【竹の子書房】 プロのクオリティで無料電子書籍を出すことについて 【電子書籍】
竹の子書房で無償の電子書籍を作ることに関わる僕にとっての最大のテーマは、「テキストデータを書籍の体裁にするのに、どこまで省力化できるか」というのがある。これまでの経験からも、電子書籍はDL点数が紙の書籍並みには期待できない上に単価も高くできない以上、量産しか対応方法がない。
2011-07-03 11:22:55だけど、「既にできあがっている原稿」を投入する形式の竹の子書房でも、量産は最大で月産12冊。一冊の頁数が少ないものであれば、という数字であって、商業誌並みのツカになってくると、この数字は俄然落ちる。著者が単一ではなく、アンソロの形式を取るものは、さらにスピードが落ちる。
2011-07-03 11:24:14これは専ら、「表記統一、推敲、原稿整理、校正」といった作業や、装幀といったある程度専門的なスキル、または経験と時間(作業のための集中)が必要な工程を省略できないため。ソフトやその他の手段の導入である程度作業時間を圧縮できるようにはなったが、どうしても限界はある。
2011-07-03 11:25:43所謂編集作業をやめてしまえば、予め作っておいたテンプレにテキストデータを流し込むだけ…という手順でも、ある程度は「本っぽいもの」は作れなくもない。が、校正をほとんどしていない本は、読者が読むのがきつい(´・ω・`) 編集者の矜持てのは、それなりに実利に直結する作業でもあるため。
2011-07-03 11:27:12作者が草稿状態ではなく、ほとんど手を入れる必要がないレベルにまで第一稿を磨き上げて持って来れば問題は軽減されるか。もちろん、ある程度までは作業的に楽にはなる。が、どんなに自分では完璧と思ってもそうとは限らないのが現実なわけで、作者一人が全部面倒を見る、というのは正直限界はある。
2011-07-03 11:28:50校正、推敲という作業のうち、単純に誤字を直す校正作業は割と自動的にできる。もちろん、人力に負うところは大きいが、直される側も誤謬を認めやすい。文法的な間違いも同様なのだが、文法的な間違いは「作者が意識して意図的に崩した文体」と紙一重なところがある。
2011-07-03 11:32:37だから、「これは違うんじゃないの?」という他人からの指摘を、受け入れることに抵抗感を感じる所でもある。編集者・監修者・立場的に上の人などからの指摘であれば(渋々であってもw)受け入れられるが、同輩、後輩からの指摘に対しては、ついムッとしてしまったりする。
2011-07-03 11:33:41モノカキはやはり他者に抜きんでて、先んじて、一歩前へ、特別な自分へ――という意識、要するにプライドも高いわけで、同輩・後輩からのそうした作風への指摘は、受け入れがたいと考えてしまいがち。これは商業の場でもそうで編集者にとって作家・ライターが年上やベテランだと原稿に手を入れにくい。
2011-07-03 11:35:21作家・ライターも、年下や自分より短い経験しかない人に言われたくない、という気持ちがだいたいどこかにあったりする。まあ、言われないでもできるベテランには言う必要がないから言わないし、何度言っても直らない場合は段々仕事に使われなくなる(((( ;゚Д゚)))ザクザクゲルググ
2011-07-03 11:37:11そこらへんの人情の機微まで込みで考えると、他人様の原稿にざっくりと手を入れるっていうのは、どうしても年長者か経験者が泥被る仕事っていうことになるのかなー、と思ったりもする。そして、そこを解決しないと電子書籍の作成速度はこれ以上は上がらない。
2011-07-03 11:39:05「電子書籍とPDFファイルの違いはどこにあるのか」という設問にはいろいろな側面からの解答があって、実際のところコレだ!という最適解を一言では言い表せられてないのだが、品質向上と量産、この課題を紐解こうとすると、どうも何度もちらつく問いのような。
2011-07-03 11:40:43商業誌の仕事(紙の本)を造りながら、月産5~10本の電子書籍を作るとして、仮にその電子書籍の作業に事業的価値を見出すとしたら、適正な作業費っていくらになるのかな、とかいうのは割と考える。スキルを持つ人間が道楽でやるのでなければ対応できない分野なのだとしたら、事業的展望は厳しい。
2011-07-03 11:42:25「儲かるなら俺もやるわ」って人が競って参入できるような展開が恐らく必要で、それにはある程度の職人的能力の他に、やっぱ「自動化できるところは自動化する」っていう省力化が必要なんだろなあ、とか。この省力化について、どこが省力化できるのかとか、そういうのを探り出す必要はある。
2011-07-03 11:43:55将来的に機械任せ(ソフトウェアによる自動作業)にできるのであれば、どうしてもそうはできない作業が、「人でなければ無理な仕事」として残るだろうなあ、とか。その意味で【原稿を書く】という作業そのものは、まだ暫くは自動化が不可能なのでw、当面仕事がなくなることはないだろう、と。
2011-07-03 11:44:53ただ、「作品執筆を志す人が、高品位であることを望まなければ本はすぐに出せる」という環境が整備されていくことと平行もするので、「本は出せるが商業的に食うことは難しい」という状態にはなっていきそうだよなあ、とは思う。
2011-07-03 11:45:49@azukiglg 個人的にはPDFを表示する機器がパワーアップしてきたので、表示の「重さ」が改善されデータの「大きさ」気にしなければPDFの方が扱いやすい(作る方としては)気がします。
2011-07-03 11:46:33でも現状では、校正者という職人の仕事は減りつつあり(本当は一番重要)、編集者の仕事も圧縮できるのは校正、推敲、整理という作業なんだけど、そこを圧縮しちゃうと本当にクオリティがどすーんと下がってしまう(´・ω・`)
2011-07-03 11:48:28そんなわけで、これから「著者印税」とは別のとこで、電子書籍を紙の本から落とし込むのではなく、電子書籍向けに新造した場合の、編集費=周辺作業費の相場ができていくんだろうなーと思うんだけど、それが「事業として成り立つ金額」になるかどうか、そこらへんがまだ五里霧中。
2011-07-03 11:50:18紙の本でも電子書籍でも、企画、編集、デザイン、そういった付帯作業はなくならない。なくならないけど、そこのコストがどこまで削り落とされるかによっては、今後は電子書籍は高品位であることを望むのが難しくなったりとか、一定額を取れるような品質を維持できなくなったりとかするかもしれない。
2011-07-03 11:51:41著者、イラストレーター/カメラマン、装幀デザイナー、編集者、これに加えて出版社(宣伝・営業)といったそれぞれのセクションの間で、「ゼロから電子書籍を作る場合の適正作業費」てのは、既に携帯向け電子書籍をやってるとこでは社内規定を持ってるんだろうなー、と思う。
2011-07-03 11:54:31金の心配をしないで作るものっていうのは、面白いし楽しいしむしろいいものできたりする可能性も高いんですよね。もちろん、「義務じゃないから完成しない」っていうリスクもあるけどw RT @messpipette: @azukiglg そこは無料お試しセット的なものかと思ってました(笑)
2011-07-03 11:56:34それ考えると、おもしろがって夢中になって楽しんだ結果の「成果物」が、なんと売り物にもなってしまう!というようなスタンスであればビジネスにもなるかなあ、とか。仕事であることが負担にならないやり方ってのを、考えたほうがよさそうだなあ、とかですね。 RT @messpipette
2011-07-03 11:57:54