読んでみてほしい;

2020-11-27 20:56:11
サピエンスの生態観察 @Sapiensism

霊長類の群れが働くオフィス " この本の著者ケヴィンはシリコンバレーにあるソフトウェアの新興企業で初めてそれ〔=隠れた生物学的動機〕を目にした。" pic.twitter.com/4zEpp0agnN

2020-11-27 21:03:53
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サピエンスの生態観察 @Sapiensism

" ケヴィンは当初、起業は会社を立ち上げるというシンプルな行為だと考えていた。人を集め、考える時間を与え、話し合い、プログラムを書く。するとやがて、レゴのようにカチッとはまって役立つソフトウェアが生まれる。 "

2020-11-27 21:03:55
サピエンスの生態観察 @Sapiensism

" その後、彼は、人類学者クリストファー=ボームの『森のなかの社会階層 / Hierarchy in the Forest』を読んだ。これはチンパンジー社会の分析に用いられるのと同じ概念で人間社会を分析した書籍である。ボームの本を読んでから、ケヴィンには周囲の環境がまったく違って見えるようになった。 " pic.twitter.com/lzjvWSdldU

2020-11-27 21:03:58
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サピエンスの生態観察 @Sapiensism

" まもなくソフトウェアエンジニアでいっぱいのオフィスは、ちかちかする蛍光灯の下で、甲高い声で鳴く霊長類の群れに変わった。全員参加の会議、同僚との食事、チームでの外出は、手の込んだ社会的グルーミングの時間になった。" pic.twitter.com/aJleII6NtR

2020-11-27 21:04:01
サピエンスの生態観察 @Sapiensism

" 面接は群れに入るための見え透いた儀式のように見え始めた。会社のロゴは部族の象徴や宗教のシンボルの様相を帯びた。 " pic.twitter.com/Cc456R9K3L

2020-11-27 21:04:13
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