竹の子書房的校正について

竹の子書房組版担当の加藤先生に、校正について質問したらその10倍以上の分量wで大変参考になる答えが返ってきたのでメモ。 今後、校正に関連したことで、注意点や参考にすべきこと等回答を戴いたらその都度追加予定。 こちらも参考に。 続きを読む
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ねこや堂 @nekoyadou

@azukiglg 質問。時代小説の校正をしてて思ったのですが、一人称で使う「われ」は「我」「吾」と漢字表記ですよね。相手を指す二人称で「われ」を使う場合は平仮名ですかね、やっぱり。いや、訊くまでもないことかなぁ、と思いつつもちょっと引っ掛かってしまったもので。(^^;)

2011-08-26 08:33:37
加藤AZUKI @azukiglg

@nekoyadou んー、平仮名と併記して使う場合で、別の同音異義の表意漢字と分けたいときは、僕はカタカナを混ぜたりしますけどねえ。例えば、「我は神なり!」の後に「ワレ、何しとんじゃボケ!」みたいな感じで。ただ、作品が時代物であるなら極力違和感は排除したいとこではありますね。

2011-08-26 08:46:13
加藤AZUKI @azukiglg

@nekoyadou 重要なのは「読者にとっての混乱を避ける(作中での彼我の区別がわかりやすい)」「作品内の統一感を維持する」「作品の時代背景/設定に配慮する」なので、その中で考えると敢えて自分に「我」、相手を指す二人称に「吾」と使い分けるか。

2011-08-26 08:48:24
加藤AZUKI @azukiglg

@nekoyadou 余談ですが、東日本と西日本だと「自分」の指す対象が違ったりしますよね。東日本だと「自分」はmeですけど、西日本の人は相手を指してyouと呼び掛けるときに「自分」という。そういえば松本龍(福岡)元大臣も相手に「自分」って呼び掛けてました。

2011-08-26 08:50:02
加藤AZUKI @azukiglg

@nekoyadou 相手を指す二人称で「吾」「我」というのと、相手を「自分(ジブン)」と呼ぶのは、同じ流れのものなのかな。僕は東海→東日本の人間なので、西日本の従兄弟と初めて話したとき、結構な違和感を感じたことがありました。「ジブン、ジブン、って誰?」みたいなw

2011-08-26 08:52:11
加藤AZUKI @azukiglg

@nekoyadou 現在の標準語の原形は長州言葉だという話がありますが(集団を江戸言葉では「組」といい、長州言葉では「隊」と呼ぶ。一人称「僕」二人称「君」などがそうらしいです)、相手を二人称で「自分」と呼ぶ呼称は標準語には結局根付かなかったので、これはもしかして方言なのかも。

2011-08-26 08:55:01
加藤AZUKI @azukiglg

@nekoyadou 辞書引きすると、二人称として使うのは中世以降の文学に散見、となりますが……日本では中世は鎌倉・室町当たりより前で、その時代に書き残された文献・文章が元ネタになっているとすると、やはり西日本言葉なのかなあ、うーん。

2011-08-26 08:58:08
加藤AZUKI @azukiglg

@nekoyadou 冒頭の質問に立ち戻りますと、相手を指す二人称で「われ」という場合も、漢字表記で間違いではない、しかし一人称でも「我」は使うので、同じシーンで一人称と二人称が入り乱れる場合、字を変えるかカナ表記をオススメ、という当たりで。

2011-08-26 08:59:29
加藤AZUKI @azukiglg

@nekoyadou 平仮名表記をできれば避けたいのは、送り仮名やその他の平仮名表記と混じって文意がわかりにくくなるのを回避するため、というような意図ということでご了解下さい。参考になりましたでしょうか。

2011-08-26 09:00:21
ねこや堂 @nekoyadou

@azukiglg わかりました、ありがとうございました。

2011-08-26 09:02:56
ねこや堂 @nekoyadou

@azukiglg 校正の質問です。「出来」はそのままで「出来る」は開くんですよね。では「出来得る」の場合は「でき得る」になるんでしょうか。すいません、細かいことを。(^^;)

