「あなたの研究はデタラメ」専門家から否定され見放されたマイケル・ヴェントリスが誰も読めなかった線文字Bを本当に解読してしまったその理由とは?

古代ギリシアのミケーネ文明の歴史!どんな言語が記されてるか全く読めなかった線文字Bはどうやって解読されたのか?
433
巫俊(ふしゅん) @fushunia

20世紀半ばにアマチュア研究者(中学生のときから研究を始めた)が「線文字Bを解読」したときも、研究方法の「定石」を堅持する研究者では、そもそも解読は不可能だったか、もしくは半世紀以上は遅れてたとされるので、線文字B=最古ギリシア語史料が読めるようになったことで、世界が変わりました

2020-01-02 17:04:33
巫俊(ふしゅん) @fushunia

1953年に、線文字Bを解読したヴェントリスは、当時未解読だった線文字Bの研究者から徹底的に馬鹿にされていて、何度も筆を折りそうになったが、諦めずに直感の閃きと論理的思考を繰り返した結果、驚異的な速さで解読に成功しました。

2019-09-30 04:45:53
巫俊(ふしゅん) @fushunia

ヴェントリスを批判していた研究者は、確かに学問上、一般的に認められる「確実なことを処理して、少しづつ証明していく」方法を取っていたのですが、この方法では解読など到底無理で、現在も依然としてインダス文字と同じようなあつかいを受けてたはずだとされます。

2019-09-30 04:49:22
巫俊(ふしゅん) @fushunia

線文字Bの解読は、高度に論理的な人間が天才的な能力で一気に明らかにしたイメージがありますが、解読者のヴェントリスは当初から「正体はギリシア語だ」と狙いを定めてた訳ではなく、系統不明のエトルリア語だと考えてたので、一般に想像されるような言語学の正攻法で明らかにされた訳では無かった。

2019-09-08 03:09:14
巫俊(ふしゅん) @fushunia

ヴェントリスは、ロゼッタストーンのシャンポリオンと違って古典文化に特別な関心があった訳では無く、大学で専門的に研究した訳でも無いばかりか「何故、そういう結論になるのか、自分でも分からない」という直観を重視した研究方法を使っていたので、解読後は、他の研究者への説明に苦慮したそうです

2019-09-08 03:13:27
巫俊(ふしゅん) @fushunia

線文字Bは、長文の粘土板が出土してる条件をのぞくと、未解読文字のインダス文字とそれほど変わらないような(良い類例に乏しい)解読困難の文字だったので、ヴェントリスの解釈は間違いの連続であり、慎重を極める研究者なら、到達不可能なものを、試行錯誤で切り開いていったそうです。

2019-09-08 03:17:49
巫俊(ふしゅん) @fushunia

なお、線文字Bの解読者(20世紀半ばの人)は、現代なら間違いなくツイッターにいる人です。

2020-01-02 16:56:54
巫俊(ふしゅん) @fushunia

線文字Bを解読したアマチュア研究家ヴェントリスの逸話を見てると、身近な研究者の世界の視野の狭さに暗澹とさせられます。

2019-09-30 04:51:43
巫俊(ふしゅん) @fushunia

ギリシア語自体は印欧語族の移動と関わって成立した言語でして、アンソニーの著作『馬・車輪・言語』では黒海北岸の牧畜民(印欧語族)が黒海の海に進出した時期が考古学的に特定されてるとのことで、ギリシアへは海路で移動したことも想定されてるようです。

2021-05-26 00:48:24
巫俊(ふしゅん) @fushunia

アンソニーはDNAの研究が2010年代に劇的に進む前から、こうした航海民の移動とギリシア語の関係を説明してて、ミケーネ文明などの人骨の核DNAが検出された結果、DNAの一部がユーラシア草原地帯やカフカス方面と一致し、言語学でギリシア語とアルメニア語に親縁関係があるとされてることに関わります

2021-05-26 03:54:55
巫俊(ふしゅん) @fushunia

フォローさせて頂いてる方のブログ 「ミノア人とミケーネ人が遺伝的に非常によく似ており、その約4分の3がアナトリア西部とエーゲ海地方の最初の新石器時代の農耕民を共通祖先としており、残りの大部分が古代のコーカサス地方とイランの集団を祖先としていることが判明したsicambre.at.webry.info/201708/article…

2020-01-24 23:46:12
巫俊(ふしゅん) @fushunia

こちらも引用「ミノア人とは異なってミケーネ人には、青銅器時代のユーラシア草原地帯またはアルメニアの集団からの遺伝子流動が確認されました。「青銅器時代のミノア人とミケーネ人のDNA解析に関する研究」(Lazaridis et al., 2017)よりとのことです。

