日本社会学会大会にゲストスピーカー出演した安田浩一氏とその報告・補完

タイトルそのままのまとめです。 関連リンク現代日本における「排外主義」の問題(テーマセッション(5) http://www.gakkai.ne.jp/jss/research/84/conf84_pmain.html#theme5
15
明戸 隆浩 @takakedo

ただその一方で、出てきたものを会場全体で共有し咀嚼するというところまでは、時間的な制約もあってかなり至らなかったと思う。学会的な時間設定(2時間で報告者5人)ではそんなもんだという言い方もできるけど、司会的な立場からすると通常よりそこが強く気になってしまうというか。

2011-09-19 23:56:30
明戸 隆浩 @takakedo

とはいえ、このタイミングで日本社会学会でこういう企画ができたことはやはり重要なことだと思うし、その意味では安田さんはじめ報告者のみなさんには本当に感謝しています。あと、成立過程でいろいろと相談に乗っていただいた学会事務局・担当委員の方々にも感謝。

2011-09-20 00:02:13

補完作業

明戸 隆浩 @takakedo

先週末の学会テーマセッションは個人的にもとても勉強になったのだけれども、何分コーディネイターという立場上あまり自分の考えとかを言う機会がなく、その方面については若干フラストレーションが溜まっていたりもして(笑)、以下その補完作業を少々。

2011-09-25 00:14:49
明戸 隆浩 @takakedo

今回のセッションで話題になったことの一つに、排外主義とナショナリズムの関係というのがある。当日@han_org さんはこの2つは分けるべきだということを強調していて、僕も基本的にそれに賛成なのだが、その上での両者の「ズレ」と「重なり」は個人的にも気になるところ。

2011-09-25 00:16:04
明戸 隆浩 @takakedo

まず排外主義だが、今回のテーマセッションの趣旨文では、「ネーションやエスニシティ、あるいは人種といった要素によって「われわれ」と「彼ら」の区分を行い、それに基づいて「彼ら」を排除すること」となっている(というか、自分で書いたんだけどw)。

2011-09-25 00:17:52
明戸 隆浩 @takakedo

これは、ともすると「政治(学)的」なものとしてとらえられやすい排外主義が、実際には「社会学」のテーマとしても古典的なものであるということを示すために書いたものなので、必ずしも概念的に厳密ではないところがあるのだけど、とりあえずの出発点にすることはできるだろう。

2011-09-25 00:19:35
明戸 隆浩 @takakedo

これに対してナショナリズムは、先ほどの排外主義の説明と対応させて言うと、「ネーションによって「われわれ」と「彼ら」の区分を行い、それに基づいて「われわれ」に肯定的な価値づけを行うこと」といった感じになる。

2011-09-25 00:21:03
明戸 隆浩 @takakedo

以上をふまえて、まず「ズレ」について。「ズレ」には2つの可能性があるわけだが、先に排外主義ではあるがナショナリズムではない部分について考えると、まず単純に、排外主義は「ネーション」だけにかかわる概念ではないということがある。

2011-09-25 00:23:51
明戸 隆浩 @takakedo

もう一つ、こちらはセッションが終わった後のやりとりで @h_hyonee さんが指摘していたことなのだが、排外主義では「われわれ」を意識することなく「彼ら」を攻撃するということがありうる。これも、排外主義ではあるがナショナリズムではないパターン。

2011-09-25 00:26:40
明戸 隆浩 @takakedo

たとえば、少し前によく問題になった「外国人お断り」的な看板は、「われわれ=日本人」という意識がなくても、「よくわからないものを排除する」という感覚だけで成立する。もちろん概念的には「国民」あっての「外国人」なのだけど、当事者にそのことが意識されていないということは全然ありうる。

2011-09-25 00:28:47
明戸 隆浩 @takakedo

ということで、昨日の続きで排外主義とナショナリズム。なんか今日いろいろやりとりする中で記憶があいまいになりつつあるんだけど^^、一応途中だったのである。今日は排外主義ではないナショナリズム、および両者の重なりについて。

2011-09-26 01:01:59
明戸 隆浩 @takakedo

まず、ナショナリズムではあるが排外主義ではない部分についてだけど、たとえばサッカーのワールドカップで自国を応援することは、少なくともそれ自体は排外主義ではないと言えるだろう。「自国の文化を尊重する」とかいった場合も同様。

2011-09-26 01:03:23
明戸 隆浩 @takakedo

(誤解のないように付け加えると、これはあくまでもそれ自体が排外主義とは呼びえないという話で、こうしたナショナリズムが排外主義と関連するかどうかは別の問題。あと、マジョリティのナショナリズムがマイノリティに対する「効果」として抑圧的に映ることはあると思うが、これも一応別の問題。)

2011-09-26 01:05:44
明戸 隆浩 @takakedo

その一方で、ナショナリズムであると同時に排外主義でもあるような言説、つまり両者が重なるような言説も、やはりありうる。たとえば、「生活保護の支給は自国民に限定されるべき」という主張は、排外主義でもあるし、ナショナリズムとも言える。

2011-09-26 01:08:01
明戸 隆浩 @takakedo

もう少し一般化して言うと、財の(再)分配にかかわる問題については、排外主義とナショナリズムが重なりやすいように思う。実際、社会保障とか労働に関わる分野では、この二つの区別はそれほど先鋭化しない傾向がある気がするし。

2011-09-26 01:09:18
明戸 隆浩 @takakedo

ところで、ナショナリズムと重なる排外主義が財の分配にかかわるものだとすれば、昨日触れた「外国人お断り」系のナショナリズムなき排外主義は、セキュリティとか秩序とかにかかわるものだととりあえず言えるだろう。

2011-09-26 01:10:38
明戸 隆浩 @takakedo

そういう意味では、排外主義は、分配問題系の排外主義(「われわれの取り分を奪うやつは出ていけ」)と、秩序問題系の排外主義(「秩序を乱すやつは出ていけ」)に、とりあえず区分することができそう。もちろん、両者が混在しているケースも実際には多いわけだけど。

2011-09-26 01:12:05
明戸 隆浩 @takakedo

ちなみに時系列で言うと、日本の場合伝統的?に秩序問題系の排外主義がおもに念頭に置かれてきたところがあって、たとえば先日のセッションで濱田さんが事例として検討していたゴミ出し問題あたりはまさにその象徴。「外国人はゴミ出しのルールを守らないから嫌だ」というやつ。

2011-09-26 01:13:41
明戸 隆浩 @takakedo

だ最近は、むしろ分配問題系の排外主義に関する議論が増えてきている印象が強いのも事実。セッションで言えば永田さんの報告がそうだったし、あと学会一日目の永吉希久子さんの報告のような、「社会保障と移民」系の議論もこの流れ。

2011-09-26 01:14:59
明戸 隆浩 @takakedo

とはいえ、もちろん秩序問題系の排外主義が少なくなってきているわけでは全然なくて、セッションで言うと @h_hyonee さんが出した朝鮮学校に対する事例は明らかにこちら(ま、これについては変に「客観的」に分配問題としてとらえたがる人もときどきいたりするけど)。

2011-09-26 01:17:01
明戸 隆浩 @takakedo

なんか一応セッションのまとめっぽくなったところで、今日のところは以上。明日もう少しだけ補足するかも。

2011-09-26 01:18:20