2011-08-26 16:59:51
加藤AZUKI @azukiglg

@nekoyadou 「出来得る」はそのままひとつの語で認識ですねえ。ほんとうは全部開きたいんだけど、そうすると「ら致」→「らち」「じゃくにくきょうしょく」の世界になってしまうので(´・ω・`) 時代物の小説は元々漢字多めなので、ルビで対応できます。

2011-08-26 17:04:20
加藤AZUKI @azukiglg

@nekoyadou どうしても対象読者高めになっちゃいますけどね(´・ω・`)

2011-08-26 17:04:37
ねこや堂 @nekoyadou

@azukiglg わかりました、ではそのように対処しますです。

2011-08-26 17:06:05
ねこや堂 @nekoyadou

@ts_p 油照を読んでいての校正的思考。「~する時」は開くけど、「~する訳」は開かない。「◯◯達」も開かない。では「無い」はどうなんだろう。あと、「◯◯様」は開くのかな。

2011-09-01 21:45:27
加藤AZUKI @azukiglg

@nekoyadou 「無い」は開きます。「○○様」は開かないです。「友達」を開かないので、「○○達」は開かない。「無い」を開くのは、「○○しない」を「○○し無い」と書いてくる人がいたためwというのと、漢字送りとして使われる機会が多いので、読者の読みやすさ優先のため開いています。

2011-09-01 21:57:41
加藤AZUKI @azukiglg

@nekoyadou 「~する時」の他に「~事」も開いています。ただし「事」は、「事の次第」や「事が事だけに」「事が公に」などのようなケースでは開かず。「~すること」などのような場合は開きます。

2011-09-01 21:58:58
加藤AZUKI @azukiglg

@nekoyadou なお、「○○君(人名)」は開かない。なので、「○○様」も開かない。「○○さん」は通常平仮名表記しか目にする機会がありませんので開きますが、人名絡みで漢字表記が日常目に触れるものは開かないです。

2011-09-01 22:00:31
加藤AZUKI @azukiglg

@nekoyadou ちなみに、同じ本の中で統一が取れていればよいので、どちらでも間違いではないケースなどでは、「頻出で多いほう」に統一されたり「読みやすさ優先」になったりします。

2011-09-01 22:17:34
加藤AZUKI @azukiglg

@nekoyadou 他に例外として「子供の口調、雰囲気を再現する」ような目的で、「おかあさん」「おじいちゃん」などのように開く場合もあります。

2011-09-01 22:18:53
加藤AZUKI @azukiglg

というわけで、寝直せないので「陵/辱/涙」の原稿整理&校正など。いつもながら須藤さんの原稿は整理が楽で助かる。読み手にとって誤字脱字表記不統一文脈の乱れリズムの乱れは、内容に集中したい気持ちを阻害するので、内容に次いで特に気を遣わなければならないとこ。

2011-10-13 06:04:12
加藤AZUKI @azukiglg

「文体」っていうのは、正しい、かつ読みやすい、ということを求めていけば放っておいても「自分好み」になっていくものなので、「自分の文体はこう」とか無理に規定する必要はないのだ、と思う。むしろ、その「自分にカタを填めて(表現に制限を掛けて)個性を作ろうとする」のは感心しない。

2011-10-13 06:05:23
加藤AZUKI @azukiglg

表現技法について幅拾いテクニックを持っていて、違和感なくいろいろ使い分けることができる、というくらい経験豊富で器用な人であれば、同じ時代物歴史物でも江戸時代と安土桃山時代と平安時代と戦時中が舞台の話をそれぞれ書き分けられるだろうと思う。用語や表現を正しく使い分けられることが肝要。

2011-10-13 06:07:17
加藤AZUKI @azukiglg

正しく、なおかつ読みやすい(多くの場合は著者にとって)を追求し、それを是とする読者が多くなれば文章も文体も支持されるし、それが他人に比べて際立った「すぐにそれとわかる」特徴が出てくれば個性とも【呼んで貰える】けど、個性って自分で演出する物ではないような気がするんだよなあ。

2011-10-13 06:08:42
加藤AZUKI @azukiglg

で。原稿整理をしていてよく熟れた人の文章と熟れてない人(書いた経験が少ない人)の文章の差は、センスとか才能とか以外のところで、割とすぐに見抜けてしまうという。これは手描きではなくキーボードで原稿を書く作家が増えたことによる、最大の恩恵だとも思う。

2011-10-13 06:10:02