2020-01-24 23:49:05
雑記帳 @Florisbad

@fushunia ミケーネ人はミノア人とは異なり、青銅器時代ユーラシア草原地帯集団の遺伝的影響が見られる、という研究ですね。 natureasia.com/ja-jp/research…

2020-01-03 06:33:03
巫俊(ふしゅん) @fushunia

ブログ「雑記帳」の雑記帳様のツイッターアカウントはこちら。ブログでは、幅広い内容のどれも興味深い研究をご解説されてます。 @Florisbad

2020-01-24 23:54:40
巫俊(ふしゅん) @fushunia

アンソニーは、ギリシア語とインド・イラン語派の印欧語にも接触関係(両言語の言語的祖先が分岐した後に再び接触して似通った単語があった)があったとしてるので、黒海やカスピ海を通じて交流があった可能性があります。

2021-05-26 03:59:02
巫俊(ふしゅん) @fushunia

いずれにしても、ギリシア語の起源が印欧語であることは知られたことで、ギリシア本土に南下した時に先住民の単語を取り入れたこともあったとされてます。そして最近のDNAの研究結果では、言語は印欧語系に置き換えられたが、DNAの多数は在来の先住民集団に由来することも分かった訳でした。

2021-05-26 04:01:58
巫俊(ふしゅん) @fushunia

素人目線からしますと意外な感じがします。線文字Bの解読など、ホットな分野だと思ってました。 twitter.com/yskmas_k_66/st…

2021-04-30 02:12:14
アザラシ提督 @yskmas_k_66

>ちゃんと旧石器時代から叙述をしてほしい これはまぁ分かります。古代ギリシア史の概説書の場合、青銅器時代以前を扱うのは、周藤先生の『ギリシアの考古学』や『ギリシアを知る事典』など、数えるほどしかありませんし……。

2021-04-30 00:05:39
アザラシ提督【休職・療養中】 @yskmas_k_66

@fushunia エーゲ文明やそれ以前は、現状、日本の西洋古代史研究では下火のように思います _(:3」∠)_ ミケーネ社会の研究ですが、愛媛大学の山川廣司先生が孤塁を守っていましたけれども、5年ほど前に御退職されまして。

2021-04-30 22:41:59
巫俊(ふしゅん) @fushunia

最近の研究では、東アジアと地中海世界では、共通の青銅器文化が分布してることが確認されていて、古代ギリシアのミケーネ文明の銅矛と弥生銅矛が同系の規格だと確認され、ユーラシア規模での東西交流でヨーロッパ及び東アジアの青銅器文化が開始されたとの研究(松本圭太、小林青樹)があります。

2021-01-30 16:09:14
巫俊(ふしゅん) @fushunia

古代ギリシアの歴史家ヘロドトスは、ヨーロッパの範囲は東西に長いと説明し、その南に同じだけの長さの「アフリカ・アジア」があると説明してます。これは青銅器時代の成り立ちの結果、アルタイ山脈までヨーロッパ系の人たちが分布していた(古代の人骨の形質やDNAでも確認済)ことを示していています

2021-01-30 16:28:19
巫俊(ふしゅん) @fushunia

アルメニアといえば、古代史クラスタ的には、DNAの研究が気になってます。ギリシア語とアルメニア語は共通の語派から分岐してまして。 「ミノア人とは異なってミケーネ人には、青銅器時代のユーラシア草原地帯またはアルメニアの集団からの遺伝子流動が確認されました。」 sicambre.at.webry.info/201708/article…

2020-09-28 01:18:54
雨音村雲@藤浪永理嘉(´ 。•ω•。) @amane_murakumo

@fushunia 神話的に言うとだいぶアルメニアの方がセムの影響を受けたり、ヒッタイト・ウラルトゥの影響を受けちゃったり、ゾロアスター教の影響を受けてるんですけれども、DNA的にはむしろペロポネソス半島の方にアルメノイドが行ったりしてるんですよね。 あそこらへんの民族移動はやっぱり面白いです(*´꒳`*)

2020-09-28 15:22:45
巫俊(ふしゅん) @fushunia

デイヴィッド・W.アンソニー『馬・車輪・言語』上巻、P88に重要な記述がありました。前ギリシア語と前インド・イラン語は近接した地域で発達したに違いないとあり、共通する特徴が事細かく書かれてますが、武器の名前や神話などの具体的な用例が気になってます。

2020-07-18 22:26:11
巫俊(ふしゅん) @fushunia

何より、古代ギリシアのミケーネ文明とカザフスタンのアンドロノヴォ文化(インド・イラン祖語集団)、日本弥生からは、共通の形式の銅矛が出土していて、要するに、弥生時代の銅矛って、日本独自の形じゃなくて、ユーラシア大陸の中央から東西に伝播した形式のものが元になってるってことでした。

2020-07-18 22:34:29